【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

「額」と同時に「手間」や「時間」の救済も考えて・・経営者が参ってしまう

気になっていることがあるので、前回記事の補足で書きます。

中小企業はこの「賃上げ税制」に乗っかって、額面通りのパーセンテージに節税が成功するのだろうか?

 

blog.dbmschool.net

 

 

役人と違って、経営者はこんなもの読まされ、理解を強いられるのは事業体の命にかかわるのだけれど・・

中小企業庁のHPから賃上げ税制のガイドブックとQ&Aの資料を読むことができます。

www.chusho.meti.go.jp

ガイドブックのURL ⇩

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai03guidebook.pdf

 

金額や料率がどうのという以前に思うことがあります。

 

「起業家は己が志す”しごと”がしたくて事業を開始したのであって、こんなことのために労働力を奪われては大変な迷惑」

 

私は別のブログで、規則や会計を握った管理部門が、営業部門のスタッフを下に見て余計な負担をかける様子を見て「会計がしたくて起業する経営者はいないのだが?」と、やや皮肉った物言いをしたことがあります。

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定款に書かれた設立の意義に沿った働きをし、管理部門の食い扶持を稼いであげているのに、何故か感謝もなく当然のように下に置かれる営業さんたちが不憫に思える現場を、ずいぶん経験してきたからです。

(逆パターンの凄まじいのも経験しましたが・・)

 

国の掣肘は仕事の邪魔

しかし、社員同士のソリが合う・合わないといった話と、国が事業活動に細かく掣肘を加えるのはわけが違うと思う。

 

「いや別に、面倒だと思うならやらなくていいんだよ」

 

と、節税のために努力しない奴、節税の制度を理解できない奴に対しては、絶対にプッシュ型の救済はしないのが国の常とう手段です。

 

しかし、格差拡大&低成長&増税に加えてコロナ禍を迎えた今、生きるために必死になっている事業者に対して複雑で面倒な節税要件など出してくるなと言いたい。

 

事業運営が改善しないと、成長どころか維持すらも困難な状態なわけで、一番力を入れたいのは【本業の発展】のはず。

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官僚の自己満足に満ちた小難しいガイドブックなどに、経営者の大事な時間と労力を割かせるな!といったようなものでしょう(中小規模だと経営者自らがこの問題に手を付けなければならないことが多いと思うので)。

 

苦しい経営者にとって、神が宿るという「細部」は”常の居場所”

ところで、中小企業における賃上げ税制の優遇面は「最大で40%」とのことです。

 

”教育訓練” と ”経営力向上計画” とかいう上乗せを含んでの40%なので、純粋な給与増加による税額控除は、増加額の30%が最大とのこと。

 

ガイドブックにはやたらと図解があったり、「この場合はこっちを選べ」「この場合は認められない」などの注意力クイズみたいな説明が満載ですが、シンプルに一般論で考えると、どうにも疑問が多い。

 

だいたい、今の状況下で「教育訓練」とかにカネかける余裕のある中小企業なんて、どのくらいあるのだろう?

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このあたりに、「稼がなくてもメシが口に入ってくる」役人のヌルさが表れている気がする。

鳴り物入りで作った救済制度だったがほとんど利用されなかった給付金を、「作りました!」とドヤ顔で発表する総理がいたけれど、あれも考えたのは官僚だし・・

 

効果の威力は規模で決まると考えて清水の舞台から・・

たとえば、従業員20名の会社の経営者が、売上やその他経費のやりくりを考え抜いて、覚悟を決めて全員の給与を月額2万円(!!)上げたとする。

 

月で考えれば40万円を、従業員への支払額として追加計上した。

税額控除が30%満額付くとして、ひと月当たり(という考え方が税金にもあるとして)12万円の節税になる。

 

給与は通常、待ったなしのキャッシュアウトだから、これが増えると経営者は資金繰りがシビアになりますが、税金もやはり待ったなしのキャッシュアウトなので、これが減ると少し気が楽になる。

 

18万円の追加負担に耐えうる会社の状態を維持できれば、30%の税控除を最大限に活用して従業員満足を提供し、皆も一層踏ん張って「資金の回転」や「粗利維持」、そして「販管費節約」に貢献してくれるだろう。

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「月2万円の上昇」はインパクト充分。そして、30%の税控除も、決断した甲斐のある見返りがあるものになるだろう・・

 

「たかがそのくらい」と言えないシビアな状況だったら・・

ただし、給与を一人当たり2万円上げたということは、支給額40万円に満たない程度の従業員だと、軒並み社会保険料の定時決定には引っかかってしまうはず。

 

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r3/ippan/r30213tokyo.pdf

たとえば、上のURLの表で標準報酬月額が300000円の人なら、2万円の給与増で320000円の等級にランクアップします。

 

従業員本人の負担が増える一方、会社も折半で同額が負担増(実質的に増税)。

会社負担分は「法定福利費」。

これを「給与等」に参入してよいという記述は、今回の賃上げ税制に関するガイドブックやQ&A集には見られない(給与所得じゃないから当然なのでしょうが・・)。

 

ということは、この分のマイナスを込みと考えたら、国が主張する税額控除率30%の恩恵は実質的には得られないことになってしまう。

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30万円から32万円に等級アップした場合の企業負担分の増額は、上の表を参考にすれば1,830円。

 

20人の従業員がすべてこの範疇に入る給与額だとしたら、会社負担額は36,600円増えるので、税控除額は120,000-36,600で83,400円。

実際の税控除率は20.85%となる。

(この前後数等級は、皆同じ動きになる)

 

それなら、一人当たり1万5千円くらいに抑えて、昇給による影響が出ないようにする?

 

……最初に書いたように、「起業家は己が志す”しごと”がしたくて事業を開始した」のであって、こんなことのために使う余計な計算や手間とか、今の情勢の中で負わすなよと言いたい。経営者がかわいそう。

 

だからやはり、社会保険料を下げる(一時カット)のほうが、効果は大きいと思うのです。

どうでしょう?