ケンシロウは、敵が見破られまいとしている拳の動きが見えたときに「見切った」と言うが、敵の拳がデカすぎて視界からはみ出たことに対し「端っこ見切れてるぞ」とは言わない。
ずっと気になっている言葉
おそらく、少なくとも10年ほど前から、ずっと引っかかっている言葉があります。
それは【見切れる】
この言葉を初めて知ったのは、何かのテレビ番組でだった。
だからこそなのかもしれませんが、私がそのとき理解した使い方と、ここ10年くらい、私の周囲でこの言葉を使う人たちの解釈は、明らかに違う。
隠されているはずのものが見えた「見切り」
私の解釈だと「見切れる」は、「見えていてはいけないものが、見ている人の視界に入ってしまっている」です。
だからテレビなどで「見切れてんだよ(笑)!」みたいなセリフは、登場シーン前後の演者とか、演者以外のスタッフなどが画面に映り込んでいることへのツッコミのはず。
これを別の言い方で例えると、「見切ったぁっ!!」になる。
我々が少年時代、北斗の拳の影響で流行り言葉になりました。
拳法を駆使して敵と戦う場合、攻撃を仕掛ける動きが敵の視界に入ってはマズい。
そこは敵の目にふれないように鍛錬し、戦いに臨んだにもかかわらず、「見えてはいけないその部分」がしっかり見られていた。
その時に敵が発する言葉が「見切ったぁっ!!」です。
だから、マンガでこの言葉を知った人には、本来こちらの意味で伝わっているはず・・
逆の意味で使われる「見切り」
しかし、私の周囲でこの言葉が使われるときは、意味合いが全く違う。
”表示範囲に収まりきれていない場合” に「多少見切れてますけど・・」といった表現をされる。
私のような事務仕事の世界では特に、このように使う人が多い気がします。
プロジェクターで映した画面の説明をしているときなどに聞かされることが多いのだけれど、私はその都度かるく「エッ?」となる。
そもそも事前に作り込んだ資料に「見切れ」があったら、そのプレゼンは失敗だと思うので、内心ニヤニヤしながら発表を聞いてしまう。
「どれどれ、どこが見切れてるんだい?」と、資料そのものよりも、プレゼン自体を意地悪く観察する自分が居て、そのきっかけが「見切れ」という単語です。
言葉の使い方によっては、私のように変なスイッチが入る人がいるので、面倒でもありますが、面白くもありますね。
映像の世界のプロはやっぱり・・
おそらく映像関係の仕事をしている人だと、私が習得したのと同じ意味で使っていると思う。
そうでないと、業務上で差し障りがあるはずだから・・。
そんなことがうっすらと頭に残りつつ、この動画を見て「やっぱりね」と思いました。
キレイなお姉さん好きの方、必見です。「ウェザーニュース」
この中の1:50〜2:10の映像が該当部分ですが、フリーの言葉がまだまだ子供っぽいお嬢さんも「見切れる」を正確に使用していて、やはりプロはこうなのだなと納得。
映り込んではいけないところで、自分の姿が視聴者の視界に入ってしまったことを「見切れてしまった」と言っていることが確認できます。
間違っても「全身が映っていないから」の意味で「見切れた」とは表現していない。
「これだよ、これ」と、なにやらうっぷんが晴れたごとき爽快さをおぼえた瞬間でした。