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(26)〜柘植久慶【逆撃】シリーズから『武田家3部作』

御厨が新たに手を加えた影武者作戦はより一層確実な成果を生む。

信玄の死後も、だ。

 

と、御厨はそこまで考えています。

 

むろん、武田家の家臣たちは信玄の寿命に不安を感じながらも、そうなってほしくないという願望が勝り、死後の作戦までを明快に考える者はありません。

 

信玄を仰ぐ家臣たちの忠誠心や、安泰を求める感情を引っぺがさないと、次の段階の話ができない。

 

ここでもやはり、歴史知識があるだけでは現実を動かすことはできないのです。

 

差し当たってまずしなければならないのは、史実にある戦況をはるかに上回る戦果を挙げてしまうことです。

 

可能な限り盤石な体勢を築かないと、歴史上は中断してしまった京都への進軍は、とうてい成し得ない。

なにしろ、武田信玄が死んでしまうのですから、武田軍は致命的なダメージを受けます。

 

信玄は信州の駒場で「(京の)瀬田に旗を立てよ」と命じて息を引き取ったけれども、実際の歴史は、武田軍はそこから本拠地へ引き返してしまいました。

 

“引き返させない”

 

御厨はこれを狙っています。

すべての作戦は、ここを達成するためにある。