私が昨日遭遇し、利用はしなかったものの「これはどうかな?」と思った話・・
Microsoftのオフィスソフトに不具合があり、アンインストールしてしまった。
プロダクトキーは手元にあるものの、「アレ、再インストールはどうするんだっけ?」
初回インストールは、PC購入時のセットアップの流れで行えたような気がする・・・ということは言い換えれば「便利さと引き換えに自力習得の機会を失ったまま」だ。
あれこれとweb検索し、Microsoftのサポートページなども見るけれど、昔からどうしてもあのページの造りに馴染めない。
正規のサポートページは信用はあるけれど、使い勝手が私の感覚に合わない・・
⇧⇧⇧ ここに、「ある問題」が潜んでいた・・
「Microsoftのスタッフがやっているなら、普通カネは取らんだろ」という思い込みで回避
「ある問題」とは「ジャストアンサー(JustAnswer)」
ご存じの方も多いと思いますが、私はこの存在を知らなかった。
かなり問題になっているようです。
たとえば、このブログが、私が見た中ではかなりの臨場感と、そして冷静さがうかがえました。
高齢の親御さんがクレジットカード情報を入力してしまい、その後ブログ主さんの処置で返金に持ち込めはしたものの、しつこいメールにも悩まされたようです。
投稿日を見ると2015年12月。
ジャストアンサーの存在を知らなかった私が疎いのか、それとも、何らかの問題が生じたときにこの存在を目にすることなく、自力で解決し続けていたのか、どちらだろうか・・
どうして信じるのか
PCでトラブってしまったとき、慌てて検索すると、様々なサイトを飛び回ることがあると思います。
すると、直前にMicrosoftの正規サポートページを見ていた場合、その後の検索でこんな具合に表示されると「ああ、ここでいいんだな」と思ってクリックしてしまうかもしれません。
「信じさせるプロセス」を信じない
結論から言えば、ジャストアンサーはMicrosoftとは関係ありません。
私が比較的すぐにそれに気づいたのは、以下の流れによります。
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ジャストアンサーのサイトトップにあるメッセージ欄に、自分が直面している問題を記載。
自分の素性は一切書かず、ただ丁寧な言い回しを意識しました。
「Officeの再インストールについて相談したい。アンインストール操作はしていないはずだが、Excel等のアイコンをクリックしてもメッセージが出るだけで開かない」
という旨を書いて送信。
すると「どんなメッセージが表示されていますか」と返信される。
しかも素早い。(このとき、「さすがMicrosoftだ」と思ってしまう心理が働く)
ちなみに「どんなものが表示されていますか?」というフレーズは、私の職場でも一般的に使われます。
ユーザーサポートの対応時、最初に現状を把握する際によく使う誘導のフレーズです。
しかし、善意でする”誘導のフレーズ”とは、『相手の目線に合わせる準備』です。
ここでユーザー側の認識としては、助けを求めた相手がこのフレーズを発してくれた場合、無意識に ”ゆだねる心理” になることが多い。
ジャストアンサーからの「表示」に関する問いに対して私は、アイコンをクリックした際に表示されるメッセージを書いて、相手に送信。
するとまた素早いレスポンスで「技術者につなぎますが、ほかに伝えたいことがありますか」という返答が来る。
(なるほど、この人は受付の担当で、社内の技術者にアサインする役を担っているのか・・)
と、私は思っていた。この時は・・
「時」「場所」「相手」のどれかが切り替わると、人はフェーズを変えてしまう。
最初のセッションで多少の違和感があっても「これは本番じゃなく、事前準備のコミュニケーションだから仕方ないのだな」と自己説得してしまう。
そして、無意識にその『本番』に向けて、自ら気持ちを切り替えて”最初の違和感”の追及はやめてしまう。
この場合
- Microsoftのサポートであると思ってしまう仕掛けに、相談者はまず引き込まれる(焦っていればなおさら)。
- 最初の担当者から「技術者につなげる」と案内されることで、自ら相手の陣地に一歩踏み込んでしまう。
信じやすい人は、これだけでもかなり警戒を解いてしまうでしょう。
私はこの時点ではまだ怪しいとは思わず「技術者に伝えるには、もう少し突っ込んで『何を目的の操作だったか』までを書くべきだろうな」と考え、詳細を記しました(でも信用まではしていないので個人情報は出さない)。
すると、その受付担当者からのメッセージには、「初回¥500でサポートが受けられる」という旨が書かれ、ご丁寧にハイパーリンクが張られている。
しかし、どうやら次回以降は4千円台に引き上げられるだけでなく、サブスクリプションの月額会員にならねばならないらしい。
【さぶすく】の呪文は、私は好きじゃない。
「なんだ、これは?」とサブスクリプションへの警戒丸出しでフリーズする私の目の前で、ハイパーリンク先の画面に切り替わる(あまり長い間考えさせないように、一定時間後に「次のステージ」へ進む仕掛けなのだろうか?)。
そこには、クレジットカード情報の入力画面が開かれていた・・
私は呆気にとられた。
一旦信じたものを疑い始めるエネルギーは、意外に大きい
応答し始めた人は、ある意味すでに「相手を信用している」
少なくとも、門前払いをしていない。
これは訪問販売の時などに適用されるバロメータ。
PCトラブルで困った人は、自ら相談相手を探しに行っているので、「ここは安全だ」と思ってしまったら、唐突な ”くれくれクレカ情報” のお誘いに応じてしまう人が多いらしい。
『門前払い』ならぬ『支払い』をしてしまって、その後別な意味のトラブルを起こしてしまう例が見られます。
返金はするが解約は別扱いにされているとか、解約に関する相談成立によりいくばくかのフィーが取られるとか、何やら色々あるようです。
もう一度リンクを張っておきますので、気になる方はこちらのブログ主さんの記事をお読みください。
『初回お試し価格』と言われると、反射的に疑いたく(攻撃したく)なる
疑り深い私は、”くれくれクレカ情報” のページを見て、二つのことを考えました。
1.Microsoftのスタッフがこの手のサポートをしているなら、それは ”営業経費” ではないか?
ユーザー課金を生む ”原価” ではないと思う。
WindowsのOSが入ったPCメーカーは、そのライセンス料をMicrosoftに支払っている。
私たちがPC本体を手にする時には、そのライセンス料込みの金額を払っていて、すでに「お宅の製品使ってるんだよ」とMicrosoftに言えるお客様で、多少のサポートぐらいは料金に入ってるんじゃない?と考えることも可能。
ライセンスは、在庫も物流も不要。
Microsoftは多額の粗利を得ているでしょう(と私は思っている)。
基本的なサポートの経費はそこで賄うと考えるのが自然だ。
ゆえに、相談受付の段階でユーザー課金するなんて考えづらい。
だいたい、バンドルされたOSやらソフトに関連した相談も、PCメーカーのサポートが受け付けていることが多い。
消費者としては、PC購入時のことを考えたら、むしろMicrosoftではなくメーカー窓口のほうが関係が近い。
「とはいえ、メーカーに連絡するのは面倒だから、もっと簡単に情報が得られないか?」
仮にそう考えてネット検索しているのであれば、それで行き詰ったら諦めてメーカーや代理店などに相談するのが、本来の筋道かもしれません。
もしもその結果として役務が発生し、それに対する既定のフィーがあるのなら、その時点で見積もりが為された後の課金になると思います。
「ネットで検索を始めたのだから、何が何でもネットで完結させよう」
こういった心理も、この手のやり口に取り込まれてしまう理由のひとつでしょう。
2.サブスクするほどヘビーユーズしないし、そんなに使うほどなら自分が上級者になってしまい、結局必要ない
ジャストアンサーは、月に4千いくらかを支払えば使い放題らしいけれど・・
「そんなしょっちゅうトラブるか?」
そんなPCなら、そっちを買い替えたほうが早い(サブスクに年間5万も払うくらいなら)。
ましてや私のPCは買ってから2か月しか経っていない。十分に保証期間だ。
また、そんなにしょっちゅう ”わからないこと” が出てくるほど、常に新しい道へ踏み込み、より広く深い技術や知識を求める使い方をするユーザーならば、必然的に自分自身で答えに辿り着く実力が付くはず。
サブスク効果の陳腐化が早い。
割に合わない。
いちいちケチつけなくても良いんだけど、よくわからん奴から「金出せ」と言われるとなぁ・・
というわけで、課金するエネルギーよりも「しねえぞ、課金なんか」という思いのエナジーが強烈だった私は、すぐさまジャストアンサーに関する検索をし、どうも危ないという情報が得られた段階で離脱しました。
さらに言えば「天下のマイクロソフトが、支払方法が『クレカだけ』なんてあるのか?」という疑念もあった。
そう思って自分のアカウントでMicrosoftの支払方法を確認すると、ペイパルも可能らしい。
もっと言えば、Microsoft製品(サービス)購入なら、アカウントを持っていれば課金の前にユーザーページ認証などでセキュリティがかけられると思うし、アカウントが無ければまず登録とかさせられそう(囲い込みもしっかりしてそうなので)。
まあ、そういった認識が無いからこそやられてしまうのだとは思いますが、少なくとも7年以上存在しているようですので、ジャストアンサーというのは生命力もあってそれなりに稼働はしているのでしょう。
私は利用する気がありませんが・・・
ジャストアンサーは、リスティング広告でトップに出てくるほか、SEOがうまいらしく検索上位(というかトップ)に表示されることが多いようです。
使いたくないと思う方は、気を付けておきましょう。