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(4)〜柘植久慶【逆撃】シリーズから『関ケ原』

三国志のエピソード紹介に、これ以上のバリエーションは無いのか?

同じことを書くとしても、もっと独創性のある切り口は無いのか?(だからといって思い込みのフィクションは困るけど)

 

辟易しながらも、久しぶりにその手の本を図書館のデータベースで探してヒットした中に、柘植さんの本も混ざっていました。

 

柘植さんの本は『三国志の歴史解説』というより『三国志の軍事解説』というほうが適切で、切り口が面白かった。

 

以前別の作者が「諸葛孔明の戦略」みたいな、特定トピックに特化した本を書いていて、そのような、少し専門性を高めた本はそれなりに面白いと感じたことがあります。

 

しかし、どんなに作者が取材に力を入れても、こと戦史がらみのエピソードでは、現地視察による戦場周辺の踏破程度のことしかできないと思います。

 

あとはひたすら資料で調べたり、土地の人の話を聞くなどで補強せざるを得ず、結局、頭で考える文章しかできないという限界を、柘植さんは自身の軍事経験を加味することで突破できる点が斬新でした。

 

たとえば、戦場となる地域の風土病の説明で、自身の傭兵体験での実見を記載している点など、単なる史家ではまずできない。

 

現地人は病原体を持ちつつも平然としているが、他地域から現地に入った味方兵士たちが感染すると、あっという間に死んでしまう実例を何度も目にした記述などがそうです。

 

そしてその原因は現地女性との接触によるものであり、「こういうのは事前に知っておかないとどうにもならないことだ」というリアルな感想がはさまっています。

 

たしかこのくだりは、諸葛孔明の南方攻略戦の解説で記述されていたはずですが、こういうエピソードがはさまれていると、読み手には(当時蜀からカンボジアなどの南方へ攻め込んだ兵士にも、似たようなことがあったのではないか)と考えるだけの説得力が感じられます。