【感情会計】善意と悪意のバランスシート

財務諸表から逆算で人心を読むテクニック

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(15)〜柘植久慶【逆撃】シリーズから『武田家3部作』

【逆撃】シリーズの醍醐味は、「味方内の敵」との戦いにあるかもしれないと思うことがあります。

 

思えば、敵の勢力が敵である理由はおおむね単純です。

領土を得て支配を強めるために、己の支配圏を脅かす勢力を駆逐したいからです。

 

しかし、味方の中にいる敵が、敵方になっている理由は一言で語れないものがあります。

 

“人生観の違い”と言ってしまえばそうですが、その生い立ちや今後のビジョン、賛同する仲間や主君からの期待や寵愛など、人間ドラマが濃厚に絡んだ功名心や一族への愛、忠誠心や武門の誇りなど、背景が個人レベルになるのであまりにも複雑です。

 

だから、戦い方もまた複雑かつ微妙です。

 

どのように戦い、どうやって勝ちを得るか?

あえて主君の前で行って見せるべきものと、主君に見えぬ暗闘で決着をつけるもの、あるいは途中経過を主君にアピールしその気にさせるといった手練手管も必要です。

 

管理職同士がトップの前で、己の地位をより有利にするための戦いを想像すると分かりますが、あまり露骨に個人攻撃すると不興をかい、かえって不利になることもある。

 

特に、新参の幹部が古参幹部を経営者の前であしざまに言える状況というのは、そう多くないはずです。

 

たとえ経営者が外部のコンサルを頼り、そのコンサルが十分な信頼を受けていたとしても、やはり幹部個人への攻撃は差し控えるのが普通ですし、ある個人の代名詞のような特定の仕事を批判する場合も、やはり言葉を選ばなくてはなりません。

 

主人公・御厨太郎が山本勘助の思考を、武田信玄の前であしざまに批判できないのもこのような状況です。