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研究予算示達後のノックは、やたら厳しいことがある

前回、現在修士課程1年生のコジさんの記事をきっかけに、私が研究所勤務だった頃を思い出して、私も記事を書きました。

sakanaikitsura.hatenablog.com

 

blog.dbmschool.net

 

ただし、当時の所長だった市川惇信先生の話に終始してしまったので、もう少し身近だった研究者たちのことを書き加えたいと思います。

 

そのテーマは、予算獲れるのか?

「じゃあ、ひとり一人、自分の研究テーマと予算額を申告!」

野球グラウンドで、ノッカーがバット片手に、グローブを構えた選手に号令をかけます。

 

「テーマ〇〇、予算は✖✖万円」

「この野郎!」

ノッカーをグンと上回る金額を口にした選手には、強めの打球が容赦なく飛ぶ。

 

予算示達後の練習では、こんな光景が見られました。

もちろん冗談で、みんな笑いながら和気あいあいな雰囲気です。

 

研究予算とは縁がない事務職の私も、笑いながらノックに参加します。

 

野球部(というか同好会)に所属していた私は、当時唯一の事務官で、他は全員研究職の人たちでした(一部、外部協力業者の研究員もいました)。

 

テーマは別でもサイフは一緒

野球部のメンバーたちの所属部署はバラバラで、研究棟の建物の場所も、研究内容も異なっています。

 

基礎研究の部でコツコツやっている人もいれば、プロジェクトチームの人もいる。

各人が直接に関係する場合もありますが、基本的に干渉はあまりありません。

 

そういう意味で、ぶつかり合うような競争は特に感じられなかったのですが、大本のサイフは一緒です。

予算は獲り合わなければなりません。

 

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胡麻油さんによる写真ACからの写真

 

予算の規模が活動の幅を左右してしまうのは、個人でも組織でも同じことで、あまり研究にかまけていると、その研究自体がよほどの力を持つテーマでないかぎり、予算獲得力が弱まるのはある意味仕方が無い。

 

それに、自分自身がプレゼンするならアドリブも利かせ放題(できる人なら)ですが、上司がその役目を負う場合は「他人にさせて成功するプレゼン力」が必要になってきます。

 

予算がとりやすいテーマは競争が激しくなりがち、
独自路線は競技人口が少ないが理解者も少なく、予算がとりづらい

これは研究以外の分野でも同じことですが、専門性が高いということは、それをストレートに理解できる人物が少ないことでもあります。

 

つまり、ある特定のテーマにおいて、予算や環境などで便宜を図るよう組織に働きかける際、難易度は相応に高くなりがちです。

 

関係者や上層部で内容が検討されるのは結構なのですが、伝言ゲームで見当違いな議論が行われることが多く、せっかくの価値が悲しいくらいショボいものになったあげく、最後は却下されることがあります。

 

マーケティングで製品やサービスのネーミングが重視されるのは、最初の印象でエンドユーザーを引き付けて購買へ近づけるのに効果があるからです。

 

「良いものだから、説明すれば買ってくれる」という理屈が通じないことを前提としたテクニックだと思います。

 

無理解な連中に対するアピール力

「自分は営業職じゃないから、セールスとかマーケティングとは無縁だ。とにかく良いものをクリエイトすれば、世間は受け入れてくれる」

 

確かにそれが形になって世の中に提示されればそうかもしれませんが、そのために組織の力が必要な場合、組織内部に向けたマーケティングやセールスが必須になってくる。

 

同じ組織内部で別分野を担当している職員にとっては、自分の職務のほうがよほど大事なわけなので、そこへ分け入っていく実力が要る。

 

高尚なだけでは、尊敬されない。

理屈が通っているだけでは、他人は納得しない。

価値があるだけでは、認めてもらえない。

 

ここで必要なのは

『価値が高いことを伝える能力』

 

それに加えて、これがあればなお良い。

『あなたに代わって組織を説得する人が、そのテーマをアピールすることで「高尚な人だと尊敬されるメリット」を享受できるだけの、整理された理論理屈』