ようこそお越しいただきました。
感情会計~Emotional accounting(エモアカ)の四緑文鳥です。
今日は心理テストの中でもかなりメジャーどころの『エゴグラム』のことに触れてみたいと思います。
記事の途中にテストをお楽しみいただけるサイトのリンクを張っています。
所要時間数分の簡単なものですので、気になった方は試してみてください。
で、その後こちらに戻ってきていただけると、より一層ご自身の理解が深まると思いますのでよろしくお願いします。
エゴグラムとは
職場や学校でエゴグラムの性格テストを受けた人は多いと思います。
大半の方はご存知と思いますが、簡単に説明致します。
受験者は50個の設問に対し、自分に当てはまると思ったら「〇」、明らかに当てはまらないなら「×」、
どちらでもなければ「△」と回答します。
(〇と×の2択式の場合もあります)
50問に対する回答内容から、回答者の内面にある、次の5要素の強弱が判定されます。
- CP(クリティカルペアレント)「支配性、厳格な親」
- NP(ナチュリングペアレント)「寛容性、優しい親」
- A (アダルト)「論理性、おとな心」
- FC(フリーチャイルド)「奔放性、自由な子」
- AC(アダプティッドチャイルド)「順応性、行儀良し」
上記のうち意味が曖昧なところを調べ直したのですが、この場合でいうクリティカルとは「批判的」、ナチュリングとは「育てる、養育する」、アダプティッドとは「適合した」といった解釈になります。
私が初めて接したエゴグラムでは、さらに配点を元に折れ線グラフを書いたのですが、その形はたしか「右肩下がりのW」でした。
CPとAとACが高く、その3つがCPを頂点にA⇒ACの順に低くなっていく感じです。
エゴグラムが試せる参考サイト紹介
簡単に診断できるサイトがたくさんありますが、参考までにその中から一つ紹介します。
数分で終わる簡単なテストですので、興味のある方はやってみてください。
テスト自体の信頼性は高い。だが・・
交流分析の性格テストであるエゴグラムは、誰でも簡単に分析、理解が可能で、かつ実生活に利用しやすい点が魅力的です。
とにかく応用範囲が広い。
親と子、上司と部下、教師と生徒、先輩と後輩、友人同士など、およそあらゆる人間関係に対応できるため、これが利用されている現場は大変多いと思います。
交流分析は親と大人と子供と3分類するところを指して「PAC理論」などと呼ばれることもあります。
これは交流分析がフロイト理論の流れを汲んでいるからで、自我状態の3区分(スーパーエゴ、エゴ、エス)が、より一般向けになったと考えてよさそうです。
エゴグラムはこの親(P)と子供(C)がそれぞれ持つ二つの側面をブレークダウンし、全部で5分類(CP-NP-AーFC-AC)しています。
結果の解釈にも一定の法則性があり、しかも日常に溶け込んだ言葉を使って表現できるので、他者への説明が容易な点が、広く普及する最大の要因かもしれません。
フロイトの精神分析では、理論を駆使できるのは教育を受けた分析医ということになりますが、エゴグラム解釈のほうは門戸が広く、「診断」だけでなく「教育研修」「日常生活における工夫」などにも使われる理由がわかります。
信頼性は抜群と言ってよいでしょう。
ただし……
「CはPを正しく把握できない」というのが私の感想です。
過去の記憶は思いだせばよいが、未来予測にはクリエイティブセンスが要る
エゴグラムは真ん中にA(アダルト)を挟んで、その両側にP(親)とC(子)が並びます。
設問と向き合う今の自分『A』が、“過去の自分”『C』と、“未来の自分”『P』の回答をしていくとも言えます。
実際は、エゴグラムにここまで明確な時間の概念は導入されていませんが、結果に至るまでのプロセスで無視できない点だと思うのです。
“今”に関する質問(〇を付けるとAに加点される設問)は、まさに「今自分が感じるとおり」に答え、自分の幼さを想起させる質問に対しては「記憶」、規範となる姿を想起させる質問には「想像(創造)」で答えます。
エゴグラムに慣れると「これに〇答えると××に加点されるな」と、設問文で結果の想定ができるようになりますが、最初はそういうわけにはいかないので、設問を読んで“いつの自分に当てはめて回答しているか?”はランダムになるのが普通です。
質問に答えているのは紛れもなく“今”であるが、答えの内容までが現時点をそのまま示すものではなく、設問に応じて柔軟に時間軸を変えているはず
今の自分(A)が現時点のレベルで築いている人間関係を、時間軸をスライドさせながらテスト結果に出せるのがエゴグラムの特徴であると思います。
人付き合いの成熟度が見えやすいエゴグラム
今のレベルが結果に現われるテストということは、年齢や経験によって自分自身の大人度が変わっていくと、それによって設問の解釈が変わっていくことになるはずです。
たとえば私自身が、20代の頃に受けたエゴグラムの結果と設問文を読み、明確に違和感をおぼえるのは「厳しさ」の解釈でした。
当時のテスト結果ではCPが高かった私は「約束したことは果たすべきである」のような設問に意気揚々と「〇」を付けていました。
しかしこれは、まるでわがままな子供みたいな主張を「厳しさ」と誤認識していたからで、今の私がこの設問に接した場合は「×」や「△」を付けます。
私がエゴグラムに初めて出会ったのは日本メンタルヘルス協会のゼミでしたが、後日のゼミ仲間の話では、本人の自覚と他者からの見え方が全く違っていたという声をたくさん聞きました。
最も多かったのは「他の人が私になり代わって設問に答えたら、一番高い値はFCだった」というものです。
当人は教育指導的なニュアンス(CP)で接していたにもかかわらず、周囲の人の印象は正反対で、「注意されている、指導されている」というより「わがままや自己主張に対し、こちらが合わせている」というのが本音なのでしょう。
わがまま(FC)に対し、思いやり(NP)で対応してもらっていただけなのに、当人の認識は全く違っていたということです。
おそらくそれ以外の設問でも、CPの加点に相当するものに対して当人は「〇」を付けまくったでしょうが、周囲の人達は片っ端から「×」を付けたであろうことが想像に難くありません。
私自身も、まったくそのとおりです。
まとめ ~ 時を駆けるエゴグラム
設問には“今”答える。
しかし、実はその“今”とは純然たる時間軸のことではなく、自身の成熟度でもあるのがエゴグラムの奥深さでしょう。
成熟度が低い分だけPの設問を等身大と勘違いし、事実上は想像で「〇」を付け、成熟度が高いほどPの設問にも過去の記憶を顧みることができる
配点を表層的に解釈するだけでも高い効果が見込めるエゴグラムですが、回答者の「境地」を探ることを心がけながらこのテストを利用すると、より一層の結果が得られます。
コーチングでエゴグラムを使う方などは身に付いていると思いますが、この形でのエゴグラム活用はかなり活発な会話のストロークを生みますので、効果的な部下指導に悩んでいる上司の方々も、ぜひ試してみてください。