上司などの「上位の人」に言いたいことが言えない鬱屈を抱える人にスポットを当てたコンテンツが多い中、あえて部下など『下位の身内』に言いたいことが言えない人にフォーカスして記事を書いています。
会社で能力は伸ばせるが、性格は直せない
こちらの記事に書いたことですが、
「身内に対する注意」は、ハッキリ言って『業務スキル』の域を超えている
という考え方があります。
志望動機は『自分の性格を直すため』ですか?
「業務スキルと人間関係スキルは別のモノ」
という言葉は、少し形を変えれば
「能力を上げることと、性格を直すことは別のモノ」でもあります。
あなたは、性格を直すために今の会社に入ったわけではありません。
採用面接で志望動機を訊かれたとき、そんなことを答えてはいないはずです。
能力を上げることは、会社に対して果たすべきミッションかもしれませんが、性格まで直させられるなんて余計なお世話です。
「怖さ」が劣化しないのは立派な才能じゃないか?
上司にはなったが、部下を叱ったり注意したりするのは怖い・・
そういう性格の人は、20代でも50代でも、自由にそう思って構わない。
入社3年目でも30年目でも、怖さを感じる自由は持ち続けてよい。
(個人的には、むしろ失うべきでないと思います)
上位の立場から部下などに対して、叱責や注意をすることは、言い換えれば下位の人間の言葉や行為に「NO!」を突きつけることですから、その行為にある程度のリスクを感じるくらいでないと、パワハラ認定されかねません。
どの文脈に反応するかで自分の性格を知る方法
こちらの文脈をご覧ください。
決してご都合主義に適用してよい考え方ではないけれど
「会社には、性格を直すために入ったわけじゃない」
「能力」と「性格」を混同して自分を追いつめて消耗してしまう人には、是非とも心得て頂きたい内容です。
しかし、上記のフレーズは、ある問題をはらんでいます。
ちょっと分解して考えてみましょう。
A:決してご都合主義に適用してよい考え方ではないけれど
B:「会社には、性格を直すために入ったわけじゃない」
C:(実際の行動や態度)
部下を叱れなくて悩んでしまう人というのは、たいがい『A』に強く反応し、行動パターンは『A+C』になりがちです。
内省的で自己主張は常に弱めです。本来最も中核になる『B』がか細いものになって、行動や態度にはほぼ表れないことでしょう。
一方、部下の気持ちを介せずに言いすぎてしまうタイプの人は『B』をまっすぐに指向して『B+C』のパターンになる。ブレーキの役割を果たす『A』はなおざりにされてしまう。
パワハラ上司は大体こっちでしょう。
アンガ―マネジメントを採用するなら、トレーニング内容は2分割すべき
昨今施行されたパワハラ防止法を受け、アンガ―マネジメントが注目されていますが、私はこれについて多少思うところがあります。
「怒り方に気を付けなければいけない」という主旨で、怒りの感情をコントロールするのがアンガ―マネジメントの重要なポイントですが、これを適用すべきなのは上記のパターンで言うなら圧倒的に『B+C』のような、「まず自分に好都合なところを吸収するタイプ」です。
内省的な『A+C』タイプは、元々怒りを外に出すようなタイプでないにもかかわらず、「〇〇に気を付けなければいけない」というフレーズに過敏に反応する特性を持ちます。
アンガ―マネジメントでがんじがらめになるのは、たいていこのような人ですから、安易に取り入れて一様に取り組ませるのは大いに危険だと思うのです。