次に、飛行速度について見てみます。
すでに何度か紹介している書籍ですが、私が小学生の時に持っていた『決定版ウルトラ兄弟』では、ウルトラマンはマッハ3で飛ぶとありました。
決定版ウルトラ兄弟 (1979年) (小学館入門百科シリーズ)
ですが、どうやらその後に設定変更があり、マッハ5に格上げされたようです。
飛行速度は逃走用
ウルトラセブンは名前との整合ゆえかマッハ7、タロウはマッハ20など、軒並み音速を超えています。
ただし、彼らが長距離を飛んで移動することはあまりありません。
たいていは乗っていた戦闘機が怪獣にやられて失速し、墜落直前で変身するといった展開です。
つまり、ウルトラの姿になった地点から怪獣のいる場所までは、さほどの距離が無いことがほとんどのはず。
一度上げてしまった生活レベルを落とすのは難しい
声が届くほどの範囲にも拘らず、音速の飛行能力を付与されている。
これはいわゆるオーバースペックというヤツではないだろうか?
無意味に高い機能設定はウルトラマンの基礎代謝を大幅に上げてしまい、活動時間を圧迫します。
個人なら基礎代謝が高いのはむしろ歓迎すべきことですが、株式会社M78にとって、オーバースペックによる資源の浪費は、順調な活動の成果を妨げる憎むべき対象です。
「去る」ためにハイスペックが必要
ウルトラのネームバリュー維持のために音速以上の設定は譲れないなら、マッハ1とか2程度にセーブするのも一案です。
が、それはマズいかもしれない。
怪獣の所へ行くときにはオーバースペックかもしれませんが、怪獣を倒して去っていくときには最低でもマッハ5は必要ではないではないかと思うのです。
というのも、ウルトラマンは別に、毎回ウルトラの星へ帰るわけではない。
飛びながら人に見られない場所を探し、人間体の自分を転送するようです。
これも「決定版ウルトラ兄弟」の情報だったと思いますが、ゴモラの回とドドンゴの回で、ウルトラマンは飛びながら両腕を合わせてビルの屋上に向け光輪を発し、到達したところにハヤタとして立つという芸当を披露しているようです。
ということは怪獣討伐後、エネルギー残量がキツイまま、周囲にいるほかの隊員たちを振り切って人間の姿に戻れる場所へ到達しなければなりません。
それには圧倒的な速度が必要です。
人類が到達可能な能力だと問題がある
科学特捜隊のビートルはマッハ2で飛べる。
それなのに、ウルトラマンがマッハ1や2を飛行速度の限界としていたら、それはもうピンチです。
アラシ隊員あたりが感激して「ウルトラマーン、ありがとー!」と叫びながらビートルで並航しようものなら冷や汗ものでしょう。
飛行速度は現場に急行するためではなく、現場を去るときに必要なスペックで設定しているのかもしれません。
制限時間ギリギリまで怪獣と戦うスタイルなら飛行速度は速い方が良いし、早めに倒すなら遅くて良い。
早めのブレーキングが持ち味のアラン・プロストと、ギリギリまで遅らせるアイルトン・セナのマシンセッティングやレース展開の違いみたいなものです。