公務員の長時間労働が問題になっているニュース記事のほとんどが「国会対応するキャリア官僚」のことを取り上げているのを見ると、複雑な気持ちになる元ノンキャリア官僚の私。
私自身は直接国会対応する部署に居なかったけれど、ノンキャリの中にも国会のお付合いする人間はいる。
しかし、ノンエリートであるノンキャリは話題性が低いのか、この手の記事では忘れられた存在になっているフシがある。
少なくとも、国会対応でしょっちゅう明け方に退庁するキャリア官僚の姿を目撃し続けた私の労働時間も、それは異常なものでした。
若きキャリア官僚との深夜業務における語らい
かつて霞が関で、入庁1年目の法律事務官と同じ部屋で働いていた時期があります(仮にD君としておきます)。
私とは全く畑違いの仕事のため、業務で関わることはなかったけれど、当時は同じ20代の下っ端。
入庁年次も年齢も私が上だったため、一応先輩ではあるけれど、キャリアのD君は数年後には私よりも上位に立つ存在です。
とはいえ、まあ穏やかで良い奴だったため、余計なことは考えずに親しく接していました。
真夜中のおかしな精神状態を楽しむ
当時の私のPCのスクリーンセーバーが「ミカン星人」で、当時は紙の資料が主流だったため、ほったらかしのPC画面には度々ミカン星人が登場しました。
明け方に「お先に失礼します」って言われたときの返しのセリフ
「いやそんなことはないよ」
「エッ・・帰るんですか?」
「まあそこのロッカーに着替えが入ってるから、ロッカーにタッチしたら『帰った』っていう判定が入る」
「誰の判定ですか?・・誰の(笑)」
などと軽口を叩きあいながら別れ、言葉どおり数時間後に再会を果たす。
そして、昨日と同じように一日が始まる。
一般的な感覚では、D君は2度死ぬ計算らしい
ノンキャリアの私のほうがD君を見送る場合もあるけれど、たしかにD君のほうがコンスタントに残っていた。
ただ、彼が霞が関に泊まって朝を迎えるところを見た記憶がない。
都心近くの宿舎に住んでいたため、とりあえず帰宅するという選択をしていたのでしょう。
タクシーを使えるという理由もあったに違いない。
一応数時間は職場から解放されるとはいえ、10時間くらいの残業ということになります。
国会会期中はだいたいこんな日常なので、2週間で100時間前後。
20代キャリアの「過労死ライン」が月80時間とは知らなかったが、それならD君は2回くらいは死ぬことになる。
「Dは2度死ぬ」
菊池秀行の吸血鬼ハンターシリーズにありそうなフレーズになってしまった。
ちなみにノンキャリも超過勤務多いっス
私は上司の許可がないとタクシー券なんて使えないし、そもそもタクシーで帰るのが嫌いだったので、どうしても帰りたい時は始発で帰っていた。
家について風呂に入り、着替えてすぐ出勤する。
たまに、前日の昼以降一度も食事をとらないまま完全に徹夜作業になる日もあるのだけれど、そういう場合でも始業時間がくると「超過勤務」ではなくなる。
そもそも「超過勤務手当」は毎月の上限額が各課ごとに決まっていて、それを皆で分配するだけに過ぎない。
全員平等になるように時間調整される課もあるし、庶務係長が多少実態を反映して多めにつけてくれるところもある。
でも実質残業時間の3分の1ぐらいに調整されるとかはザラだし、深夜残業も休日給も考慮されないので、実態とはかけ離れている。
だから、タイトルには「完徹した翌日は超勤時間継続にしてくれ」なんて書きましたが、別に超勤扱いになったからって何かが変わるわけじゃない。
気分が変わるだけなのです。やけくそな気分に・・
今はどうなんだろう、ノンキャリアの諸君は・・