さて、気を取り直して第2弾。
我々の生活のリアルさと最も同期するであろう「生活の糧」
仮面ライダーの主人公たちは、この問題をどうやってクリアしているのか?
ここが完全に無視されているようなら、私ならちょっと観る気にならないかな。
台湾生まれの作家、邱永漢さんが小説を書く際、常に気にしていたのが「今、主人公の財布にはいくら入っているか?」ということだったようです。
ある人物の行動を長期間描き続けるとき、経済的な元手の存在を意識しないということは、金銭感覚の鋭い邱さんにとってはあり得ないリアリティ無視だったらしい。
同感です。
ライダーたちの「おカネ事情」
私が観ていた平成ライダーは【クウガ】から【ウィザード】まで。
”主人公たちの生活財源” について、劇中では基本的にボヤかされつつも、その裏付けについてはそれなりに描かれている点にフォーカスしてみます。
今回も早々に考証対象から離脱の【響鬼】
ベルトの件でもそうでしたが、【響鬼】はこのテーマでも早々に除外です。
<【響鬼】の除外>についてはこちらの記事をどうぞ⇩⇩
古の時代から日本全国の河川・山野に住まい、人々を脅かしてきた魔物「魔化魍」の退治や鎮めに従事する組織「猛士(たけし)」に所属している響鬼たち主人公は、戦隊ヒーローやウルトラマンの主人公のごとく、正義のチームのメンバーです。
柴又の甘味処「たちばな」の店の奥を拠点(支部)とし、奈良県吉野の本部や各地の支部と連携を取りつつ活動する立派な組織。
当然、活動に必要な設備や装備、給与や出張旅費の類はここから出ていると見てよいでしょう。
響鬼さんはたまに「たちばな」の店内でホールなどの業務にも従事するようですが、急報が入れば直ちに飛び出さねばならない身。
甘味処の売上から人件費が支払われているとは考え難いので、実入りの確保という点で曖昧さを感じることはなく、響鬼の生活財源は「猛士」という機関が賄っていると考えてよいでしょう。
実家暮らしの【フォーゼ】
次に抜けるのは【フォーゼ】の如月弦太朗です。
なんといっても彼は高校2年生(劇中で3年生に進級)。
自宅で修理工を営むじいちゃん(八名信夫さん)との二人暮らしで、彼が学生を卒業したあとのストーリーが描かれないかぎり「じいちゃんに育ててもらっている」という一言で、生活財源についての説明は不要でしょう。
出版社勤めの【龍騎】
それから、わかりやすくサラリーマンしているのが【龍騎】の城戸真司です。
彼は「OREジャーナル」という小さな雑誌社の見習い社員で、荒っぽいが面倒見の良い編集長のもと、ドヤされながらも愛嬌たっぷりなコミュ力お化けぶりを発揮しています。(ライダーであることは明かさないが)
やり手の先輩記者・桃井玲子(⇩⇩)からの信頼も厚く、バトルによって勤務状況が危うくなることがあっても、事情を知らない彼女が庇ってくれることがあり、クビになることもなく勤め続けている。
うらやましいぞ!城戸真司
もともと不規則な仕事だし、飛び回ってナンボの足で稼ぐ記者ゆえに、この設定も安定と言えるでしょう。
経営者ライダー【W】
”オヤッさん” こと鳴海荘吉が遺した「鳴海探偵事務所」の運営を担っている【W】の左翔太郎もまた、生業はわかりすぎるくらい明らかです。
ただ、事務所がそれほど儲かっているのかどうかが心配なところではあります。
もっとも、警察とのつながりが深いことに加え、探索能力の高さや荒事に対する抜群の対応力といった特性を活かして、いわば警察の外局として特別任務を受けられそうですから、翔太郎の実入りという点ではそれなりの安心感があります。
と、いくつかのシリーズを挙げてきましたが、今回は「勤め先で働く社会人」と「学生」という、いわば①安定収入型です。
この後は逆に、どうやって収入を得ているのか気になる主人公たちにスポットを当てていくのですが、次回はその中でも異色な1作を取り上げてみたいと思います。