物語の5日目 11月13日(日)pm 3:00過ぎ
昨夜の続きで、朝倉の住む上目黒のアパートにて
前夜は特に夜更かしした記述もありませんが、今日は日曜日。
朝倉哲也は午後3時過ぎまでゆっくりと睡眠をとっています。
明日までの肉を手に入れる
昨夜の夕食は7時くらいに食べた五目ソバですから、20時間ほど絶食状態です。
朝倉の肉ゲージ(満腹ゲージ)はすでにゼロ状態だったでしょう。
この状態で活動すると、HPが削られ始める危険なレベルです。
空腹に耐えかねてベッドを離れた朝倉ですが、アパートに食べるものは残っていない。
しかも、お金もない。
朝倉哲也、最大のピンチです。
安月給・大食い・活動的な若者のあえぎ
この日の朝倉の動きは、別の記事で時代背景を加味した彼のフトコロ事情の検証記事で紹介していますが、古本を売り払って手取りの10分の1ほどの現金を手に入れ、食料を調達しています。
この夕方の彼の食事は
「半キロのボロニアはフライパンで炙り、五個の卵は目玉焼きにして、その全部をゆっくりと胃におさめた」
とのことです。
炭水化物ゼロの食事を終えた彼は、「これで、たとえ明日まで何も食わなくても体力は続くだろう」として外出します。
空腹ダメージで減ったHPも回復したのでしょう。
2千円持って鮨屋に入り、大トロを喰う貧乏人
横須賀で一仕事してから、夜の9時ごろ、朝倉は”浜鮨”という鮨屋へ入ります。
おしぼりを持ってきた板前に、彼は不思議な注文をします。
「ビール。それからトロを切ってくれ。大トロのところだ」
大トロ食うんかい!
ゼニ無いんじゃないの?
しかし、さらに不思議な一文が書かれている。
朝倉は値段の心配のないものを注文した
イヤイヤ! 私なら心配で注文できない。
昭和41年の頃って、大トロは値段の心配のないネタだったのでしょうか。
江戸時代なら、脂が多くて劣化しやすいトロは捨てられてしまうことがあるほど価値が低かったのでまだわかりますが・・
昼間、本を売り払った代金2,500円のうち、500円はボロニアと卵を買って消えた。
横須賀まで行き来した移動の費用よりも、この鮨屋の代金が、残り2,000円を霧消させた最大の原因なのではないかと今でも思う私です。