私は小学生の頃、どういうわけか時代劇が好きで、毎日ちょんまげを見ないと収まりのつかない子供でした。
今と違い、時代劇隆盛の頃ですから、それは簡単に叶えられました。
月曜日は「水戸黄門」「江戸を斬る」「大岡越前」が持ち回りで放映されていました。
火曜日は「新五捕物帳」「鬼平犯科帳」
水曜日は「銭形平次」
木曜日は「長七郎天下ご免」
金曜日は「必殺シリーズ」
土曜日は「大江戸捜査網」「雪姫隠密道中記」
日曜日は「桃太郎侍」
などが特に印象の強い番組たちですが、このほかにも様々なシリーズが展開されていましたので、記憶をたどるとまだまだたくさん出てくるでしょう。
これらレギュラー放送のほかに、平日昼の再放送で「遠山の金さん」「伝七捕物帳」「達磨大助事件帳」「水戸黄門」などがあり、さらに土曜朝の再放送で「長崎犯科帳」、昼に「必殺シリーズ」など、とにかくやたらと見ていました。
それら作品の中で「柳生あばれ旅」という作品がありました。
柳生十兵衛を千葉真一さん、弟の柳生又十郎を勝野洋さんが演じ、そのほかに真田広之さんや片平なぎささんなど人気俳優が目白押しの豪華メンバーで、エンディング曲はやしきたかじんさんの「ウォーキング・オン」でした。
この番組の中で、いまでも記憶に残っているのが第1話のクライマックスシーン。
ふつう、上に挙げた錚々たる作品の多くは、当時の時代劇ならではの定番が守られています。
クライマックスのチャンバラでは悪役の親分が『出合え! こやつを斬れ! 斬り捨てい!』と命じ、主人公は手下から倒していって最後に親玉を斬るというお決まりのパターンです。
(そう考えると、水戸黄門ってあれだけ広く親しまれた作品にも拘らず、チャンバラまで進みながら最後にまとめて改心を迫るという独自路線ですね)
この「柳生あばれ旅」も、基本的に最後のチャンバラで親玉を最後に残すスタイルですが、初回のクライマックスシーンではそれをしなかった。
家来衆が居るにもかかわらず、十兵衛はいきなり親玉との距離を詰め、一刀のもとに斬り捨てました。
(……)
小学生の私は唖然としました。
初回放送ではスター俳優の顔見せシーンが沢山必要で、最後のチャンバラに尺を割けなかったからかもしれませんが、この思い切りは鮮やかで、今でも印象に残っています。
なんとか放送枠に収めるために、製作側の苦労は計り知れないものがあるのではないかと思います。
ふと思い出しましたが「ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜」で、CMを時間経過演出として使ったと思われるシーンもありましたね。
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9時47分くらいにCMが入ったので「なんだこれ? 15分拡大版か?」と思ったら、そこで1晩経過して、合宿所に白河莉子が現われるシーンでした。
あれも思い切った手法でした。
DVDではあのシーン、どうなっているのだろう?
(ちなみにこの話を後輩にしたところ「エッ! あのシーンでそんなこと考えてたんですかぁ!」と驚き呆れられました)