FMの朝の番組「ワンモーニング」内のコーナーで、バズフィードジャパンの方が、NTTの澤田社長が参考人招致される件で解説していました。
言わずと知れた、総務省幹部への違法接待疑惑に関わる事件の話です。
”ただの人”を積み上げて作る『防衛ライン』
総務省で事務方ナンバーツーだった谷脇審議官の事実上更迭。
『菅総理の懐刀』と言われ、ゆくゆくは事務次官が確実視されていたということです。
解説していたバズフィードジャパンの方が問題視していたのは、接待は「した側」も「された側」も問題であるという点です。
「した側」であるNTT社長が参考人招致されるのは当然ですが「された側」である前審議官が『更迭して”ただの人”になったので、もう呼ばなくてよい』とされているのはおかしい。
接待した側の扱いにも問題がある
東北新社は、13人に対して39回の接待をした。
NTTは2人に対して4回の接待をした。
回数で言えばその差は歴然としている。
こうなると「NTTは招致され、東北新社が招致されない」ことは明らかに妙だ。
それと同じくらい「審議官は更迭して”ただの人”になったから呼ばなくてよい」が釈然としない。
さらに、毎日新聞によると菅総理の息子は『最終防衛ライン』だから呼びたくない。
首相に直結してくるからだ、との報道を例に引いて、見ている側は違和感をおぼえるとの解説でした。
東条英機の『防衛ライン』
この放送を聞いた私の頭の中に浮かんだのがこの図です。
「太平洋戦争の失敗・10のポイント (PHP文庫) 179頁より」
実線で示された『絶対国防圏』です。
コロナ過が”有事”であることを痛感せざるを得ない
今回のコロナ騒ぎでの政府の対応を太平洋戦争時の”大本営”と揶揄する声は多いですが、まさにその太平洋戦争時に国家の指導者が喧伝していた概念のひとつに、この『絶対国防圏』があります。
事実上は全くの虚構でした。
そしてさらに、これだけでは足りないと、当時の指導者代表だった東条英機の名前を冠した『東条ライン』なるものがサイパン(上図のマリアナ諸島あたり)に敷かれていたようですが、アメリカ軍はあっさりとそれを突破し、本土へ向けて侵攻してきます。
事実上は虚構である防衛ラインなるものを設けたのは、「設けてみせた」という表現が正しい。
誰に対して設けてみせたのかと言えば、日本国家の敵である連合国ではなく、国内にいる大多数の日本国民に対してと言ったほうが正しいと思います。
『絶対国防圏』が喧伝されるようになったのは、いい加減敗亡が見えてきたときのことです。
指導部への突き上げが強くなってきたから、出まかせを言ってでも自分たちへの攻撃を避けるだけの先送り効果しかありません。
外敵に負けが込んでくると、「国内の外敵」に備え始めるのが有事の特徴
大日本帝国の指導部に対し、その指導力にNOを突き付ける国内世論は、東条たち指導部にとってはアメリカと並ぶ忌まわしい敵と化していた。
それがうかがえる”虚構の防衛ライン”
現代に翻って、更迭したり、離党させた身内たちが『絶対国防圏』で、長男が『菅ライン』という絵図が見えて仕方ない。
虚構の防衛ラインは、有事を有事ならしめている本来の敵には全く通用しない。
気味が悪いほど、昭和の暗黒時代に酷似している政府の姿が、この先の醜態を暗示しているようで空恐ろしい・・