【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

長時間残業が慢性化している事務所あるある

<霞が関勤務だった頃の、いつもの光景>

 

夜11時ごろ、オフィスは昼間より人口密度が下がるとはいえ、5割から6割程度の常連が残っている。

 

終電にはまだ時間があるので、急いだ雰囲気は出さぬまま、引き出しの中のカバンを引っ張り出して帰ろうとする私。

 

視界の隅にその私を捉えた数人。

座ったまま脇にある何かに手を伸ばし、こちらをうかがう。

f:id:db469buncho:20200604194337j:plain

マンハッタンさんによる写真ACからの写真

 

帰宅のためのバトルが開始される

先鋒、Mくんが立ち上がり「文鳥さん。帰るんですか?」

私:「帰るよ」

M:「あっ、これなんですけど」

 

決裁書類を差し出してくる。

私:「なんで帰るときに持ってくるんだよ!?」

M:「いや、帰ろうとしてたから」

私:「なんでもっと前に持って来ないんだよ?」

M:「いや、まだ大丈夫だと思ったから」

 

2人目の刺客H

その様子をうかがうように割って入るHくん

H:「文鳥さん、帰る前にこれ見てもらいたいんですけど」

私:「だから帰るんだって」

H:「これ急ぎなんですよ。明日局長印を捺したいんで」

私:「俺の後に係長も補佐も見るし、庶務のラインからもハンコもらうんだろ。『至急』なんて付箋貼ってたってどうなるかわからんぞ?」

H:「持ち回りします」

私:「じゃあ、俺にも明日持ち回りすればいいだろう」

H:「文鳥さんは今ここに居たから」

私:「今じゃない、さっきからずっといる!」

H:「帰っちゃう前にと思って」

 

くのいちTの参戦

その様子を、燃える瞳で見つめるT女史

T:「文鳥さん、あたし明日居ないんで、これだけ」

私:「あなたの予定は知らん」

T:「先週言われたトコ、全部直したんです」

私:「じゃあ来週見る」

T:「今週なんとか!」

私:「明日もまだ今週だよ」

T:「後のことはSさんに頼んであるんです」

私:「ならこれも明日Sさんにやってもらいなよ」

T:「いえ文鳥さん居たんで」

私:「そのとおり過去形だ。もう帰るんだよ」

 

いい加減うんざりする私

 

私:「なんで君らは俺が帰るときまで手元に持っておくんだ? どうしてもっと早く持って来ない?」

M、H、T:「文鳥さん、まだ残ってるなと思ったから」

 

何きっかけで業務を進めるんだキミたちは・・

分離不安か? 子供か?

 

霞が関発、零時13分。

終電の時間を完璧に覚えていた理由は、こんなところにある。

f:id:db469buncho:20200604194818j:plain

クッキーさんによる写真ACからの写真

 

自由への逃走

まれに、彼らの目を盗んで脱出に成功することがある。

部屋を出て駆け出した背後で「アッ!」という声が聞こえる。

 

エレベーターホールに向かうと見せかけて階段室へ。

厚生省のフロアまで階段を駆け下りてから、エレベーターに乗り込む。

見よ、この周到さを。

 

ちなみに私は若い頃「織田裕二に似てる」とよく言われた。

事件は霞が関で起きている(四緑文鳥の脱獄事件)。


踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!

  

ついでに他には玉置浩二、中井貴一、ダンカンにも似ていると言われた。

要するに猿とかヒヒ系の顔立ちだ。

 

ヒヒ顔のまま無事に合庁(合同庁舎)5号館を脱出し、帰途につく。

普段あれだけ切羽詰まった様子で決裁書類を持ってくる連中は、私が逃亡したらどうするのだろうか?

 

翌朝出勤した私は、椅子の上に積み上げられた書類をつかみ上げて脇のスペースに放り投げ、机上を見る。

 

f:id:db469buncho:20200604195234j:plain

セーレムさんによる写真ACからの写真

 

裏紙コピー用紙(その辺は環境省職員の自覚があるのか)に大きな下向きの矢印が書かれている。

 

「椅子に置いた書類を見てください」

 

キミたちはその熱意を、「就業時間内に業務を終えること」に向けられないか?