こだわりの食事シーン集-小説
阿刀田高さんの『わたし食べる人』では、冒頭からこれでもかとばかりにパワーワードが連発されています。 一気に読めてしまう部分なので、ひとくさり引用してみます。 ことの起こりは、太り過ぎが原因だった。三十歳を過ぎる頃からタナカ氏は急にズボンがき…
司馬遼太郎をよく知らなくても、船好きな人なら知っている『菜の花の沖』(実際に私の知人でそういう人がいた) この作品は文庫版で全6巻ですが、我が家にあるのは2巻〜4巻だけです。 物語自体は全部読んだのですが、手元に残したのはこの3冊だけ。 なぜ…
1本の記事で終わらせる気だったのに・・ ついつい想像が走ってすっかり長引いてしまった『坂の上の雲』の1エピソード。 多くの方がご存じとは思いますが『坂の上の雲』は明治期の日清・日露戦争あたりを主題に秋山好古・真之兄弟と正岡子規を描いた名作と…
司馬遼太郎からの課題 「飲みきれぬほどのビール」とは何かを探れ サンドウィッチに挟まっていた”somethingの解”を求めよ。 いつもは大藪先生からこういった課題を出されている(勝手に想像している)私ですが、まさかの司馬さんからのカットイン。 だいたい…
1週間休まずに働いても、収入の6割5分が家賃で消えてしまう。 増本卯平が働いたフィラデルフィアの造船工場での、職工たちの苛烈な経済状況が『坂の上の雲 第2巻』で描かれていたことを紹介しました。 blog.dbmschool.net しかし、職工たちは「アメリカ…
その特徴ある食風景が心に残る『坂の上の雲 第二巻』は私のお気に入りです。 坂の上の雲(二) (文春文庫) わずか5ページほどですが、桝本卯平という人がフィラデルフィアの造船工場で働くシーンがあります。 そのうちたったの9行ですが、給料と食事のこと…
「何を食うかね?」 ニコ来食堂で卓についたばかりの篤蔵に、兄の周太郎から刺激的なキラーワードが・・ 前回記事⇩⇩に続いて、いよいよオーダーするシーンです。 blog.dbmschool.net 何を食うかと問われたのが五郎さんなら 東京都 三鷹市の大皿家庭料理定食 …
様々な小説作品の中から、想像を掻き立てる食事シーンを取り上げてブログに書くということなら、私の代表作(?)といえば、「孤独なグルメ『蘇える金狼』」ということになりそうですが、蘇える金狼以外の作品についても少し触れていきましょう。 今回は【天…
小説を読んでいて、本筋と関係ないことが気になって、そこに引っかかってしまうことはないでしょうか? 台湾出身で日本に帰化した小説家、邱永漢さんは「いま、主人公のポケットには、一体いくらのお金が入っているのだろう?」ということが常に気になって仕…
大藪春彦作品の象徴的なランドマーク「食事シーン」を彷彿とさせるブログについて書いてみます。 本来はハードボイルド小説であるはずの大藪作品。 メカニズムやバイオレンスで構成された、ハードなストーリーが展開されているにもかかわらず、私の目には大…
北の海(上)(新潮文庫)【電子書籍】[ 井上靖 ] 私もたしか中学生の頃だったか、川越近くの友達の家に遊びに行き、場末の中華屋へ入ってラーメンを食べたことがあります。 ラーメン1杯を200円で出していた川越近くの中華屋 大正15年の場末のラーメン屋…
以前に一度記事にしましたが、井上靖の自伝的小説3部作のラスト「北の海」。 主人公の伊上洪作少年が、旧制中学を卒業した後の数か月間を描いています。 db469buncho.hatenablog.com 身体を使うと腹が減る(天下一武道会優勝後の悟空は50万ゼニー分食べた…
新装版 菜の花の沖 (2) (文春文庫) 嘉兵衛が初めて兵庫の北風家を訪れるシーン。 諸国の船乗りが集まる有名な商家、北風家は南北朝の頃からの名門で、船乗りを大事にすることで有名でした。 その歴史はさておき、全国の船乗りから尊崇される北風では、船で働…
人類が火星や金星に居住するようになっている時代。 何者かの奸計によって罪を着せられ逮捕された主人公クラッグの裁判は、オリバー判事によって行われ、オリバーのもうひとつの顔である政治家としての野心のために、クラッグは精神改良機にかかった『まっさ…
かなり昔のことですが、青春小説の旗手(と私は思っています)だった窪田僚さん。 代表作「ヘッドフォンララバイ」は、当時の私の思い込みをぶち破るインパクトを持っていました。 ヘッドフォン・ララバイ―公園通りの青春 (1981年) (集英社文庫―コバルトシリ…
食風景の気に入ったシーンの簡単な感想を書いていきます。 新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫) 日露戦争直前にアメリカへ造船技術を学びに行った桝本卯平が、フィラデルフィアの街で入った酒場の提供メニュー。 お代は5セント程度だそうです。 それを払ってあ…
食風景の気に入ったシーンの簡単な感想を書いていきます。 花神(上) (新潮文庫) 大阪適塾の塾生たちの「めしどき」 幕末の蘭学者・緒方洪庵が塾長をつとめる「適塾」 塾に寄宿している塾生たちは、生活のすべてをこの学び舎で過ごします。 食事時になると、…
食風景の気に入ったシーンの簡単な感想を書いていきます。 北の海 (新潮文庫 い 7-26) 井上靖、自伝的小説3部作のラスト、旧制中学卒業後の数ヶ月を描いた作品です。 以前のブログで、前作「夏草冬濤」の朝食シーンのことを書きましたが、その3年後の話です…
食風景の気に入ったシーンの簡単な感想を書いていきます。 夏草冬濤(上)【電子書籍】[ 井上靖 ] 2学期の初日、中学3年生の洪作少年の朝食メニュー みそ汁と漬け物です。 生卵がつく日とつかない日があるそうなのですが、この朝はお休みだったようです。 時…