「加速」という言葉の意味として「今している事柄の速度を上げる」があります。
言い方を変えれば「今の自分がより強く具現化する」です。
業務を加速するつもりで機械化を図る場合、その業務に付随している「問題点」も同時に加速すると考えておいたほうがよいのでは?と思うことがあります。

「今のウチの問題点は『処理スピードが追っ付かないこと』だけだよ✌」
・・なんて安直に考えている人は、現場で人間関係などの諸問題に取り組んでいる人の中にはあまり居ないでしょうが、システムの導入/改編時にはそこだけがフォーカスされている傾向はあると思います。
「システム化成功の怖さ」を体感で知る経営者
経営コンサルタントの神田昌典さんは起業初期のころ、急激に増えた顧客の管理に手を焼き、Accessによるデータベース導入を手作りで実践しようとして失敗したそうです。
経営トップ自らが手を砕いて真剣にシステム化(しかもDBソフトで)しようとしたところが興味深い。
その後、自身は手を放して専門の人に依頼し、システム化自体は進んだのですが、この頃のことを「バカのターボチャージャーだ」と自虐的に表現しています。

事業の急速な成長とともに発生した各種の問題が、事業を助けるはずのシステム化によって助長され、解決のため相当に苦難の道を辿ったそうです。
「宝くじに当たった人は人生を壊す」に通じる ”加速問題”
神田さんにはこの他にも興味深いセリフがあり「急激な収入増加は自我を拡大させる」もまた「バカのターボチャージャー」を彷彿とさせます。
「バカのターボチャージャー」とは、業務を行う際に発生している社内の諸問題から目を背けたまま、生産性だけを考えてシステムで加速させた結果、付随していた諸問題も加速させてしまうことだと神田さんは言います。
そして、お金に関する神田語録「急激な収入増加は自我を拡大させる」もそれと似ています。
加速に耐えられる心と体を持っているか?
”収入の加速” が実現し、「余裕があればやってみたかった自己研鑽」に意識が向けば、自身の美点がレベルアップされるでしょうが、どうやらそれだけではなさそうです。
怒り、トラウマ、劣等感、昇華されていない様々な欲望・・
美点以外のこういった負の要素もひっくるめた ”自我” こそが加速の対象です。

ただし、負の要素のほうは美点と違って当人自身が見ないようにしていることもあり、急な加速に対して無防備に肥大してしまうようです。
なんだかわかる気がします。
あなたが ”良い人” である理由は「人間性」ですか? それとも「お金が無い」から?
上の話から「お金がないからこそ、悪点の表出具合も弱くなる」という一面があることが感じられます。
今、慎ましやかに暮らしているのは「品があるから」なのか「お金が無いから」なのかは、大金を手にすると明らかになるということかもしれません。
起業した経営者が、事業が上手くいき始めて金回りが良くなった途端、良し悪しが未分化のままの自我が強く出るようになった。
それまでは慎ましやかに日々を送っていたその経営者が、単に「お金が無いから善人だった」というタイプだったら・・

深刻な自家中毒が起き、資金力がある分だけ問題も大きくなって多数の人を巻き込み、不幸の連鎖を生んだ挙げ句「むしろお金がない頃のほうが幸せだった・・」なんて自嘲する話が、やけに生々しい・・
システム化は『己の器』で程度を決める
そして個人でも法人でも、同じようなことが言えるのではないかと。。
例えば個人なら・・
自分の器以上のお金を得てしまうと、器内に満たされた「身の丈のお金」より、「器からこぼれ落ちるお金」のほうに執着して半狂乱になる、と。
そして法人なら・・
システム化(身の丈に合わぬテコ入れ)によって起きてしまった現場の混乱をよそ目に、「混乱による機会損失」に目の色を変える上層部・・
その場合、解決方法は絶対に ”さらなるシステム強化” や ”人材のテコ入れ” ではないと思うのですが、「もっとだ! もっと強くしないと!」と、さらなる加速を目論んでしまうケースもある気がします。
<雑談は続く>







