キャラの固定感が強かった初期のレトロゲーム
私はリアルインベーダー世代です。
スペースインベーダーがゲームセンターとか駄菓子屋に並ぶようになった頃に、それを目の前で見て、プレイもしています。
その前に「ブロック崩し」だとか、ピエロがシーソーで交互にジャンプして画面上部に並んだ風船を割っていく「サーカス」などのゲームをやっていました。
「seishi masuda」様の動画チャンネルより
このへんの時系列が定かではありませんが、インベーダーはその後に出てきたような記憶がうっすらとあります。
その後、「ギャラクシアン」「平安京エイリアン」「パックマン」「トランキライザーガン」「クレイジークライマー」など、胸が躍る数々のゲームに接してきましたが、これらの特徴のひとつとして「スクロールがないゲーム」なんですね。
トランキライザーガン「Old Classic Retro Gaming 」様の動画チャンネルより
(2:10あたりからプレイの様子が見られます)
ギャラクシアンとかはうっすらと背景が流れていく演出による“前進感”はありますが、自機は固定空間の中で攻防を繰り返すもので、上に挙げた各ゲームはその点ではどれも同じ造りですね。
本格的にスクロールをするゲームとしては「ゼビウス」とか「1942」「タイガーヘリ」などが思いつきますが、ここでのスクロールは場面を進行させていく”演出”といった印象です。
前進と共に出現する敵の攻撃を避けつつ、こちらの攻撃を当てていくスタイルで、あくまでも注意すべきは敵キャラです。
キャラの冒険感が前面に出る「強制スクロール」
ところがそのスクロールが意外な伏兵であることを思い知らされた初めてのゲームが「スーパーコブラ」
「7272 Bostonian」様の動画チャンネルより
これはヘリコプターを操作しながら横スクロールで右方向へ進むのですが、山や丘などの地形や、ビルなどの建造物に配置された敵機や設備などからの攻撃を避けつつ破壊していきます。
武器は、投下爆撃と前方射撃でひたすら撃ちまくるだけなのですが、燃料の概念があり、所々にある敵のタンクを破壊しないと補給ができないという制約があります。
また、山や丘は上から張り出してくるものがあり、その時は画面の下側を進まなければならず、上下への移動もわりとせわしなく行う必要があります。
狭い地形を通過するときは当然敵キャラとの距離が近くなるので、飛び出してくる敵の動きに気を付けながら、慎重な前進を余儀なくされる場面もあり、そのようなときはレバーを左に倒して減速します。
最初は敵キャラにばかり気を取られるのですが、やがて「地形」がこれ以上ない強敵になっていることを思い知らされます。
地形は攻撃を仕掛けてきませんが、敵キャラに気を取られていると、行き場を失って山やビルに衝突して死んでしまう場面が多くなってきます(もちろん敵キャラに衝突しても同じです)。
もともとは「地形に配置された敵と戦う」つもりでプレイをし始めるが、真の敵は「地形+敵キャラ」であり、裏方を務めるスクロールによってその強敵ぶりを発揮しているというこのゲームの本質が見えてきます。
敵だけに集中していれば良いそれまでのゲームの感覚が、全く通じないわけですね。
敵が強くて戦いが厳しい時は、レバーを進行方向と逆に入れ、自機を減速させてじっくり対応するのが、それまでのシューティングゲームでは割とセオリーだったはずですが、スーパーコブラの場合はそれをやるとスクロールの餌食になるという二段構えです。
私は横スクロール系のシューティングが苦手ですし、そもそも巧緻なゲームに向かないタイプなので、スーパーコブラは数えるほどしかプレイしたことがなく、始まってすぐに全滅します。
だからプレイが楽しかった記憶は無いのですが、このコンセプトで作られたゲームに接したときの衝撃が大きく、それゆえいまだに強い記憶をとどめています。
「スクロールが敵(というか、敵キャラの強化要素)」という設定は、『初見では真の敵の正体に気づけなかった』という敗北感と共に、ゲームの深さや面白さを知らしめてくれました。
決してチート技を使ってくるわけではなく、ごく自然な物理法則に従っているだけなのですが、「これまでの慣習が通じない展開」という要素にしてやられた私でした。
スーパーコブラは、今見てもなかなかスリリングで面白いです(プレイする気にはなれないけど)