感情会計-善意と悪意のバランスシート

財務諸表から逆算で人心を読むテクニック

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(38)〜柘植久慶【逆撃】シリーズから『武田家3部作』

ところで、この時の信玄は53歳。

すでに死病が進行して戦場の激務に耐えられる体ではない。

 

どこまでを“生前の仕事”とできるのか?

 

実際の生死を問わず『引退』を前にした経営者の大きな迷いに、信玄も遭遇しています。

 

後継者の勝頼に、何を残してやれるか?

何を残してしまうのか?

 

その一つひとつが今後の武田家を左右することになるが、どんな事態が起きていようがもはや手が届かず、手直しもしてやれない状況……。

 

経営権を譲り切って隠居生活を満喫する状態ならともかく、戦国の世に勢力を張る身に、そんな安穏な生き方はない。

もしあるとすれば、「達観する」こと以外になさそうだが、武田信玄は到底その域に無い。

 

尽きそうな命を振り絞って上洛するような行動を、“達観”した人間はとらないでしょう。

 

 

そんな悩み多き経営者にとって、忽然と現れた御厨の存在は、いわば『頼りになる不協和音』です。

 

幸いにも、自身が死したのちに勝頼を支えるであろう宿老たちの多くは、この御厨に好意を持ち、喜んで協同するようになっている。

 

それに、後事を託すべく、それを伝える言葉探しに苦労する信玄に対し、御厨はなんと『後事』をも献策するのです。

 


逆撃 三方ケ原合戦 (C★NOVELS)