【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

ウルトラセブンの気持ちを考察する(ペダン星人へのオーバーキル)①

なぜウルトラセブンは、ガッツ星人のことは散々いたぶってからとどめを刺したのに、ペダン星人にはいとまさえ与えず、最強技ワイドショットでオーバーキルしたのか?


ウルトラセブン ミュ-ジックファイル

 

ふと、そんな重箱の隅を突付きたくなったので考察してみましょう。

 

 

1話完結しなかった数少ないエピソード

ウルトラセブンで2話続きになったエピソードは殆どありません。


その数少ない「2話続きの回」とは『ウルトラ警備隊西へ』『セブン暗殺計画』、そして最終エピソードの『史上最大の侵略』で、それぞれ「キングジョー」「ガッツ星人」「バンドン」という著名な敵キャラを擁しています(バンドンだけちょっと格が落ちるかな?)

 

いずれもセブンが激しく苦戦した回です。

 

厳密に言えば『史上最大の侵略』は ”敵が強かった” というよりセブンのコンディションが極限まで悪かったための苦戦といってよく、バンドンが前2者と比較して格下に思えるのはそのためでしょう。


史上最大の侵略(前編)

 

小学生でも感じていた小学館の「ワイドショット」の使用例への疑念

私の小学生時代の愛読書『決定版ウルトラ兄弟』では、初代ウルトラマンからレオまでの6人がひとり一章という形でフィーチャーされ、年齢や体格などの基礎情報や特技、技の種類、その他ちょっとした豆知識などが解説されています。


決定版ウルトラ兄弟 (1979年) (小学館入門百科シリーズ)

 

各兄弟の代表的な技の説明については、テレビでの発動シーンのカット画像が段階的に複数枚、キャプション付きで並べられているため、どんなポーズ、どんなエフェクトかを解説付きで目視できます。

 

当時大人気のウルトラシリーズとはいえ、テレビの再放送でしか見ることができない時代ですから、こういう情報は非常に助かるものでした。

 

たとえばセブンの主要技として紹介されていたのは「エメリウム光線」「アイスラッガー」、そして最強の「ワイドショット」


CCP 1/6特撮シリーズ ウルトラセブン ワイドショット ハイグレード Ver. PVC彩色済み完成品

 

このワイドショットの説明用に使われている画像が、ペダン星人の宇宙船を撃ったときのものでした。

 

小学生が感じ取った「データベース資料」

この『決定版ウルトラ兄弟』では解説ページの最下段に、それぞれの技ごとに、その攻撃で倒した敵の名称が列記されているのが実に興味深く、小学生時代の私はこの列記部分を飽くことなく凝視していて、多分この書籍のうち最も深く読み込んだ箇所といっても過言ではありません。

 

データベースでグルーピングしてカウントし、対象数が多い順から、さらに放映順にソートしたような表示内容に魅せられてしまったのは、社会人になってすぐにRDBMSの概念に親しむようになったことと無関係ではないかもしれません。

 

これによると初代マンの必殺ブローがほぼスペシウム光線に集中している一方、セブンは上記3種(特にアイスラッガー、エメリウム光線)にシェアが分散され、レオに至っては代表技として画像付きで紹介されているレオキックのシェアがやたらと低いなんて特徴を、今でも覚えています。

 

そしてセブンのワイドショットですが、さすがにセブンが使う中で最強の技だけあって、それほど安易にぶっ放してはおらず、列記されている「セブンの最強技で倒された名誉ある敵」の数はさほど多くない。

 

ゆえに小学館が『決定版ウルトラ兄弟』で解説に使うテレビシーンの選択は、とりわけ慎重に行われたことでしょう。

 

なぜ代表例にペダン星人を使ったの?小学館?

ワイドショットで倒した敵といえば、もちろんペダン星人(宇宙船)もその対象であることには間違いありませんが、単体の怪獣ではなく乗り物を撃ったわけで、わざわざ「誰を倒したのか?」が判別しづらいカットを使うのはどうか?

 

小学生時代の私は、その点にそこはかとない違和感をおぼえていた。

 

中学生になって泉麻人さんが進行役を務めた深夜番組『泉麻人のウルトラ俱楽部』で全編を通して視聴するにつけ、その違和感はますます高まりました。

www.youtube.com

 

使用例として採用するなら、見た目のインパクトが強く、そこそこ有名なイカルス星人が適していると思う。しかし惜しくも彼は小学館編集部の選に漏れた・・


怪しい隣人

⇧⇧⇧『決定版ウルトラ兄弟』の ”ワイドショット解説例オーディション” でペダン星人に敗れ落選したイカルス星人の「OH!なんてことだ!」

⇒「まあまあイカルスさん落ち着いて!」となだめるセブン

 

その他にも、ルックスはイマイチだがたった1話の中で「エメリウム光線」「アイスラッガー」「ワイドショット」と、セブンのポテンシャルをすべて引き出したアイロス星人も捨てがたい。


V3から来た男

⇧⇧⇧後だしジャンケンしたにもかかわらず「グー」で負けかけているセブン

⇒この後こっそりと左手をチョキにして「右手は ”最初はグー” 用なんだよ地球ルールは!」との逆切れが予想される

 

もしもワイドショット使用例として採用されたのが対アイロス戦ならば、1枚目のカット画像のキャプションはこうだ。

 

「エメリウム光線、アイスラッガーがきかなかったアイロス星人に、セブンは とうとうジャンケンで勝とうとする さいごのちからをふりしぼる」

 

このように書けば、そこには書かれていない「ワイドショットに至るまでのシーン」を想像し、子どもたちはワクワクするのではないかと思う。

 

しかし実際にはやたらと地味な「ペダン星人の宇宙船への発射」が使われていて、例としてはつまらないものだった。

 

(ガッツ星人の話に至らないまま長尺になったので今回はここまでにします)

(あと全然「セブンの気持ち」を考察してない。次回はそこまで書きたいと思います)