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ドラマ「下町ロケット」2作品は、『優しくないほう』が好き

我が家では先月までdvtの動画配信サービスを契約しており、TVを見ない分毎日怒涛のようにドラマなどを見ていました。

下町ロケット」もそのひとつです。

 

先月配信されていたのは阿部寛さん主演作品(2015年)でしたが、その数か月前に三上博史さんの主演作品(2011年)が配信され、わずかの間に同じドラマを違うバージョンで見ることができました。

 

私は、三上版を見るしばらく前に、下町の町工場を題材にした小説『岩手県株式会社のケース〜成長期撤退の美学』という作品を書きました。

 

正直「ドラマを見る前に書き上げておいてよかった」と思いました。

ドラマとは方向性が全く違うので、ストーリーがかぶったりするような内容ではなかったのですが、“下町の町工場”の経営について書いたものなので、ドラマを見た後だったら絶対に影響されていただろうと思います。

 

ちなみに、私が見ごたえを感じたのは三上版です。

阿部版も良かったのですが、ガウディ編を詰め込んでの1クール枠では、作り方が難しかったのではないかと思います。

 

じっくりと時間をかけて視聴者の側から理解させていくことができない分、「手っ取り早くわからせる」演出が多く、その意味で優しい造りだったと思いますが、少々物足りなかった印象です。

 

たとえば、帝国重工から部品供給可否をテストするために訪れ、経営状態を審査した社員は、三上版では「イヤなヤツ」という印象で、論破していく過程が鮮やかに感じられましたが、阿部版では「悪人」か「情緒不安定」といった感じでした。

 

三上版だとひきつった愛想笑いをした佃製作所のスタッフに「何笑ってるんですか? 笑い事じゃないでしょう?」と静かに追い詰める様子にリアリティを感じましたが、阿部版ではその部分はほとんどセリフ化されず、佃製作所スタッフを『お前ら』呼ばわりして怒鳴り散らすという、わかりやすさへの配慮のほうに気を取られ、気持ちがドラマから離れてしまう瞬間が他の箇所でも所々見られました。

 

ガウディ編をやるにはロケット編が無ければならず、かといって1クールずつに分けて最初の作品でコケるのも怖いといった、ドラマ作りならではの困難さがあったのでしょう。本当に苦労が多かったのだろうとお察しします。

 

しかし、役者をガラリと変えて、ストーリー追加に演出にもオリジナリティを出したにもかかわらず、2作品ともこれほどまでの仕上がりになる一番の要因は、やはり原作の素晴らしさなのでしょうね。