武者小路さん、中学生にはたまらん展開ですそれ
高校を卒業したばかりの頃、同級生と妙に意気投合した意見
武者小路実篤の『友情』を読んだ感想
杉子ムカつく
この話題でやたらと盛り上がった10代の男子ふたり。
彼女がいない八つ当たりが籠もっていたのかもしれません。
(以下、当時の会話のおおむねの内容)
なにが「野島様の隣には30分以上居たくありません」だよ。時間とか区切ってんじゃねえ。もうちょっと言い方あんだろ。
それ聞いた大宮、注意しろ! おまえの彼女にしたんだろ? 恥をさらしてやるなよ!
それから大宮。野島の親友ぶってるクセに「最初から杉子は俺のこと好きだったんだよ」って、なにワザワザのろけ話を冊子で配ってフラれた野島のこと知り合いに晒してんだよ。
なにが「僕たちを裁いてほしい」だ。ナルシス入りすぎてて気色悪いっつの。
しかも、「裁け」って言うなら日本で堂々と、野島に面と向かって言えよ。ヨーロッパから言うな!裁けねえだろそんな遠くにいたら! チキンかお前?
「サバく」と「シバく」を勘違いしてんじゃねえの?
主人公の野島に感情移入して、本当にやりきれない気持ちだった少年たちは、やっと共感者を見つけたとばかりにぶちまけあいました。
今だったら「バカップル」と一言で片付いたのでしょうが、当時はこんなことをヒートアップして話していたのです。
それにしても武者小路実篤の「恋愛3部作」は、薄くて読みやすいはずの2作(『友情』『愛と死』)の結末がひどい。
一番厚い「若き日の思い出」がハッピーエンドで助かった。
ただあの3部作は、実篤が若い頃に失恋したお貞さんとのことが源泉になっているらしい。
ということは唯一のハッピーエンド「若き日の思い出」は、私が好きな柘植久慶さんの「逆撃シリーズ」をほうふつとさせる ”もしあの時、これが実現できていたら” 的展開に感じます。
若き日の思い出 ⇒ (改題)『逆撃 [友情]・[愛と死]』