【感情会計】善意と悪意のバランスシート

財務諸表から逆算で人心を読むテクニック

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(21)〜柘植久慶【逆撃】シリーズから『武田家3部作』

長坂長閑は、低い身分から成り上がってきた男だけに、武田家中で譜代重臣の系列にはありません。

有力者の誰かにくっついて立場を保つ必要があり、ふたりの人物と深く結びつきます。

 

一人が“中途採用”で重用されるに至った山本勘助で、もう一人は武田信玄の長男・武田義信です。

 

跡取りの長男とねんごろな関係といえば、普通は安泰なポジションと言えるでしょう。

 

しかし義信の立ち位置は、武田家における対今川家の方針が変わったころから悪化しており、今では四男の武田勝頼こそが信玄の寵愛を受けています。

 

つまり、長閑は憑くべき人物を誤ったことになります(悪霊か!)。

川中島で信玄が露骨に長閑を嫌った背景には、そんなところもあります。

 

その反動として、妥当な作戦を主張し続けた御厨太郎に対する信頼の言葉があります。

 

御厨が、反対した山本勘助案が採用されたにもかかわらず、腐らずに前線で善後策を講じ、勇敢に戦って成果を挙げ続けたこともまた、信玄の信頼を勝ち得る大きな要因になったことでしょう。

 

もはや御厨との深い友情を疑うべくもない武田信繁も、「長坂長閑は斬らねばならぬ」と、長閑排撃を匂わせた御厨に賛意を示しています。

 

もはや、妖言を弄して信玄を惑わせ、いたずらに武田家を消耗させる悪臣は一掃されるはず。

 

聡明な武田信玄は「貴殿の言葉を採り上げなかったのは、我が失敗である」と口にした言葉どおり、これからは御厨の発案に耳を傾けることでしょう。