年末に宝くじ関係の記事をいくつか書きましたが、もう少し突っ込んでみたいと思います。
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還元率の実感はない
宝くじの還元率は約4割。
それ以外の約4割は地方自治体の財源に、残りの約1割は業者などの経費になるそうです。
つまり4割は税金として納められるとのこと。
3千円買った瞬間、1200円くらいはどこかの自治体へ納付したことになるようです。
では4割の還元が保証されているかというと、ほとんどの場合1割の300円が返ってくるだけです。
つまり、消費者である我々の実感としては、「購入者が1割、業者が4割」ということになる。
おまけにこの業者というのが、得体の知れない天下り団体と言われています。
宝くじは総務省の巨大利権ということを、私は不覚にも知らなかった。
第一勧銀が扱っていた時代から、宝くじというのは銀行のものだと思っていました。
監督官庁は大蔵省(財務省)という気がしていましたが、どうやら違っていた。
地方自治体へのお金の流れだから旧自治省のものだったというわけですね。
アブさんが試してくれた比率
まあ天下りの闇の話は置いておいて、「還元率は4割」は本当なのか?
こちらは私が好きな動画実況者のアブさんが試みた企画です。
1等100万円が300本のスクラッチくじ(200円)を100万円分(5千枚)買ってみたそうです。
「300本もあるなら当たるんじゃないか? 1本当たりさえすれば元が取れる!」
もちろん本気で言ってるとは思いませんが、動画的な盛り上がりでそう宣言し、しこたま買ってきてひたすら削っていくという内容です。
このスクラッチくじの設定金額は以下のとおり
6等200円
5等1,000円
4等3,000円
3等10,000円
2等100,000円
1等1,000,000円
ネタバレしたくないので途中までの経過しか書きませんが、アブさんは序盤で還元率38%、まさに約4割をマークしています。
しかしこれは1枚だけ3等の1万円が当たったためで、その僥倖が無ければ33%です。
次の10万円で5万5千円。還元率は27.5%と落ち込みます。
何か最初のスタートダッシュの帳尻が合わされるような動きになり、トータルでは32.75%の還元率となりました。
ここまでのところで、還元率は4割までは無いという実績が導かれます。
結果が気になる方は動画をご覧ください。
宝くじシミュレーターで試た比率
以下の記事でも紹介しましたが、「web宝くじシミュレーター」というサイトがあります。
本日から、昨日結果の出た2020年年末ジャンボ宝くじのシミュレーションに切り替わりました。
作業をしながら回しっぱなしにして試してみたのですが、出た結果は以下のとおりです。
2億円購入時点
上記は、約2億円買った状況ですが、還元率は32.5%。
アブさんがたたき出した32.75%に酷似しています。
5億円購入時点
上記は、約5億円買った状況ですが、還元率は32.51%。
やはりアブさんがたたき出した32.75%に酷似しています。
10億円購入時点
上記は、約10億円買った状況ですが、還元率は32.51%。
よく見ると、未だに1千万円以上の当選が無いことが分かります。
「1等前後賞当ったから、これを全額注ぎ込めばもっと増やせるんじゃね?」という妄想は、実際に試したら幻想であることが明らかです。
ダメ押しで15億円購入時点
還元率は32.55%。とても安定しています。
ということは、金額ベースでは損失額が劇的に上がっていることになります。
こういう時は「率」で判断してはいけません。
(ちなみにシミュレーションの図で上下で金額が一致しないものがありますが、カウントアップを止めずにキャプチャ撮りしているせいです)
段々見えてきた『還元率4割の正体』
どうやら『約4割の還元率』は、この「10億円買ってもまだ出ないほど低確率の高額当選を含めた数字」であるらしい。
アブさんは”20万円で約3割強”という実績を出しましたが、おそらくもっと以前に還元率は固定され、あとはお金をかければかけるほど金額的な損失が増大していくことが分かります。
シミュレーターはあくまでも機械上の計算だけなので、ただの理論値ということで説得力が片手落ちの感もありますが、アブさんがリアルにやってくれていたおかげで宝くじというものの傾向が理論と実践で目の当たりにできました。
アブさんが試みたのはスクラッチくじで年末ジャンボではありませんが「宝くじの還元率は約4割」ということですから、形態は違えど率までが違うとは思えません。
同じ率を当てはめても問題は無いと思います。
結構な金額を注ぎ込むと約3割の還元率で、はした金では還元率はもっと少ない。
ただ、金額が少ないのでそれほどのダメージを負わないというだけです。
まれに、僥倖中の僥倖で「買った金額を上回る当選者」というのが居ますが、あくまでも僥倖です。
しかし、そのごく少数を除いては
「1割しかリターン無し」か
「かなりカネかけたけど3割しか返ってこなかった」という結果になるはずです。
「税金を納めてのリターン」なら、現代には「ふるさと納税」があり、こちらのほうが確実ですし、自分で自治体を選べます。
「業者1割、還元4割」は、消費者目線で見たらウソと言って差し支えなく、大多数の消費者にとっては「天下り業者4割、還元1割」です。
もしくは大金をはたいて「天下り業者2割、還元3割。しかし、金額ベースでは多額を天下り業者へ献上」が真実です。
1等賞金がデカすぎるところにオワコンの香りを感じる
私が知る限り、昭和60年(1985年)頃のジャンボ宝くじの1等は7000万円でした。
2020年のジャンボ1等当選金は7億円。
35年で物価は10倍になっただろうか?
そんなことはない。
ぶら下げるニンジンをデカくしてCMで煽るのと「天下り」「ふるさと納税」といったワードを総合すると、実は宝くじってオワコンに近づいているのではと邪推したくなります。
ま、ただの天下り団体なら無くなれと思うけど・・
せめて、もう少し還元率を高めてくれると、庶民の楽しみとして受け入れられるのだが。