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(18)〜柘植久慶【逆撃】シリーズから『武田家3部作』

「大荷駄隊を攻撃せよ」という御厨太郎の案は、命を懸けてその実行に従事する前線の将兵たちにとって、慣れた事柄の積み重ねで行うことができ、その実施効果も高い。

 

一方、山本勘助の「啄木鳥戦法」は、武田軍の半分以上を別動隊として迂回させ、夜中に山道を進ませるだけでも負担が大きい。

 

それだけでなく、背後から大軍が迫っていることを上杉謙信に気づかせぬために、音をひそめ、気配を殺すといった無茶を現場に強います。

 

何より、本体の半分以上を別動隊にしたため、総大将である武田信玄の周りには、山から突出する謙信を下回る人数しか残さない。

 

口で言うだけなら簡単な、夢ばかりが膨らむ企画を、実施部隊の気苦労や残業時間を考慮せずに会議室で盛り上がる連中のバカバカしさといったらもう……。

(註:前回も書きましたがわたくし四緑文鳥も管理部門出身です「バカバカしい連中」のひとりでした)

 

そのような思考をする勘助の末路は、御厨の考慮外です。

 

ただ、啄木鳥戦法の実施により、武田信繁までが戦死することは、今後の武田家の経営上に大きな負担となってのしかかる。

 

だからそれだけは何としても防がなければならない。

御厨太郎は、啄木鳥戦法が実施された際の善後策を練らざるを得なくなります。

 

軍師であるため将のそばで作戦を企画するが、その成果は現場の行為の集大成だという思考原則を決して外さない。

 

この点は、軍人として作戦行動に従事しつつ、それを命じた司令部の是非を現場で問い続けた柘植久慶さんの想いの表れなのではないかと思います。