「現場の痛みが感じられない人」が集まって行われるシステム要件の会議。
テーブルの上にはその「現場の情報」が積み上げられています。
しかし、それらをアセンブリするには現場の実務に精通していることが重要です。
そうでなければ、せっかくの生きた情報も充分に使いこなすことはできません。
知識もノウハウも不充分な人が、目の前に素材だけを大量に並べられても持て余すのではないでしょうか。

部品同士を手で押し付けてもくっつかない(⇐それはそうでしょう)
仕方なくセロハンテープでとめてみた(⇐”らしければ” 良いということ? )
ということで、”システムらしき” あるいは ”機械化できたっぽい” 議論が形作られたとします・・
ある悲劇(喜劇)
システム改編プロジェクトの「会議メンバー」であるひとりの管理職。
彼がある日、自分の所属部署で無邪気に告げた言葉からドタバタが始まります。
「先日のシステム室との会議で、こんな機能が追加されることになってね・・」
「どうだ、すごいだろ」とでも言わぬばかりのドヤ顔。
部下たちが引っかかるのは"機能の内容"もさることながら、それに ”先日” という単語がくっついた過去形であることだった。
この上司、サプライズのつもりなのか現場軽視なのかはわからないが、業務に影響がある事柄を実務担当者へ知らせるタイミングがいつも遅い。
このときも、追加機能の話が決定して動き始めてから、システムを最も多用するユーザーたちに「寝耳に水」を注ぎこんだのだった。
一過性の事柄ならカチンとは来つつも「いつものことか」と諦めもつく。
しかし、ことが基幹システムの話とくれば、長い期間に渡る数え切れない繰り返しが発生することになる。
安易な決定のせいで疲弊するのは部下たちということになります。
すると、恐ろしいことが起こります。
「現場に無関心な上司」が具体的にバレる瞬間
「えっ? それだと今使ってる資料作成のスキームが崩れて、また全部手作業に戻さないといけないんですけど」
「なに? あのスキームはもう使ってないんじゃないの? 全然そんな様子なかったじゃないか!」
「スキームできたからスムーズに進んでただけで使う頻度メチャ高いです。全員使ってます(ってか見てなかったの?)。あれ必須ですよ。もうここまで浸透したら、はっきり言ってアレ無いとゼッタイ現場回んないです・・」
「・・・」
さあ、機能修正の時間だ (;´Д`)
いやいや、時間はないのだ!
要件の適時修正に必要なのは「人間関係」
現場責任者として部下たちの前で醜態を晒した・・と思えるならまだ良いけれど、ここでなぜか部下に対してキレる上司もいます。
「なんで先にそのことを言わないんだ!」とかですね・・
部下から言わせてもらうならば、毎日現場を見ている自分たちの上司がそんなことを把握もしないままシステム会議に出席し、フィクションとメルヘンに興じているなんて思いもしない。
どんな注意力の持ち主でも、思いもしていないことへの警戒はできない。
まあ、この上司はキレるタイプではなかったとします。
「そうは言うけど、そこを何とかやってみてくれよ。前はそれでやれてたんだろ?」
と、いわば ”これからあなたを拷問します” に近いセリフは吐くものの、さすがに尋常ならざる部下たちの様子で空気を読んだのでしょう。
「次の会議で修正できないか聞いてみるよ」とは口にしました。
ここで部下たちがこの上司に対して
「いやいや『次の会議』じゃない! 今でしょ!」
と言える関係を築けていることも、システム導入/改編には大切な要素なのですが、開発が上手くいかない原因を【要件定義】一択に考えていると、こういうところは視界に入りません。
<雑談は続く>









