こんばんは。感情会計エモアカの四緑文鳥です。
人との関係で無意味にマウントを取りにくる【マウント屋】対策について、前回は『暴力には暴力』という極端な例を紹介しました。
今回はもう少しテクニカルな方法を述べたいと思います。
ちなみに私がここで語る事例は、オフィス内で接客部門のスタッフに対し、管理部門の厄介者が横暴な態度を取るケースです。
でも、せんじ詰めれば人間関係の話ですから、置き換えれば様々な局面場面に当てはまると思います。
お客さんを味方につける
山梨県のジュエリーメーカー、株式会社 光・彩の2代目社長である深沢栄治さんは、大幅な事業転換を行うにあたって障壁となった、言うことを聞かない古い職人さんの統御に苦労しました。
www.kohsai-qq.co.jp
一流企業を退職して父親の会社に鞍替えしてきた息子に対し、古参従業員はそうそう簡単に心を開きません。
でも当時の光彩工芸(旧社名)の事業は深沢さんから見ていかにも古ぼけており、ここで会社を生まれ変わらせないとジリ貧になるのは目に見えている・・
そこで、お客さんと示し合わせてこっぴどく叱ってもらう、という方法を実践したそうです。
弱いことが「ダメなこと」と思わされる最低な状況
あなたがお客様に対応するときの情報提供を求めると
「そんなの〇〇だよ」
と、あなた止まりの回答しかできないくせにやたらと高圧的で、突き放した返答をする厄介者のことを、数回にわたって書いています。
マウントが取りやすい人だけを相手にしたいのが【マウント屋】の習性です。
だから、客対応をしなければならないあなたが困っていればいるほど、良いカモになる。
連中が望むコミュニケーションにはうってつけの弱者のあなたに対して、程度の差こそあれど
「さっきから同じこと何度も言ってるけどさぁ! だ・か・ら、〇〇が××で~! …」
などと、したり顔で見下した言い方をし、そして
(手間取られて迷惑なのに付き合ってやってるんだけど?)
といったマウント技のコンボを仕掛けてくる。
上手に負けてくれる親の元で、子は健康的に自我拡大するが・・
プロレスラーの藤波辰爾(たつみ)さんは、技のかけられ方のレベルが高い選手だと、誰かに聞いたことがあります。
仕掛ける側としては、技が綺麗に決まるため見栄えが良く、対戦相手として人気が有るそうです。
それだけでなく、技を正確に習得しやすくなるため「掛けられ方が上手い」という能力は、若手育成という意味でも優れている、という話だったと思います。
ところで【マウント屋】にとってのあなたは正にこの藤波さんや、ちょうどいい球を連投してくれるバッティングピッチャーみたいなものかもしれない。
お客様には抗えない【マウント屋】
腹立たしいことですし、何とかしたい。
しかし残念ながら、万人に効果のある返し技というものはありません。
それぞれのキャラクターや関係性、あるいは背景が違うのでこれは仕方ない。
ただし、お客様との関係性が強固である場合には、お客様から直接つついてもらうという方法もあります。
「何も知らないフリしてこっちから言ってあげようか?」
と、実はこちらの事情を知るお客様が気を利かせて、管理部門へダイレクトアタックし、その時のメールのCC(場合によってはBCC)にこちらのアドレスを設定してその模様を見せてくれることもある。
これは私も経験がありますが、やってみると笑いが出るほど効果てきめんです。
普段はメールで情報提供依頼しても、木で鼻を括ったような内容が言葉足らずで返ってくるか、あるいは無視という対応しかしない相手が、お客様にはへりくだって即対応している様子がよくわかります。
内部の他部門からメールを送ってもなしのつぶてなのは、忙しくて見られないわけではないなと露呈します。
お客様からの要望を伝達してるのですが…
相手の背景を思い、慮る能力は、常に必要とされる分量があります。
これが不足又は欠如していると『思慮が足りない』といわれ、人間関係に支障をきたしやすくなるのですが、【マウント屋】はたいてい短距離視点・短期思考なので目の前の相手をやりこめることに没入してしまうため、必然的に思慮は足りていない。
お客様に「社内の世直し」をお願いする
冒頭で紹介した光・彩の深沢さんは、社長就任前のマネージャー時代から好意的なお客様が何人もいて、意図的に職人さん同行で客先回りをして、連発で雷を落としてもらったと言います。
1軒目を出たところでは、まだ得意先の文句を言うほど反抗的な態度が残っていましたが、2軒目で「これはマズイ」という空気を出しはじめ、3軒目では完全にグロッキー。
自分の仕事のやり方を改めなければどうにもならないことが身に染みたようです。
勝ちパターンを作る
もしも、お客様との良き関係が築けているなら「この類のことであまりあなたに邪険な態度をとると、お客様からのしっぺ返しを食う」というパターンを作ってしまうのも手です。
こちらの記事でも書きましたが、とにかく【マウント屋】は力関係が軸になっているので、その力が何であっても質は問わない性質があります。
ただ、平和的な性格のあなたは「お客さんまで巻き込んだパワーゲームなんて気が引けてしまう」と及び腰になるかもしれません。
しかし、数回同じ内容の問い合わせや要望が続けば、業務フローの素地ができやすいのも事実です。
たとえば、いつも納期を聞かれたときの対応の途中で【マウント屋】がしゃしゃり出てくるとしたら、こういったお客様からの介入を数回繰り返すと「接客窓口の担当者にも、納期情報ソースを開放する」という方向へ進む場合もあります。
”あなたは前向きな人”という高評価のオマケが付く
管理部門には、接客が極度に苦手な人や、接客で自分のリズムを崩されることを嫌がる人も多いので
「それはこちらでするから、その部分だけ情報共有してくれ」と主張し、
暗に「拒むならまた繰り返しが起きるぞ」とひそかな脅しをかけるのは効果的です。
また、この方法には「面倒なことを、守備範囲を広げてまで請け負おうとする積極性」と受け取られる一面もあります。
あなたにとっては厄介者の排除にすぎないのだけれど、見る人が見れば「前向きな人」と嬉しい誤解というおまけが付加する可能性もあるのです。