お久しぶりです。
感情会計エモアカの四緑文鳥です。
他のブログ記事を書いていてはてなのほうがお留守になっておりましたが、気になる記事を見かけたので少し触れておきます。
ただ「カネかけてモノ買って」よりも「既存のもの(体質)の見直し」は期待できる
小泉環境大臣については、これまでにメディアで題材にされる機会が多すぎ、完全にマスコミ補正が効きすぎて、世間一般だと行政執行の内容よりも「この人が好きか嫌いか?」の感情論が混ざって過熱する傾向にあります。
省内でも大臣室に配置されている事務官は滅多なことはしゃべれないし、大臣と接するキャリア官僚の中でも特に若手の人などは基本的に、良質な文脈に変換した大臣の印象を口にする傾向があり、表層的な断片情報しか耳にすることができない私たちのような下っ端にとっては結局、ランプメンバー(※)の一人に過ぎなかったりします。
※主要な部屋の壁の上方に取り付けられたパネルに、幹部(大臣や次官、官房の各トップ、局長や審議官など)の役職名が書かれた四角いランプがズラリと並び、在室中は点灯させています。
とはいっても同省の職員たちにとっては自分たちの組織のトップなので、やや距離感が近い分だけ、世間一般と同じレベルの感情論で決めつけることはあまりなかったように記憶しています。
私も自分たちが直接迷惑をこうむった大臣を、具体的な業務内容と絡めて不満を感じたことはありますが、そうでなければ基本的に冷めています。
そんなわけでこのニュース記事に書かれた内容も、さほどの感情を伴わずに捉えています。
そんな前提ですが、企画はともかく実行にあたる現場の仕組み作りが大丈夫かという懸念があります。
反射的に頭に浮かぶ雑感や問題点は両手の指で足りないほどありますが、あくまでも省内の話であり、一般の弱者や現場作業員に対する直接的な負荷や搾取につながるものではないとして、とにかく変化への試みについては賛成です。
上手くいかない場合は原因を明らかにして、継続か断念かを再度判断すればよいと思います。
環境省初の「女子会」
小泉大臣とは対照的に、ほとんどマスコミの注目を受けなかった狩野安さんは、1990年代に環境庁の政務次官を務めた方です。
2001年に政務次官というポストは「副大臣」か「政務官」に変わったため、もはや "環境庁歴代政務次官"というキーワードで探してもすんなり出てこないですが、当時の政務次官もまたランプメンバーのひとりでした(しかもナンバー2)。
官庁内では存在感が少なく「盲腸」と揶揄されることさえあった政務次官ポストは、初当選後の年次が浅い議員が就くのがお決まりであり、狩野さんもそのようなタイミングで就任されています。
当然、自民党内での力もまだ弱かったはずで、環境行政において特に大きなことができるいうこともなかったのですが、私は何となく名前に対する印象が強く『狩野安』という字面は気になっていました。
しばらくすると、庁内の供覧文書に混ざって狩野政務次官から、次官室での語らいの案内が見られるようになりました。
女性職員を対象に、毎週決まった曜日の夕刻、部屋を解放するので自由に入室し、お話ししましょうという内容で、しかもお茶とケーキを用意して待っていますということでした。
当然、男性である私には無関係なことではありましたが、こういうことをするというのは当時としては非常に画期的で「面白いなこの人」と、印象深い名前と相まって狩野さんのことが強烈に記憶へ焼き付きました。
面白かったのは、これに反応した女性は、私の周囲だとⅠ種試験合格者のキャリア組か、彼女たちと親しいⅡ種試験合格者が多く、なぜか私と同じ高卒女性でこれをアゲアゲで話題にしている人が記憶にない(ただ、好意的に感じている人は多かったようですし、私と交流がないノンキャリの女性で参加した人も当然いると思います)。
一方、男性陣でもこれに何らかの気持ちの動きを表出させたのは、なぜかキャリアが多かったのが印象的です。
ノンキャリアは局長や次官になることはないし、大臣も政務次官も含めて皆十把一絡げで「雲の上の人」というシンプルな認識の人が多かったからでしょうか。
「我々は生涯お仕えする側の役割」という気持ちに徹している上司も実際にいましたので、あまりヌケヌケと近づくような意識を持たない文化が、無意識のうちにできているのかもしれません。
ただ、いずれにしても狩野安さんのこの試みは、「女子会」なんていう言葉ができるよりもはるか昔に官庁内で実施されたことで、なんというか、さりげなく職場に添えられた一輪の花が殺伐とした空気を和らげるかのように、わずかな期間ではありましたが、毎週の夕刻、ひそかに咲き続けたことは、それだけで価値があったのではないかと個人的には思っています。
それも議員さんが等身大の女性の心持ちで企画したものとして、大変好意的に受け取れる事象です。
ということで、小泉大臣指揮下における「やりがい向上のための20%ルール」が好意的に受け入れられ、霞が関が改善されることを切に望みます。