国民の消費行動が、景気を左右しているのは言うまでもない。
一般家庭の消費行動が、国民の消費行動に直結しているのは、もちろんのこと。
そして、食事や日用品などの日常的支出が、一般家庭の消費行動の主要素なのも、たしかなことだ。
ということは、我が家で揚げ物用に使っている菜種油もまた、些末ながらも景気を左右する要素になる。
少なくとも我が家の家計と不即不離であることは否めない。
言葉で丸め込もうとする奴に注意
税込みで1缶749円(内消費税55円)だった菜種油が、818円(内消費税60円)に値上がりした。
たった1缶買うのに、なんと一気に69円も上がってしまった。
払っている税金が、そのうち5円を占めている。
腹に入るわけでもない消費税の負担は、こんなふうにかさんでいる。
この場合、値上がりした69円というのが、購入価格の内税に近いことがまた、消費税の憎々しさを一層引き立てている。
今後、様々な値上げがあちこちで起こってくる前提で考えたい
さて、ここで『景気を左右する一般家庭の消費行動』という尺度で考えてみる。
我が家でこの菜種油を買うのはおよそ月に一度。
ゆえに、我が家でひと月に支出できる菜種油の予算額が750円だとする。
(購入価格749円なので、1円のバッファがある)
しかし、来月から値上げされて価格は818円になるとする。
予算ルールを遵守するなら、オーバーフローとなってしまうので来月は買えない。
菜種油ごときで何を大げさなという向きもあると思うが、これは話をシンプルにするために些末な事柄に置き換えているだけで、日常品だけに人それぞれに別なものへの転換や拡大がしやすいだろうという含みを持たせたまま、このまま話を進めることとする。
ドラスティックな対応手段「来月は買わない」
この値上げが消費行動に与える、最もドラスティックな衝撃は「来月は買わない」というものだ。
予算を留保して一ヶ月持ち越し、翌々月の予算額が合算されないと、818円に満たないからだ。
このことにより、それまで一定の需要に基づいて、定期的になされていた購買活動にブレーキが掛かる。
そして、こういう消費行動の停止が、大規模に起こったとする。
極端に言うと、我が家のみならず全国規模で、値上がりした様々な日常品の「消費1回(月)休み」現象が起きたら、それこそ経済へのダメージは計り知れない。
財政出動するなんて、そんなドラスティックなことはできない
こんなとき、つまりどう見ても経済的悪影響が出てしまうことが確定している場合、我々は国家の積極的な財政出動を期待する。
ここで手をこまねいているような政府では、税金を収めている意味がないという論調が世に満ちると思う。
やはり大規模な積極的財政出動は必須という世論が形成されたとする。
だがそれは、財務省にとって悪い意味でドラスティックな手段だ。
絶対に積極財政だけは回避しなければならない。
分断を起こしてしまえば、起こった問題をウヤムヤにできる
広く一般国民の懐に沈み込んでしまうタイプの財政出動を、とにかく嫌う財務省。
しかし、このまま放っておけば悪影響が出てしまうことは、国民が全員知っている。
だから「悪影響の幅は知れたものであり、大したことはないのだ」というプロパガンダを打つ。
そして繰り返す。政治家、御用学者、マスコミを総動員してサブリミナルで洗脳する。
それで実際に問題が起きても、国民の間に分断を煽ることに成功すれば、互いに攻撃しあって、勝手にウヤムヤにしてくれる連中だからだ。
では、例えばどうするか?
とりあえず、国民に寄り添うという選択肢だけは、絶対にないという鉄則を守ることから始めなければならない。
「事実」に直面する国民の「感情」は、財務官僚にとってはアンタッチャブルな問題だからだ。
「事実」はシンプルでも「感情」はそうはいかない!
<問題の事実>
1缶749円(内消費税55円)の菜種油が818円(内消費税60円)に値上がり。
来月から1缶あたり一気に69円も価格が上昇。
<事実に伴う感情>
消費税負担が55円→60円に増加。
「そもそも毎回これだけ払ってるんだよな。それから、たしか消費増税の前に『これは社会保障制度充実のため』って言ってたよなぁ・・」
(鈴木茂税務会計事務所HPより)
もうかなり厳しいのだが、このうえまだ取るのか?
どこまで搾り取るつもりだ?
それに、こんな声も聞こえてくる・・
(表は全商連HPより抜粋⇓⇓)
さあ、この国民感情を、どうやってウヤムヤにするのかな? 財務省さん。
日常品の価格上昇は、このままでは避けられない問題だ。
”優秀な官僚”はどうやって国民感情をいなしてごまかし、ウヤムヤにするか?
成長が衰えて経済的に置いてけぼりを食っている日本では、各国の水準が上がれば相対的に水位が上がって下階層から順番に溺死する。
単に「節約しましょう」ではただのジリ貧だし、貧困層はすでに節約どころの話ではない。
今の段階ではかろうじて中間層にいる「貧困予備群」の中には、すでに足元の釜の蓋が開いている状況の者も居る。もはや時間の問題だ。
そして、「自ら稼いだことのない連中の妄想」を基準にした、無責任な最低賃金引き上げを企業に課すと、負担に耐えきれずに廃業する事業者が続出し、失業者が増えてより悲惨な状況を引き起こしかねない。
ここで官僚(特に財務省)がどういう手を打つのか、もう少し考察してみたい。
(続く)