北斗の拳第1巻で、ケンシロウがバット少年と共に、キング(南斗聖拳のシン)の本拠地を探すシーンがあります。
小高い崖の上から、それらしき場所を見つけはしたものの、まだ日が高い時刻。
どうする? と問うバットに対し、ケンシロウはこう答えます。
「夜をまとう」
漢字にしないこだわりで惑わされた中学時代
私がコミックスでこのページを読んだのは中学生の時です。
幼いころから本が大好きで、親に怒られるくらい書物にのめり込む性質だったため、周りの友人たちと比較しても、語彙は達者なほうでした。
ゆえに、おかしな勘違いをした。
私の友人たちにとって、このセリフに当てる漢字は「夜を待とう」でした。
だから丁寧に文章を作るなら
「いや、今はまだ明るい。夜を待って忍び込もうぜ、バット」
と、あくまでもバット少年とのコミュニケーションを意図したセリフです。
対話として成立する、ごく普通の会話言葉です。
ケンシロウのリリックを受け入れた私
しかし、私はこのコマの吹き出しに記載された「夜をまとう」を
「夜を纏う」
と、読み取った……
初期の北斗の拳では、ケンシロウは『暗殺拳の使い手』として描かれるセリフ回しも多く、私はそっちの設定に引っ張られて想像を逞しくしたのでした。
その身に夜を纏い、誰にも悟らせず敵の巣窟に乗り込む暗殺者
当時のケンシロウには、そういった雰囲気が充分にあった。
「夜を待とう」であったことに気づくのに、数年を要しました。
その間、私は完全に中二病のままこのシーンを捉えていた(笑)
問いかけたバット少年に対し、”これからの自分像” を物憂げにつぶやくいい大人と思い
「ケンシロウって、ずいぶんと自分に酔った言葉を吐くんだな」
と、そんなふうに考えたわけですが、北斗の拳は劇的なセリフ回しが多いので、さほどの違和感もなかったのです。
楽曲『夜を纏う』
ちなみに、この記事を書くにあたって、私と同じように考えた人は居ないかと「夜をまとう」というキーワード検索をしようとしたら、なんと「夜を纏う」というワードがあった!
(まさかこれは!?)
そう思いクリックすると、今年の1月にYouTube配信されたアーティストの楽曲で、私の中二病とは全く違うものでした。
参考までに張っておきます。
現在のコメント数は25件ですが、外国人の書込み率が高い点が興味深いです。
殻-KARA- #04「夜を纏う」【オリジナルMV】 - YouTube