「みりん」についてすこしだけ・・
いつも行ってるスーパーの、いつもと違う店舗に入りました。
(会社帰りだったので、自宅近くの店じゃなかった)
そろそろなくなる頃のみりんを買い足しておこうと思ったのです。
我が家の定番「三州 三河みりん」
いつもとは違うとはいえ、同チェーンの店ゆえ、品ぞろえは似ているはず。
それに、「これは定番では?」という思い込みのあった私は、あると信じて入店しました。
どのみりんかというと、このみりんです。
「そのまま飲んでも旨いみりん」三河の本みりんです。
(我が家で買ってるのは500mlタイプ)
高い調味料が「節約」になる理由
値段が安いとは言えないけれど、調味料なんて、一回に使う量は知れています。
それに、良い調味料は少量でも存分に味を引き立てるので、結果的に節約できてしまう。
安い調味料を大量に買って、使い切れないうちに悪くしてしまうことを考えたら、どっちが得かわからなくなります。
それになによりも「料理が美味くなる」
これに尽きます。
置いてなかった「定番・三河のみりん」
ということで今回も三河の本みりんを買うつもりだったのですが、なんとこれが無い。
店舗面積は、行きつけの店よりずっと広い。品ぞろえも豊富。
なんなら、「本みりん」の種類だって、こっちの店のほうが多種類ある。
店員さんに聞いても、三河の本みりんのことは知らなかった。
店舗によって、発注担当者のセンスは違いますからね。
他のポジションの担当者だと「普段ウチの店に置いてる商品」しか頭に入ってないことが多い。
まあ仕方ない。たまには別のものを試してみるか。
ということで買ったのがコレ。
そのスーパーでは799円 (600ml)
我が家の定番「三河の本みりん」が1040円 (500ml)
ずいぶん安上がりになりました。
味が良ければこちらに変えるのもありかな?
「三河」は有機材料を使っていて、そういうのは応援したい気持ちもあります。
せっかくだから比較しよう
ともかく味比べしてみよう。
「三河」と「昔仕込」、どんなちがいがあるか?
「三河」の香りについて
焼酎を飲まない私は詳しくないですが、梅酒を浸けるときに使う焼酎のシャープな刺激を感じます。
そして、なんとなくトロンとした液体を思わせる独特の甘い香り。
「昔仕込」の香りについて
「三河」に慣れている私の鼻にとっては、かなりクセが強い。「臭み」といっても過言でないくらいの違和感があります。
しかし、発酵させて作るものですから、環境によってもかなり差は出るはず。
むしろ、差が無かったらどれを買っても同じことになってしまう。
この辺は好みの問題ですね。
「三河」の啜(すす)り飲みはどうか
・・というか、「三河」に関しては香りも味わいもさんざん試してるんだけど・・
まあ、他商品と並べて試したことは無いから、もう一回ちゃんとやりましょう。
「三河」を少しだけ啜るように口に含むと、香りに恥じない甘さが口中に行き渡ります。
そのあと、鼻腔の奥までじんわりと香りが伝わり、喉奥にもゆったりと甘さが広がっていく。
日本酒、特に辛口が好きな方にとっては、この強烈な甘さは耐えがたいでしょうけれど、火を入れてアルコールを飛ばした「調味料としてのみりん」は、抜群の働きをしてくれます。
「昔仕込」の啜り飲みはどうか
おしゃべりな「三河」に対し、クールで無口な「昔仕込」といった感じです。
即座に鼻腔や喉奥に積極的アプローチしてくる「三河」とは違い、「昔仕込」は舌先で存在感を出し、口中に馴染んでから体に侵入してくる足取りです。
いきなり座敷へ入って「さあさあ皆さんお立合い」とはしゃぐ割に所作はゆったりした「三河」と、しばし玄関先で立ち話してからおもむろに座敷に上がる「昔仕込」
香りのクセの強さのわりに、口に含んでからは意外に地味。
辛口日本酒好きな人にとっては「三河」の直飲みはレッドカードでしょうが、「昔仕込」はイエローカードといったところかもしれません。
「美味しい調味料」のキーワードで思い出す小説
調味料にこだわるたびにふと頭をよぎるのは、昔読んだ星新一さんのショートショートです。
宇宙船で新たな文明を発見した地球人が、友好的な歓迎を受けて部屋に通され、しばらく待たされる。
隊員が「コレ、旨いですよ!」と、棚に置かれた壺の中の液体を舐めて言う。
他の隊員たちも試したところ、やめられないほど美味しくて、しまいには手ですくって飲みつくしてしまった。
そこへ入ってきたその星の外交担当に、きまり悪そうに謝罪すると、彼は妙な顔つきで「それは肥料なのです。そんなものより、こちらを召し上がりませんか?」とテーブルに果物が載った大皿を置く。
「美味い! これは・・さっきの肥料とは段違いだ!」
争うように食べ尽くした後、隊長は相手に尋ねる。
「こんな美味しい作物、どうやってお作りになったのです?」
「特別なことはしていません。先ほどの肥料で育てただけです」
次に出されたのが肉料理。一行はまたも驚かされる。
「さっきの果物も美味で驚いたけれど、この肉料理はあれをはるかに上回る!」
またもや隊長は担当者に尋ねる「どう作ったのか」と。
「先ほどの果物を与えて育てた家畜の肉なのです」
「素晴らしい。こんな美味に囲まれて、この星の方々は幸せですね」
「我々の星が気に入ったようですね。お気が済むまでゆっくり滞在していて結構ですよ」
「毎日こんな美味しい食事ができるなんて・・。隊長、私たちも少しここで骨休めしましょう!」
隊長は複雑な顔でこの星の担当者の表情をうかがい、なおも美味に興じる隊員たちを見て即座に引き上げるよう命じます。
命令とあっては仕方ない。宇宙船に戻って出発しますが、隊員たちは不満顔で隊長に文句を言います。
「なぜ引き上げるのです? せっかく美味い食事を楽しんでいたのに・・。住民たちだって好意的だったのだから、何の問題もなかったでしょう?」
「あの担当者の顔を見たか? 美味に囲まれていながら、そのことに喜びを感じている様子がまったくないどころか、旨そうに食べている我々を見ながら『食欲をそそられているような顔』をしていたのだ」
「・・・?」
「美味な肥料で美味な作物を育て、その美味な作物で美味な家畜を育て、今度はその味に満足ができなくなっている」
「・・・??」
「そこへ訪ねてきた『他星人』を、彼らがどう扱うか」
「・・・!!」
「そんなことはないかもしれない。でも、『あるいは』と考えたのだ」
「・・隊長、よく気づいてくれました。私たちは命拾いしたのかもしれません」
この話、題名は忘れましたが、かなり昔に読んだにもかかわらず、いまだに記憶に残っています。
ああ、もう一度読みたい。