【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

叱れない上司に「アサーション」を説く前に確認したいこと

さて、前の記事でアンガ―マネジメントについてふれ、そこで施されるのは「怒りを爆発させがちな人向け」のプログラムだと言いました。

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これでは、内省的で、普段から気持ちが内向するあなたにとっては

『毒より大量の解毒薬を飲まされる』ようなもの

かえって部下との関係性がぎこちなくなりかねません。

ゆえに「自分には関係ないから無視」と決め込んでよいということでした。

 

しかし、指示や通達などに従順なあなたにとって、上からの声を無視することは難しく、一層の戸惑いや恐れを抱く羽目になりかねないとの見解を示しました。

 

あなたのような人には、まずは自己表現(アサーション)の訓練をしてもらい、ストレートに感情を出せるようになったうえで、アンガ―マネジメントに取り組めば良いはずです。

 

「アサーション」とはいったい何なのか?

働く人にとっての自己表現訓練(アサーショントレーニング)と言えば、カウンセリングルームで個別に行うものや、職場にトレーナーを招いての集団訓練が想像されます。

 

まず、自己表現するための声が出せない人が多いので、気持ちを相手に伝えること以前に、声を出す訓練が初めの一歩になると思います。

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まつなが ひでとしさんによる写真ACからの写真

 

「叱れない悩み」よりも「声を出してみる」という、行動にスポットを当てた方法ですので、以前の記事で書いた『論理療法』とは違って、これは『行動療法』の範疇に入ります。

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口で言えない人は目でも主張できない。
「目は口ほどに物を言う」の適用外だ

 

あれこれ考える前に、しゃべってみよう

 

これは語学習得でよく用いられる発想です。

 

英語が喋れないと悩むより、しゃべってみよう

 

といった感じですね。これを応用するのです。

 

『英語』の代わりに『自己表現語』を学ぶ。

日本語だとやりづらいようなら、いっそ英語でしゃべってみたら? なんてことも一案ではあります。

 

アメリカ人など英語圏の外人を用意し、自己主張フレーズをその人にぶつけてリアクションを見るといった方法だと、しゃべっている内容が少々辛辣なものであっても、さほど良心の呵責に苦しむこともないですね。

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coji_coji_acさんによる写真ACからの写真

 

あえて厳しすぎるフレーズを参加者に言わせてみて

「ここまでの言い方だと、やはり受けた側は傷つくことがありますよね?」

等の “やりすぎ実体験とその反省” を指導することもできるでしょう。

 

当然、ここで『言われ役』を演じてもらう外人さんは、表情豊かでお芝居も上手な方であることが望まれます。

 

会社の研修は「スキルアップ訓練」であり「性格を直す訓練」ではない

上で述べたように、アサーショントレーニングでは、配役を決めて、その時の状況を実際に演じてもらうことも有効な手段であると思います。

 

これはゲシュタルト療法のエンプティ・チェアの技法ですが、実践主義の行動療法なら、こういった手段を取り入れることも多いでしょう。

 

“職場で実施される研修メニュー”は、「医療行為」でなく「教育開発的なアプローチ」なので、受講者には病的な要素が無いという前提のもと、わりと無造作にミックスしても問題は無いと判断されるのではないでしょうか?

 

ということは、あなたが抱いている悩みは、あなたにとっては深刻かもしれませんが『病的』とは言えないレベルなので、当然のことですがその考慮はされないと考えたほうが無難でしょう。

 

するとやはり、会社で受ける訓練よりも、個人的にカウンセラーを探して、悩みを打ち明けつつ1対1の関係で取り組むアサーションが、あなたにとっては適した手段ということが言えそうです。

 

職場での上意下達至上主義に陥ってはいけません。

 

業務指示はあなたの「スキル」に届けばよい。「性格」まで喰い入られたら、いったん立ち止まって!

あなたのパーソナリティは、会社の仕事とは別個のものです。

 

前にも書きましたが、あなたは『自分の性格を直すために入社したわけじゃない』はずです。

性格を直すことと、業務上のスキルアップは別物です。

 

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もしも職場が企画したアサーショントレーニングに参加したとしても、そこで教わったことをやみくもに実践する必要はありません。

 

でもあなたは「参加はするけど教わったことなんてやらないよ」と割り切れない性格です。

 

アンガ―マネジメントを拒否り、「あなたに適切なはず」のアサーショントレーニングを拒否る・・。

かなりハードルは高そうですね。

 

ちょっと視点を変えてみましょう。

「アサーション」の捉えかたについて、次回は書いてみたいと思います。