【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

(4)得意技と活動時間の相関関係

次に、光線の出力の問題です。

ウルトラセブンのラストエピソードは、ゴース星人と、彼らが操るバンドンとの戦いです。


史上最大の侵略(前編)

前編・後編の2話続きとなる珍しい作りでしたが、終始つらそうなモロボシ・ダンが痛々しくて印象的でした。

 

 

体力と連動するウルトラビーム

これまでの闘いのダメージで、セブンの身体は限界に来ています。

触ったら火傷レベルにまで体温上昇(脈拍360、血圧400、熱が90度近く)し、意識も朦朧としているダンは絶不調。

 

バンドン出現でセブンに変身しても、いつもの精彩さはまったくありません。

 

もはやウルトラビームは使えず、バンドンに向けて発射したはずのエメリウム光線は、途中から逆戻りしてビームランプに再吸収されてしまう。

 

光線の出力を賄えないほど、エネルギーは枯渇しているようです。

 

肉弾戦は省エネ

せめて体格を小さく抑えれば光線は出せたかもしれませんが、それではX線の照射みたいになって「バンドンを倒す」という所期の目的は果たせません。

 

そんな状態でもアイスラッガーは使用可能なようで、バンドンの片腕と片足を斬り落とし、辛くも撃退に成功します。

 

ちなみにアイスラッガーはセブンの脳波で操るようですが、サイコキネシス的なパワーはウルトラビームほどのエネルギーを必要としないらしい。

 

とはいえ、本当にギリギリの闘いでした。

しかし、だからこそここでひとつの仮説が立てられます。

 

『殴ったり切ったりの物理攻撃で怪獣が倒せる前提なら、ビームの出力を落とすこともでき、それはエネルギー節約に効果がある』

 

現場に充分な資源を提供せず、従業員の消耗に依存する最低なやり方ですが、財政健全化 エネルギー節約のためにはこれが最短距離。

 

積極的に廃人を作り出すかのごときブラックな環境など、元環境省役人としては忌むべきものですが、予算という喉首を押さえられいるため仕方がないというのが現実のようです。

 

限られた資源のやりくりも手腕の見せ所とはいえ・・

『小学館・決定版ウルトラ兄弟』の説明によれば、エメリウム光線は威力に強弱がつけられるそうです。


決定版 ウルトラ兄弟 小学館入門百科シリーズ96 1979年発行 レオ タロウ セブン エースなど 玩具資料本 当時物

 

強く出せば宇宙金属をドロドロに溶かすことができ、弱く出せば相手を気絶させられるらしい(小学生時代に読んだ記憶ですが『うちゅうきんぞく』って書いてあった気がする。5年生くらいのときに買ったので逆に読みづらかった)。

 

普通の人間を必殺技で攻撃した正義のヒーロー

”気絶”ってのが気になったのですが、のちに泉麻人さんがナビゲートした深夜番組『ウルトラ倶楽部』で放映してくれたので、実際に見ることが出来ました。


第5話「消された時間」で、ビラ星人に操られた湯島博士にエメリウム光線を当てるという荒業を披露しています。


消された時間


たぶん、怪獣を倒す必殺技で地球人を倒した(気絶ですが)正義のヒーローはセブンだけかと思います(いたら教えてほしい)。

 

ヒロインに必殺のライダーキック(未遂)を浴びせた仮面ライダー

ちなみに未遂ですが危なかったのは仮面ライダー555(ファイズ)に登場する2号ライダーのカイザです。


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必殺技ゴルドスマッシュ(ポインターの光線で相手を固定させて放つ、容赦のないライダーキック)をヒロインの園田真理にガチ当てしそうになります。

今ではすっかり大人になった園田真理(芳賀優里亜さん)。しかし、当時から顔立ちが出来上がった美女ではありましたが、この人が犠牲者でした。


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このカイザの必殺キック、本当は綾野剛くんが喰らうはずだったのですが、16歳の少女が身代わりになりました。(画⇩⇩は亡くなった泉政行さんが演じた木場勇治の怪人体)


第32話

 

第31話は、身代わりになって身をすくめる真理のアップで終了し、32話のオープニングでリプレイ&続きを確認できます。

 

ゴルドスマッシュは23.5トンの威力で相手の体を貫通し、反対側から飛び出して着地する技なので、普通の人間が喰らったら即死確定ですが、寸前で乾巧がオートバジンでポインターの射線上に割って入り、必殺のライダーキックをバイクの燃料タンクで受け止めるという危険極まりない助け方をしたので、危うく未遂で済みました。

 

セブンはやっちゃいました。

 

出力調整が利かないエネルギー放出は使い勝手が悪い

ちなみに、ウルトラマンA(エース)のパンチレーザーも、前頭部にあるビームランプから発射されるタイプなのでエメリウム光線によく似ていますが、『決定版ウルトラ兄弟』によれば、威力に強弱がつけられないと明記されています。

 

昔、長期出張で利用したウィークリーマンションのガス台に付属した2つのコンロのうち、一方は火力調整が利かないタイプで料理に難渋したことがあります。

 

「常に一定」というのは言い換えれば「融通が利かない」でもあり、安定しているかもしれないが使い勝手はかなり悪く、今後の部屋選びでは注意しようと思いました。


話がそれましたが、ウルトラマンAって他にも、「二人で変身」「切断志向の攻撃」「ウルトラバリアーは南夕子にダメージが集中」など偏った特徴が目立つことから、意外と不器用なヤツのような気がします。

 

しかしその分、他の兄弟のエネルギーを全て吸収して技にする『スペースQ』を放てるなどの特徴を具えているので、どうやら小技が苦手な豪快タイプのようです

 

そもそも光線技が必要か?

どうも光線系の技は、多大なエネルギーを消費しすぎるきらいがあります。

 

ほとんどの怪獣は体が大きいですが、どのみちウルトラマンだって怪獣と同レベルの身長になって戦うわけですから、同じ大きさの相手に対し、そこまで高い出力で攻撃する必要があるのでしょうか?

 

格闘家がパンチやキックの体技で敵を倒すように、ウルトラマンだって体の大きさに極度な違いがなければ、そこまで極端に大きな出力は不要なのではないか?

 

変身道具から提供されるエネルギーを「活動時間」と「その他の要素」で分け合っているので、攻撃用出力が高すぎると絵にかいたようなトレードオフが起きてしまう。

どう考えても得策ではありません。

 

やはり「制限時間」こそが最大の障壁

しかし、こうも考えられます。

 

私たちの周辺で、もめ事が起きたとします。

「南千住駅前で、男が自動販売機を壊しています」

という通報を受けて駆け付けた警察官はどうするでしょう?

 

怒鳴り散らし、乱暴に器物を叩いたり蹴ったりしている相手を刺激しないように声をかけて注意を引き、それ以上の破壊行為をおさめるように誘導します。

 

話しながらゆっくりと近づきつつ、目線や動き、手の位置や持ち物、衣服内の危険物等に気を配り、まずは興奮状態を沈めようとする。

 

何をしているのか? どこかへ行きたいのか? どこか痛いのか? 何に怒っているのか? など、徐々に気持ちを解きほぐしながら意思の疎通を試みます。

 

とにかくこれ以上の暴力沙汰を防ぐべく、慎重に対応します。

お巡りさん、いつもありがとう。

小学校時代に警察で柔道を教わっていた私にとって、お巡りさんはとても身近なお兄さん、お姉さんたちだった。今でも地元の警察大好きです。

 

最後にはポンポンと肩を叩いたり、背中をさすったりできる程度に気を許させ、出来れば手錠をかけたりせずに交番へ連れ帰って詳しい事情聴取などの手続きに入るでしょう。

 

もしもこれら⇧⇧の事柄を、3分以内で完了させてその場を去らなければならないという制約を受けたなら、そりゃお巡りさんにもスペシウム光線やウルトラ水流が習得必須のスキルになります。

 

エネルギーが必要になるのも当然でしょう。

 

ウルトラマンに、異常に高い出力の光線技が要るのもよくわかります。
まあとにかく、これでまた法則が見つかりました。

 


ウルトラ兄弟の活動時間は「光線の出力セーブ」によっても伸ばすことができそうです。