江戸の火消しといえば、燃えさかる火の海の中、高い屋根に乗って威勢よくまといを振る姿でおなじみですが、彼らが行った江戸の町への貢献といえば、解体屋としての働きが最大ではないでしょうか?
延焼しそうな場所に建っている家屋を、回る火の手よりも先に潰してしまうことで、火事が大規模になることを未然に防ぐのが、密集した木造建築で成り立っていた当時の江戸の町に最もふさわしい早期対応の手段だったと思います。
起きてしまった火事は取り返しがつかないので、それをどれだけ被害少なく済ますことができるか?
いなせな男たちの、派手なパフォーマンスの裏に隠れた地道な仕事です。
体内の火事を手っ取り早く消火する「薬」の効き目とは?
私たちはときに、身体のどこかに不調を抱え、いわば体内八百八町の一カ所が出火状態になることがあります。
そして、江戸期よりもはるかに進んだ医療の時代に生きる我々は、当時には絶対になかった化学的工程から製造された薬品を服用し、体内の火事による甚大な被害を防ごうとします。
ただし、この火消しさんは、炎症は防ぐかもしれないが延焼を防ぐような地道なやり方はせず、はるか上空からヘリコプターで消火剤を散布するようなダイナミックな働きをする。
江戸の火消しは選択的に、風向きや地形や建物の特徴といった条件に沿って、中心点から真っ先に対応すべきポイントを見極めて消火活動を行うため、関係ない箇所への影響はほぼありませんが、体内の火消し役の薬品さんは、患部以外の組織にも、同じように薬効を届かせてしまう。
花粉症の薬を服用してゴルフへ行って熱中症で倒れた人がいたと聞きましたが、この時の薬は「鼻水が止まる効果」を有していました。
鼻に対しては鼻水が止まる効果ですが、要は「体内から出る水分の抑制効果」であり、鼻だけに効きますなんて誰も言っていないし、まさかゴルフに行くなんて、処方する側だって言われなければわからない。
選択的に特定の部位だけを指向し、しかも患部以外には一切何の影響も及ぼさないという薬はない。
お江戸八百八町よりも複雑に連関し合った私たちの身体に対し、選択的な働きかけができるのは、私たちにもコントロール不可能な身体自身の作用だけです。
…と、薬品のことをどうこう言うのが今回の目的ではありません。
玄米のことを書きたかったのです。
玄米の発芽抑制因子は薬ではないけれど、というか、薬ではなく玄米の身体の作用ゆえに、特定の部位に対し象徴的な効能を持ち、知らずに食べてしまうと全身に影響が出てしまうらしい。
玄米にとって発芽抑制因子は江戸の火消し的な役割を果たすが、人間がそれを摂取したときに、火消しがお江戸八百八町を壊滅させるような、あり得ないことが起きてしまってはまずい。
玄米は健康効果が高く、しかも美味しい。
私は6年位前から玄米を食べ続けています。
当然、発芽抑制因子の影響などは無く、体質は改善し、現在では薬を飲むこともほぼありません。
どうやって玄米とお付合いしているのか?
発芽抑制因子のメカニズムにはそれほど深入りするつもりはなく、専門的に書いている方のサイトを読む前の、「何となくの基礎知識程度」にし、四緑文鳥的な玄米生活を書いてみたいと思いますが、今回は予告だけにして、次回に譲りたいと思います。