感情会計-善意と悪意のバランスシート

財務諸表から逆算で人心を読むテクニック

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(9)〜柘植久慶【逆撃】シリーズから『武田家3部作』

御厨太郎は、その後の歴史事実を知っているため、「こうすれば必ずうまくいく」という方法を知っています。

 

あるいは「こうすると悲惨な結果になる」ということも良く分かっています。

 

だから自信をもって進言するのですが、それが実行されないことが多い。

 

武田信玄が名将で会ったことは知られていますが、御厨の意見もその他大勢の家臣のそれと何ら違いはありません。

それどころか、俄かに軍師の名乗りをしてきたよそ者の御厨よりも、すでに信玄の側で経験を積み、自身が認めた家臣の意見のほうが取り上げやすい。

 

総大将の本音がそうであるから、山本勘助の「啄木鳥戦法」が、領国経営に大損どころか信玄の命を危険にさらすバカな案と知っていても、問答無用に蹴散らすことはできません。

 

軍師でなければ発言に重みを付けられないから、ここでの御厨はどうしても軍師でなければならないのですが、それでもなお無力感に苛まれるシーンが沢山あるのが実にリアルです。

 

これは、ビジネスの現場でも全く同じですよね。

イデアは各人が出している中で、自分の案こそが正解だとしても、それを通せるとは限らない。

むしろ、最もばかげている案によって進退する中に組み込まれてしまうこともあり得る。

 

失敗が目に見えているプランで、現場で次善策に取り組み、なんとか損失を最小限に抑える努力は空しい。

よほどのモチベーションが無ければ、いつまでも続けられるものではありません。

 

この武田家3部作の中では、徳川家康を倒して歴史を変えてみたいという御厨自身の野心がモチベーションのひとつであり、もうひとつは信玄の弟である武田信繁との友情です。

 

己の野心と、苦楽を分かち合う仲間の存在が、つまらない仕事を続ける動機づけになるというのは、現代のビジネスと同じでしょう。

それともうひとつ、『惰性』ですね(動機という表現はあまりシックリきませんが)。