「人知れず善行を積む」✕「ウルトラマン」の話の続きです
基本的に超人であることを隠しているウルトラシリーズの主人公たちは、ウルトラ活動と自分の繋がりがバレないよう、普段から隠密行動を心がけている。
その点では「人知れぬ善行」の資格は十分にあると言えます。
しかしながら最も肝心な活動時において、そのデカさゆえどうしても目立ってしまうウルトラ一族は、ここ一番で隠密行動とは袂を分かってしまう。
ということは、もしも彼らが等身大で活動するならば、もしかするとライバルの仮面ライダーを追い抜くほどの隠密働きが可能ではないか?
それというのも、等身大の仮面ライダーでも、変身〜戦闘にいたるまでにはそれぞれの条件や制約があって、完全なる隠密行動が困難なためです。
少し事例を紹介しましょう。
意外に自由度が低い仮面ライダー
たとえば平成ライダー第一作のクウガでも、この課題クリアは至難の業だった。
一般人でありながらも、怪人出現を ”警察無線” で知る五代雄介は、一条刑事と連携を取りつつ現場へ向かう。(写真は一条刑事です)
当然ですが、無線を聞いた他の警察官たちも一斉に現場へ急行するので、いわば最初から警察関係者の監視下にある状態で怪人と戦います。
意外に不自由で、好き勝手な振る舞いは許されていない。
江戸時代、全国の大名の支配者であった将軍は万能の人であり、普段の行動も思うままだったように思えますが、どうも食事すらがんじがらめであったらしく、入念な毒見のため「暖かいメシ」にありつくことすら不可能で、思ったほど自由ではなかったようです。
とうてい暴れる余裕なんてなさそうです。
クウガの劇中では、五代雄介はパーフェクトな自由人キャラですが、そんな彼にも実は将軍様並みの制約があったのではないでしょうか。
それを思えば、第二作のアギトはクウガ先輩よりもはるかに有利で、怪人が人を襲おうと企図したときの独特な波長を、特殊能力で察知します。
G3システムを擁する警視庁も怪人のもとへ向かうのですが、やはり犯行前に察知する翔一には敵わないので初動は遅れがちです。
ですが、津上翔一が出動するシーンではたいてい殺害前に現場へ到着し、怯える被害者たちのもとへ駆け寄って、「逃げて!」という平成ライダーの定番セリフを披露してから変身するので、 少なくとも ”津上翔一による救助” の目撃者は、シリーズを通して結構な数にのぼるでしょう。
先に紹介したファイズもこれらに近いパターンなので、そもそも「誰にも知られずに」というのは、正体の秘匿を前提にした等身大ヒーローであっても、結構な難関であることがわかります。
(ちなみに、堂々と『仮面ライダー部』を公言しているフォーゼの如月弦太朗は最初から無理ですね)
いわんやウルトラマンをや
もっとも、ウルトラシリーズでも変身者が正義のチームに所属していて、そのインフラを使って敵出現を知っている状況だと、他の隊員たちと同時に敵と対峙するケースが多く、やはり陰徳が決まりづらい・・
科学特捜隊 流星バッジ ~Bluetooth(R)搭載送受信機~
ということは、人目に付きづらい等身大での行動を前提として
①こっそりと現場へ向かうことができ
②敵以外とは顔を合わせず
③戦闘した形跡も残さずにその場を去ることができれば、陰徳条件を満たしやすい。
加えて
④相手がわざわざ自らを不可視化していて
さらに加えて
⑤ヒーローの存在自体がまだ世間に認知されていない・・・と。
この①〜⑤の完璧な条件を備えていたのが、ウルトラセブン第一話『姿なき挑戦者』でのクール星人との戦いです。
ああ、やっぱり前置きが長くなった・・。続きは次回に致します。