【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

開発費を高騰させる「予算と時間の余裕」【システム雑談18】

「時間がないから特急料金で」はシステム開発ではどうしても無理筋になります。

 

これから何年も使い続ける基幹システムでその無理筋をやってしまうと、末端で事業を支える動体(作業者)の稼働が機能不全になり、ひいては全身症状になりかねません。

 

このことが上層部には肌感覚で知覚できず、末端に居ると「これでは生産性アップは望めない」と、利益をドブに捨てている嘆きを日々感じることになります。

 

 

前回の話の続きで「時間もないし仕方ない」と譲歩に譲歩を重ね、経営者が予算増額にOKしてくれたとします。

 

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期間のほうもそれらしく設定しておきましょう。

 

現行システムの保守についてはWindowsのESUみたいに、特別に少し期間延長(というか別途契約)で対応してくれることになった・・とします。

さあ、「金もある」、「時間もある」が実現しましたよ。

ならばうまくいくのか??

 

エンジニアに見放され始めるユーザー

追加仕様による開発費の増額と期間繰り下げが実現しても、追加の分だけ新たな要素が発生します。

 

新たな要素が、そこまで進捗している事柄と連関しながら加わることは避け得ないでしょう。

 

ということは、システム的にはより複雑な制御が必要になるので、その部分の業務に論点が及ぶことは目に見えている。

 

実際、要件の打ち合わせでその点の掘り下げは必須です。

その際、ユーザー側とエンジニア側とのニッチな意思疎通がどこまで可能か?

その実力が問われることになります。

 

前にも書きましたが、言葉が伝わっているだけでは望むシステムはできません。

 

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エンジニアは自分たちの文脈で受け取れた内容を組み上げるので、実作業のディティールがコードなり用語なり、彼らの業務知識に引っかかる言い方で、念を押しながら会話することが望まれます。

 

ようは、開発にあたっての取り回しの難易度が上がる。

これは大問題です。

 

「出来ないヤツにやらせた」のは誰の失敗か?

当初計画を読みきれなくて追加仕様という事態を招いたプロジェクトチームに、難易度がグッと上がった取り回しができるかどうかには、大きな疑問符がつきます。

 

エンジニアたちも充分気づいているでしょう。

「もうこの人たちが仕様に関して考え続けるのはムリだな」と

話している言葉の一つ一つが上滑りして、技術的な領域まで踏み込んでこない。

(つまりエンジニアの文脈で拾える言葉で話していない)

自分の担当分野にかすりもしない話は、いくら聞いていてもイメージが湧かない。

 

システム実装の要望というより、世迷い言みたいな話。

聞いていると「なんだこれ、ただの愚痴か?」と思いたくなる瞬間が度々ある。

 

なんだこのムダな時間・・

・・なんてエンジニアに思われるようではお話になりません。

 

残り時間も多いとは言えない。

そこへ来て、実はこの会議の最大の弱点が、しばらく前から如実に露呈している。

 

カットオーバーは先送りされましたが、会議が度重なるうちにクライアント側のメンバーのめぼしい人材は次々と戦線を離脱(要件定義への積極的な関わりから離れて実務に専念)している。

もはや会議の場には、出がらしみたいな人間が義務的に出席するだけになる。

難易度が増したのにキャストが劣化する異常事態です(でも、よくある話です)

 

<雑談は続く>