えーと・・
どこまで書いたんだっけ?
フムフム、なるほど・・
さて、前回記事⇩⇩⇩で食べる量のデータが取れたので、次は料理のお膳立て・・そう、まさに「お膳立て」を考えていきましょう。
一応 (-_-;) 原作の説明を挟みます
これを読んでいただいている方々の中には、私がなんの話を書き連ねているかよくわかっていない人もいるかも知れないので、このあたりで一度、元の作品の情報を挟んどいたほうがいいかもしれませんね。
記事タイトルにもありますが、大藪春彦さんのハードボイルド小説『蘇える金狼』です。
それにしては食べるシーンがやたらと多く、しかも食べる量がケタ外れで面白いので、「食事シーン」だけに絞って楽しむことに特化した「感(妄)想文」をひたすら書いてます。
店について考察する
さて、朝倉が足を踏み入れたのは『大衆的なオデン屋』
おでん屋というからには、たくさんのおでんをグツグツと煮るためのおでん鍋が備えられていたと考えて良いでしょう。
舞台は昭和41年なので、電子レンジが当たり前に使われる時代ではありませんから、写真の様子とはかなり違うと思います。
ところで、おでん鍋って、タネは何個ぐらい入るのでしょう?
朝倉君は、これから90個ぐらい食べるんだけど・・大丈夫?
『大衆的なオデン屋』とは?
おでん鍋と一口に言っても、家庭用と業務用があるらしく、おでん屋ならば当然業務用を使っているはず。
店の規模が判然としないので、おでん鍋を何個置いているのかが不明ですが、一つの指標として『大衆的な』という言い回しが存在します。
『蘇える金狼』ではたとえば、「タクシー運転手が多数利用する店」など、多くの場合、その店の雰囲気や特徴を示す手がかりを提供してくれています。
だからここで使われた『大衆的な』という表現は、なんとなく書かれたイメージ描写ではなく、店の特徴を能動的に言い表した大籔的世界観の産物であると考えるのが正解な気がする。
家族連れも訪れる『大衆的オデン屋』には、おでん鍋はいくつ設置されているか?
わざわざ『大衆的な』と言うからには、その店に集うのは呑み助だけじゃなく、家族連れなども多かったのではないか?
なぜなら、このオデン屋は賑やかな商店街沿いに店を構えています。
買い物ついでにちょっと顔をのぞかせ、今晩のおかずに一品付け足す目的でボールなんかを買っていく主婦が居てもおかしくない。
でしょ?
そして、おかずを買うほど日常に溶け込んでいるお店なら、たまの日曜日なんかに子どもたちを連れて一家で来店することもあったはず。
お父さんは一杯やりながら、はしゃぐ子どもたちと一緒にワイワイと。
その一方で「今日の晩ごはんはお休み」と羽根を伸ばすお母さんもいたことでしょう。
古き良き昭和の光景が、そこには展開されていたと想像できます。
となれば、それ相応の客数が収まるだけの、そこそこ広い店内の様子が浮かんでくる。
ただし、「お酒を飲みながら」や「子どもたち」という客側の陣容を考えると、そんな大量にタネを食べる人間は居なさそうでもあります。
そこで、おでん鍋は常時2台を稼働、予備を1台と仮置きします。
予備は故障時とか、大勢客の予約が入ったときなどの非常時用です。
ふだんは物置きに収納されているものとしてみましょう。
おでん鍋の容量について考察する
次は容量についてです。
業務用おでん鍋に収まるタネの数が定かでないため、もう少し身近な「家庭用おでん鍋」について調べてみました。
⇧⇧⇧こちらの記事で紹介されているおでん鍋は「多用途おでん鍋 ふるさとのれん KS-2539」です。
写真で確認すると、かなりギュウギュウに詰めて、おおよそ40個ぐらいのタネが浸かっているように見えます。
メーカーサイトで調べてみると、この「ふるさとのれん KS-2539」のサイズは幅387×奥行290×高180mmです。
満水容量は6.5リットル。
多用途おでん鍋 ふるさとのれん KS-2539 RCP キッチン家電 調理道具 調理 料理 おでん 煮込み 煮る 茹でる 焼く 蒸す 炒める 団欒 団らん
一方、こちらが業務用おでん鍋。
電気おでん鍋 NHO-8SY
サイズは幅540×奥行360×高さ277mmです。
有効内容積は20リットルとのこと。
「家庭用」と「業務用」は、『客』の存在により扱い方が全く違う
家庭用の「満水容量」と業務用の「有効内容積」の違いが分かりませんが、単純に比較すれば容量は大体「1:3」程度の割合になります。
業務用は家庭用の3倍の体積を持つわけですね。
単純に考えれば、中に収まるおでん種の量も、業務用は家庭用の3倍。
しかし、そんなにすき間なくギュウギュウに詰めるだろうか?
プロのおでん屋なのだから、量はさることながら、是非とも美味しさにこだわってもらいたい。
そのためには、おつゆをイイ感じに循環させ、まんべんなく味を染みさせておいてほしいな。
ゆえに、有効内容積いっぱいにおでん種を詰め込んだりせず、若干の余裕を残してもらいたいところです。
しかし、これについては心配しなくても平気かもしれません。
来店客の粗密の問題があるからです。
客の入り具合によって、おでん鍋を使いこなすベテラン店主
おでん屋のオヤジさんには長年の勘がある(と思う)。
日々の来店者の予測も、かなり正確にできたと考えられます。
基本的に、お客は近所のお馴染みさんたちばかりでしょうし、ね。
となれば、客が来る時間帯に、各具材が一番良く煮上がるように、調整しながら追加する腕前はあったでしょう。
しらたきが大好きな堀井さんはいつも6時半頃。
7時過ぎに来る稲田さんは、つゆの色が移り始める頃のはんぺんがお好み。
大のダイコン好きな三条さんは8時頃だったな・・
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煮えすぎて型くずれしたり、最適な食感を失えば文句の一つも言われる。
それが続けば評判が下がるし、好みに合わないものばかり出していると、自ずと客は離れていってしまう。
それゆえに、効率ばかりを優先しておでん鍋いっぱいに、むやみとタネを詰め込むなんてことはなかったでしょう。
おでんに合う最高の熱燗をつける方法
それから、燗の問題もあります。
おでん鍋の一角に「ちろり」を浸けといて、その中で熱燗が虎視眈々と上戸の呼び声を待っているあの感じこそ、おでん屋の醍醐味でしょう。
別の鍋にかけた湯煎じゃなく、おでん鍋の中で熱された容器から注がれた日本酒。
おでんとまったく同じ熱さというところが、とても良い。
五感の連続性を感じさせ、お店と飲食・・いや呑食への没入感を演出する。
コップから立ちのぼる湯気が、皿に乗せられたおでん種からの湯気と相まって目の前で揺らぐ。
少し目線を上げると、目の前の大きなおでん鍋からは、もうもうと惜しげもなく白き筋が舞い上がっている・・
<松重さんの声を想像しながらお楽しみください>
ああ、おでん
多種多様のおでん種から好きなものを選んで食う、日本古来のビュッフェ
目で食い(煮える具材のアップ)
鼻で食い(湯気のアップ)
そして耳で食う楽しみ
(グツグツと音を立てて循環するつゆと、揺れる玉子3個ぐらいのアップ)
かの魯山人は「粗末な食い物」と言ったらしいが、粗末上等
俺のような風来坊には、気取った高級料理なんかより、粗末な食い物がお似合いだ
おでん鍋から皿に盛って出されるのは、厳しいセレクションを勝ち上がった優秀な選手たちだ
見ろ、こんなに白い息を弾ませ、皿の上でも活き活きと、最上のパフォーマンスを、惜しげもなく発揮しているじゃないか
このおでん種を箸で挟むとき、俺は触感でもおでんを食っている。
視覚、嗅覚、聴覚、触覚ときて、最後の締めが味覚だ。
五感をこれほどまでに刺激し、気持ちを沸き立たせてくれるおでんが「粗末な食い物」であるはずがない。
魯山人先生、俺にとってやっぱりおでんは、「ハレの日のごちそう」なんです
イイね。
イイよぉ〜、五郎さん。
ああ、もうお腹いっぱい・・
今回はこの辺でやめときましょう。
<次回予告>
戦慄!店を貸し切るに等しい『わんこおでん』の恐怖!!
乞うご期待!