【感情会計】善意と悪意のバランスシート

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下町ロケットの忍成修吾さんの演技がまた見たい(1)

dTVを解約し、動画配信サービスを利用しなくなって以来、私のドラマ視聴はゼロになりました。

 

そんな中、最近特に「下町ロケット」のことが頭をよぎります。

三上博史さんが主演だった、最初のドラマのほうです。

 

帝国重工による部品テストのシーンで、佃製作所を徹底的に否定する上司に同行し、手作業の仕上げに感激する浅木誠一(忍成修吾さん)のことが記憶によみがえって仕方ありません。

 

(おそらくは)視聴者へのわかり易さが強調された阿部版とは違い、この三上版では役者さんの演技もナチュラルで控えめです。

(この「視聴者へのわかり易さ」については、後で述べます)

 

こちらの感情移入が為された分に比例して、作品の深みが実感できる造りです。

 

帝国重工内の軋轢や欲得にまみれた上司に随行し、いわば「敵地」に足を踏み入れたふたりを、佃社員たちは取り囲むように立っている。

そして、横暴で無礼な自分の上司を、怒りや憎しみ、不審や不満にまみれた目で見ている。

 

浅木誠一は、当然そのことを知っている。

上司は佃製作所のちょっとした誘いに引っかかり、図らずも佃製作所が手掛けた部品を褒めてしまい、そのことに気づくとさらに険悪なセリフを吐き捨ててその場を去ります。

 

ひとりその場に残った浅木は、怖い剣幕の佃社員たちに囲まれているわけですから、本来ならそそくさと上司の後を追って危険なその場から離れるべきでしょう。

 

しかし、一介の…、そして一個の技術者であった彼は、策略にかかったとはいえ上司が褒めたその佃の部品の出来具合を、是非直接に見てみたかった。

 

だから恐る恐る「見せてもらっていいですか?」と、冷たい眼をした佃社員にことわって、勇敢にもためつすがめつ部品に見入る。

 

次に顔を上げた時に、浅木の表情は、とても敵地でひとり、敵に囲まれた者のそれではなかった。

 

無垢な表情で

「これ、手作業なんですよね?」

と、まるで迫るように佃社員を見る。

聞くまでも無く分かっていることなのに、あえてそう問いただしてしまう。

 

常識と言われているものでも一旦は疑ってかかり、真実は己自身で確かめるという、技術者ならではの確認癖が出たということが伝わってきます。

 

もはや周囲に居並んでいるのは敵などではない。

 

「すごいです。すごい技術だと思います」

 

こう言う直前に、彼は上司から「何やってんだ! 早く来い!」と怒鳴られています。

怒鳴られてそちらへ向かう足を止めて、彼は佃社員たちをぐるりと見まわし、輝くような表情でそんなことを言うのです。

 

佃社員たちに、そしてその技術に対する敬意があふれていて、それが佃のメンバーにも十二分に伝わりました。

 

私は、佃たちが帝国重工のヒール役の連中をやり込めるシーンも好きですが、最も好きなのはやはりこのシーンです。

ことに、浅木役の忍成修吾さんの演技です。

 

これは心を打ちました。