では、平成ライダー主人公の経済的リアリティの続きを検証していきましょう
今回からは「収入不安定組」です
いちおう働いてる(?)「実家暮らし」のライダーたち
不安定組の中では、わずかなりとも直接的な労働報酬を得ていると思われるのは、同居の姉が経営する喫茶店を手伝っている【電王】の野上良太郎です。
いわば ”姉に養われている” というに近い形。
家族の庇護のもとで経済生活を送る主人公といえば、修理工場を営む祖父に養われている【フォーゼ】の如月弦太朗がいます。
彼は親族の働きによるものとはいえ、れっきとした家業の傘の中にいるということで「正業収入あり」に準じるものとしました。
しかし、同じように家業を営む親族が居るとはいえ、【キバ】の野上良太郎は正業収入ありのカテゴリーから外しました。
家業手伝いライダーの【キバ】
彼を【フォーゼ】の如月弦太朗とは別ものとしたのは、弦太朗が学生であることに対し、良太郎は10代とはいえすでに学生ではないという点につきます。
姉の愛理が経営する喫茶店『ミルクディッパー』は、彼女目当ての強烈な推したちが足繁く通う繁盛店です。
良太郎が手伝わずとも、愛理目当ての客たちがナイトのように尽くしてくれる状況なことから、少なくとも物語時点において経済的な苦労は無く、実質的には姉に養われて安定的ではあります
それゆえ「安定組」に入れることも考えましたが、やはり彼がれっきとした社会人で、彼自身が外界で稼ぎ出す収入がないという点でカテゴリーを変えました。
職人ライダーの【キバ】
もうひとり、規模は不明ですが直接的な労働報酬を得ていると思われるのは、バイオリン職人である【キバ】の紅渡(くれないわたる)です。
極端な引きこもりで、彼自身が営業しているとは到底思えないので、どうやって集客しているのかはわかりません。
おまけに彼は ”修行中” であるらしい。
しかし、試行錯誤を繰り返す理由が、父が遺した名器「ブラッディローズ」を超えるバイオリンを作るためということなので、一般レベルではすでに相当な腕前である可能性もあり、業界では有名なのかもしれません。
父親の紅音也が渡とは正反対のでしゃばりで、当然彼の顔と名を知る人は多かったでしょうし、そうなれば彼が名人の技量を持つバイオリン製造者であることも周知の事実だったはずなので、言い方を変えれば渡の家業の営業は、父がすでに手広く行っていたと言えそうです。(悪評もずいぶんばらまいたようですが)
野上良太郎、紅渡の二人に関しては、少なくとも毎月の家賃負担に怯える必要はなく、良太郎に至っては水道光熱費の支払いや確定申告にも、当事者として向き合う必要がないことから、やはり自宅通いのライダーというタイプには、それなりのアドバンテージを感じます。