このあたりでまた、作品の説明をしておきましょう。
私の勝手な想像でいじくり回している大藪春彦作品『蘇える金狼』
本来は硬派なハードボイルド小説です。
ただ、主人公・朝倉哲也の食事シーンがあまりにも衝撃(笑撃)的、かつ描写の回数が多いので、食べるところだけにフォーカスしても充分に楽しめる作品です。
⇩⇩⇩この写真は、上巻(野望篇)での食事シーン描写ページに付箋紙を貼った様子です。
60年経っても色褪せない大藪春彦的世界観
『蘇える金狼』は曜日の設定から、おそらく昭和41年の話だと思われます。
アサヒ芸能に連載されたのが昭和37〜41年。
単行本が刊行されたのは、連載終了と同年の昭和41年です。
この当時読んでいた人は、作品内の時代背景に違和感がなかったと思いますが、令和4年ではそうはいかない。
この物語を読むには、その変換も必要です。
検証することで、さらに楽しみが増える。
しかし、最も楽しい検証は、朝倉が食べる量。
これには時代は関係ありません。
とにかくボリュームがすごい。それに、食材に極端な偏りがある。
物語初期では、そこに金回りの悪さも相まって、食材調達のリアル感や、外食で「アンタ、お金ないのにそんなもの頼んで大丈夫なのか?」とハラハラするシーンが散見される。
食事小説として、お金にちなんだ起伏が楽しめるのも、大藪作品の真骨頂です。
ぜひ読んでみてください。そして、食事シーンの間に挟まる(!)ハードボイルド・ストーリーのほうも、お好みでどうぞ。
ちなみにこの作品、朝倉のおカネまわりに関する動きを追っていくのも一つの楽しみ方で、私はこれを読みつつ、SF作家・星新一さんの長編小説『気まぐれ指数』が何度も頭をよぎりました。
ではこのあと、本題に入っていきましょう。
色々と問題が多かった3D画像
世田谷・赤堤の赤松荘205号室。
前回、チッチ勢の妨害を受けつつも、二人の寝室についてはレイアウトを決めました。
では、洋室のほうも簡単にレイアウト決めときますか。
なにせ、この11月25日の食事シーンの舞台は、この8畳の洋室ですから、本当はここが一番大事な場所です。
でもその前に・・
熱中したあまり三角関係を描いてしまった
前回はソファ位置の考察から寝室の間取りにこだわって、3D視点まで作ってしまいました。
⇧⇧⇧立ち姿の女性は、ベッドが低いことを証明するサイズ見本のつもりだったのですが、下の記事をアップした時に「怪しい感じがする」というナイスなコメントを頂き、「たしかにそのとおり」と自分で笑ってしまいました。(ベッドはオフィス用スツールで代用しているので高さが無い)
3人の姿が怪しく感じる最大の理由は、立っている女性を、ベッドに腰かけた二人と同じ方向に向かせたため、密会現場に踏み込んだ三角関係のもつれみたいになっているのが原因と思われます。
この人は本来、我々にサイズ感の違いを伝えるために居るので、やはりカメラ目線にすべきでしょう。
どうでしょう? これなら?
熱中したあまりお化け騒動を描いてしまった
ちなみに、色々と試行錯誤している最中に新たな発見がありました。
人物の位置取りがかなり自由なのです。
⇧⇧⇧こうするとホラーになり、、
⇧⇧⇧こうやってもホラーになる。
いやー、やはり3D表現は一味違いますねぇ・・。
そういえば、ステーキ三皿と生野菜の大鉢が置かれたテーブル上の皿配置にこだわった「あの日」を思うと、随分成長したなあと思う今日このごろ・・
昭和41年の「20万の応接セット」とは?
結局、上の3D画像からも想像がつくとおり、和室にソファを置くのは不自然だとの結論に達しました。
テレビ台とテレビくらいならまだしも、寝室にはもう大物家具を設置しないほうが良い。
せっかくの和室だし、これ以上畳を隠さないでほしい。
令和の現代では尚更そう思う。
それよりも、洋室にある「応接セット」です。
京子はこれに、気前よく20万円を奮発しています。
ここにも『朝倉の手取り度量衡』を当てはめると、20万は2万5千円の8倍ですから、現代に直した朝倉の手取り12万円の8倍で、なんと96万円。
96万円相当の応接セットなんて、どんなだろう?
色々調べたけれど、家庭で使えそうなものであまり高いものだと、たくさんの椅子が90度にグルリと展開するタイプになってしまうようです。
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しかし、25日のシーンに登場する「肘掛け椅子」がないと、どうにもうまくありません。
だから、価格には目をつぶって、肘掛け椅子が並ぶ手ごろなものを用意しました。
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見た目は大体こんな⇧⇧⇧感じだと思うので、これとは別にソファが必要だとします。
そして、若い二人ですから、ベッドから離れた位置にも「サテライトベッド」を置くことで、その意味での働きも期待できるところです。いっそ、背もたれを倒してベッドにもなるヤツとかいいのでは・・?
(・д・)チッ
こんな具合に応接セットの横に置いて、腰掛けがテーブルを3方向から囲む感じでしょうか。
3D画像も載せておきましょう。
これで、この夜の食事のための環境設定は整ったと見てよいでしょう。
ああ、疲れた・・
それもこれも、大藪先生が「家具が一切無い部屋」を設定し、わざわざ食事の直前に一挙に全配置したからです。
食物と人物の配置に関するヒントがなさすぎた。
前エピソードの「300円分のオデン」もそうですが、あまりザックリした描写は困ります。
美味しく読むのに色々と問題があるので、もう少し条件を狭めておいてほしいッス。
いちいち検証しないといけないのって、ホント大変なんですから、お願いしますよ。
くれぐれもフリじゃないですからね!(ワクワク)
SPY×FAMILY Figuarts mini アーニャ・フォージャー
ではいよいよ次回から食事シーンに触れていきましょう。