京都三条に「酢屋」という銘木や木工芸を扱うお店があります。
1721年に材木商として開業した老舗で、幕末には坂本龍馬の海援隊京都本部だったことでも有名です。
坂本龍馬が、誰にどんな手紙を書くか? というコンテスト
かつてこのお店で「龍馬からの手紙」という企画を行っていました。
応募条件は、龍馬の享年である33歳までの人。
「もしも龍馬が現代に現れたら、誰に向けて、どんなことを伝える手紙を書くだろうか?」をテーマとした創作文章のコンテストです。
もう20年くらい前のことですが、私もこれに参加し、佳作だったか入選だったか忘れましたが、とにかく受賞しました。
当時の私は完全に司馬遼太郎さんの「龍馬がゆく」にかぶれていまして、徹底的にその世界観の中で作文し、設定は「現代によみがえった龍馬が、この酢屋のご隠居と話したことを、土佐の乙女姉さんに向かって話しかける」というものです。
(私自身がご隠居の老人と話をしたためこういう設定での創作となった)
hirobirockさんによる写真ACからの写真
「龍馬がゆく」では、出戻りとなった乙女姉さんが、いっそ土佐を出て竜馬と一緒に京都や長崎で過ごしたいという願望をもち、それを手紙にしたためて龍馬に送っています。
それを読んだ龍馬は「乙女姉さんは、しごとがしたかったのだ」と解釈しています。
「しごと」とはまさに、竜馬や西郷などが命がけで行った回天(天下の形成を一変させること)であり、結婚に失敗して生家に戻ったものの、ある意味厄介者でもあった立場を嘆く有能な女性である乙女の鬱屈を、そのような形で結実させたいという願いだったのでしょう。
しかし「しごと」をするなど、当時の女性にとって社会的に存在しない在り方であり、龍馬にとってもやりきれない想いだったことを、司馬さんは表現しています。
この点が、私が「龍馬からの手紙」コンクールの創作文にしたところです。
世の中に働きかける「女性の価値観」を書いたら入選した
私の創作文の中で、龍馬は乙女姉さんにこんなふうに言います。
「ここならお前さんの望みどおり、『しごと』ができそうだ」
「どうしてかと言えば、この“現代”というところでは、給与をもらって働くことを『しごと』と言うそうだから、こっちへきて給与さえもらえれば、お前さん念願の『しごと』ができる」
「桂小五郎や高杉晋作なども『しごと』はしたが、連中は給与をもらうために『しごと』をしていたわけではないと思うのだが、どうもこの“現代”というところではそうではないらしい」
「ここでは空気が悪く、息を吸うとなんだか舌に苦みを感じる。俺が馴染んだ土佐の浜辺の潮も、もはやそうやすやすと飲むことはできないらしい」
「どうも、俺たちが命がけで作った『新しい時代の政権』が、空気や水をこんなに汚す世の中にしてしまったらしいのだが、何やら男たちだけで作った日本だと、こんなふうになってしまうのではないか?」
「神というものが男と女を作ったのは、偏りを無くすためではないか?」
「男ばかりで世の中を作ると、こういった偏りを生んでしまうのだとすれば、次はお前さんたち『おんなども』が、世の中を作り変えることが必要なのじゃないか?」
・・・と、このような感じで、環境問題を女性的視点から変えることを示唆する内容です。
こういうコンセプトが共感を呼び、入選したのかもしれません。
旧価値観の中での優位性なんかより、新価値観を築く方が願いは叶う
私が言う『女性による価値観の転換』とは、単純な“女性の社会進出”ではありません。
ましてや、職場や地域社会における『男女同権』などというものではありません。
『男女同権』などは、男性が自分たちに都合よく作った世界観の中で「私たちにも同じように」という、女性本来の感性を無視した、真の女性のための価値観ではないと思うのです。
「そんなに『新しい日本』のために幕府が邪魔ならば、いっそ皆さんで幕府など倒してしまえばよろしいのではありませんか?」
という、「龍馬がゆく」の中での“福岡のお田鶴さま”のセリフがありますが、むしろこちら寄りです。
『新しい日本』のために現政権が邪魔ならば、そんなものはいっそ倒してしまえばよろしい。
『現代は女性の時代』ということを提言する人がいますが、それは深く解釈すれば『男女同権』などという概念とは全く異なる次元にあり、どこかの時代に存立していたにすぎない男性優位の社会の中の価値観とは全く別の立ち位置に立った意見であることがわかります。
明治維新ならぬ男女維新でも起こったほうが、目が覚めるのではないか?
思い上がった男どもが、我が物顔でのさばっている状態を、一度ぶっ壊さないと、地球環境も変わらんのではないかと疑いたくなります。
安倍総理ご自身を悪く言うつもりはないのですが、狂ったアホ政権であることは間違いなく、そういう安易な独裁政権を作ってしまった自分たちにも、大きな過ちがあると思うのです。