さて、またもや前回記事からそこそこ月日が経ちました。
え〜と、どこまでだっけ?
・・フムフム、赤堤のアパート入居初夜の食事だったか
京子がボロニアソーセージを食した疑惑とか、朝倉が鶏モモ45本をかっ喰らった疑惑とか、一部(?)は私の言いがかりなのですが、色々あった夜ですね。
ついでに紹介⇩⇩⇩
<なぜか人気の絶対的番外編>
大藪春彦作品の主人公を凌ぐ大食い野郎『土田康一』の喰いっぷりを取り上げた記事はコチラ!
意外に読まれている?「孤独なグルメ『蘇る金狼』」シリーズ
一体どこに需要があるのかわからない「孤独なグルメ『蘇る金狼』」
果たしてこんな記事が読まれているのか?
書き続ける意味ある?
ただの自己満足では?(ブログだからそれでいいじゃない)
しかし、ちょっと試してみてください。
大藪春彦 食事
大藪春彦 ボロニアソーセージ
・・など、これをコピペしてgoogleとかで検索してみてください。
だいたい上位表示されるので、わりとあっさり私のブログに帰還できます。
(残念ながら「孤独なグルメ『蘇る金狼』」シリーズそのものではなく、その前身の記事ですが・・)
大藪作品における食事シーンが、いかに読み手の心に強烈な印象を残すのかがよくわかります。
私もそんな読者の一人として、大藪先生の食の世界観を綴り続けていこうと思います。
小鳥のヒナより消化が早い朝倉哲也
ということで、『蘇る金狼』に戻りましょう。
舞台は11月25日(金)の深夜です。
この昭和41年当時はまだ週休2日制ではなく、土曜日は半ドン。
「明日は会社へ行かねばならない」という気持ちが、金曜日の夜にも当たり前にあった時代です。
そんなハナキンではない金曜日の夜にも、朝倉は45本の鶏モモを平らげるという偉業を成し遂げたのでありました。
しかし彼にとってそれは、べつだん羽目を外した週末夜の行為でもなんでもない。
そうです。
鶏モモ45本くらいで大藪春彦作品の食事シーンが片付くはずはありません。
恋人の寝顔よりボロニアソーセージを選ぶハードボイルド
実はこの日の深夜・・というより日付が変わった午前2時半に、ダブルベッドから起き上がった朝倉は、またメシを喰らっています。
いちおう、さっき食事した前後の時間帯をおさらいします。
- 21時前にアパートに到着
- その10分後、デパートの配送員が来訪
- 30分で家具一式を据え付けて辞去
ということで、45本の鶏モモは、だいたい22時を跨ぐくらいのタイミングで喰らったとみてよいでしょう。
そしてこの2度めの晩餐は、鶏モモ摂取から4時間あまりといったところ。
23羽の鶏たちのモモは、朝倉哲也に食われると1時間に11本換算でこなれてしまう計算になるらしい・・
(一応ことわっておきますが、『蘇える金狼』の原文では、鶏股の数量は『四、五本』と書かれています。
大藪作品にしてはあまりにも少なすぎる分量で、これを訝しんだ私が『、』は大藪先生の万年筆から飛んだインクが2つの数字の間に落下して10分の1になったと主張したため45本と表現しています)
そのことを解説しているのがこちら⇩⇩⇩の記事です。バカバカしいでしょ?
1キロのボロニアを『素早く胃に送り込む』スキルとは?
さて、午前2時半。
先程とは場所が変わり、なぜか今度はキッチンで食事をするのですが、この赤堤のアパートの間取りは原作の記述を元に図示するとこのような感じです。
1回目の食事は真ん中の洋室いっぱいに、デパ地下で買ったおびただしい量の食料品の紙袋を林立させ(私の想像です)、豪快に食事をしたようですが、今度は朝倉一人のためか、地味にキッチンへ向かう。
いや、彼の食事に『地味』という概念が有るのだろうか?
原作ではこんなふうに表現されています。
ボロニアソーセージを1キロほど素早く胃に送り込むと
文章は地味だが内容は地味じゃないな・・
「素早く送り込む」って・・
餅をかまずに飲み込む「餅すすり」の風習が残る佐賀県白石町ってどんなところ?
おお!なんとこれは・・
まさか
あ、朝倉・・くん?
あなた、朝倉くんなんでしょ?
ボロニアソーセージを1キロほど素早く胃に送り込むと
大藪先生が餅すすりを知っていたかどうかはわかりません。
しかし、餅でこれをやるのは危険。
ただし、ボロニアソーセージなら・・
吸い込むのに適した1kgのボロニアの形状といえば・・
ここでの最大の問題は、ボロニアの太さでしょう。
⇧⇧⇧さすがにこんなに太かったら、吸うには無理がある。
外国人が難渋する「ソバをすする」という行為だって、口に含んだ食物の太さを取り巻く吸引スペースを、余裕を持って自在に作れることが最低条件です。
細かく微調整できる程度に口はすぼめられないと「すすり喰い」の技は発動できない。
となれば、やはり我々の頭に浮かぶ【細いソーセージ】といえばやっぱり・・
ニッスイ 毎日EPA+DHAソーセージ 100g(50g×2本)×12袋
『ボロニア吸い』を実行するためには、やはり魚肉ソーセージ程度が太さ的にお手頃ではないでしょうか。
喰らわねばならぬ『大藪ミッション』は1キログラムなんだが・・
しかし、魚肉ソーセージ1本が50グラムとすれば、1kgを食する場合、20本を「吸わなければ」ならないことになる。
一口に魚肉ソーセージといっても大きさは様々です。
中には100グラムを超えるものもあるから、必ずしも20本ではないものの、ある程度の本数は用意する必要がある。
そして、魚肉ソーセージはたいていこんなふうにパッケージされている。
もちろんこのまま「吸う」わけにはいきません。
いくら朝倉哲也がハードボイルド・ガイだとしても、さすがにこのまま食するほど無謀ではないでしょう。
とうぜん、皮をむく必要があります。
とにもかくにもこの形に持ち込まなければソーセージを吸うことはできない。
・・・朝倉が20本の魚肉ソーセージをムキムキしている光景が浮かんでくる。
深夜2時のキッチンで、寝室に寝ている彼女の目を盗んで・・
(どうも私が考えるディティールでは、朝倉君がチマチマした細かいことにこだわる男という結論に行きついてしまう)
やはり「1キロのボロニアを素早く胃に送り込む」という描写が、いかに突拍子もないことかが見えてきますね。
このシーンでは、まだ気になるところがあるのですが、それについては次回以降また考察していきましょう。