前回の記事で少し書いた「システムエンジニアとユーザーの、言葉に出てこないひそかな争い」についてもう少し続けてみましょう。
開発費が嵩む理由は思わぬところに・・
ひと口に「システムエンジニア」といってもタイプは様々で、仕事に対する感性や価値観だって人それぞれであるにも拘らず、どちらかというと一括りに「SEって皆こうだよね」とされやすい職種の人たち。
たとえば私が経験してきた職場において、システムエンジニアは「最も身近な技術者」でした。

見た目でそうとはわからないのが特徴の彼らは、たいていのオフィスに溶け込みやすい性質の技術者ですし、彼らの専門分野であるITデバイスは、我々シロウトも扱っているという気安さもある。
しかし、それゆえにコミュニケーションの難易度も高いというのが私の持論です。
特にシステムの要件定義に関連するやり取りにおいて・・
話が通じないとわかれば話ができる
専用の機械設備がある工場などで特殊機器を操る技術者は、技術者であることがわかりやすいですね。

そういう技術者は私たちシロウトに対して「我々が自分たちの用語や言い回しで普通に話しても、この人には意図が通じないかもしれない」という障壁を自然に築いてくれる。
それゆえに、会話だけでは100%の意思が伝わらない前提で言葉を組み立てたり、お互いの意思疎通を確かめる術を随所に設けるなどの工夫がなされたりもするでしょう。
いわば「コミュニケーションに ”遊び” の部分を持たせる」といった感じです。
多少の齟齬があっても吸収できるだけのバッファを持って接するのは大事ですね。
「話が通じないかもしれない」という予測を立てているがゆえに、意思疎通の行き違いに対する調整弁をしっかりと準備したうえで慎重に関わっていく。
「分かり合えないことが分かっている」は、実は大切なことだったりします。
「分かり合えるはず」という思い込みが最も危険な要件定義の会議
しかし、私達が日々あたり前に取り扱っているのと同じITデバイスの専門家というのは「話が伝わって当然の前提」で会話が進みがちです。

「今のやりとり、本当にそれでいいの?」と、傍で聞いているこちらが心配になる会話で「じゃあ、その点はクリア」といった感じで進んでいく事象が多発する要件定義。
自分がその業務に全く携わっておらず、話に絡んでいけないから黙っていますが
「これだと上手くいかないな、現場が・・」
とひそかに確信してしまう。
そして、そこに至るまでのドラマが脳裏に展開されるのです。
<雑談は続く>







