スポーツクラブで個人レッスンを受けていた頃、トレーナーの女性が考えてくれたメニューの中に「足パカ」がありました。
「足パカダイエット」という言葉でおなじみの方もいらっしゃると思いますが、あの運動です。
ご存じない方は参考にこのページをどうぞ(クリックするまでもなく写真でわかると思いますが)。
女性トレーナーならではの指導法に感謝
私のトレーナーは、以前の記事で書きましたがヨガのインストラクターもやっている若い女性でした。
blog.dbmschool.net
彼女からは体幹強化とストレッチを教わっていたのですが、私のこだわりと彼女の志向が一致しており、筋力トレーニングは器具不使用。
自重オンリーで行い、かつ勢いでごまかさずに身体の動きを逐一感じ取りつつの、結構ヘビーなスタイルでやっていました。
教え方が非常に上手だったため懸命に励みましたが、なかなか教わったとおりに上手く動けない。
原因はたくさんありますが、中でも特に特徴的だったのは、骨盤のクセでした。
筋力が弱いわけじゃない。骨盤後傾しているから体幹が上手く使えないのだ
「骨盤後傾」というフレーズを聞いたことがあるのは、男性より女性が多いのではないでしょうか。
FineGraphicsさんによる写真ACからの写真
姿勢の良さや美しい脚線を作り、保つための有力な方法として骨盤後傾の矯正に励む方も多いでしょう。
私は男ですし、トレーニングの充実を図るためではありましたが、この問題が大きく立ちはだかり、対決を余儀なくされました。
これはまず、「気づきにくい」という点で戦いづらい敵です。
一口に「姿勢の悪さ」といっても、その要素は様々な部位の集大成みたいなところがあり、ピンポイントに「それは骨盤が原因だ」といきなり言われても、別な人は別なことを主張したりして、やはり特定が難しいでしょう。
彼女は私の様々な動きを見て、骨盤後傾を指摘しましたが、後傾したスタイルがスタンダードの私には「後傾じゃない骨盤」によって形成されるあらゆる動きや姿勢のイメージが湧かない。
これが、骨盤後傾が原因で悩みを抱える人の共通点かもしれないと、今は思います。
トレーニングを持続させるには「幸運」も必要
私の場合「後傾じゃない骨盤による理想形」が目の前にいて、同じことをやっても自分よりはるかに高いパフォーマンスを示してくれていました。
動作なので、レベルは違うが同じ動きができる。
となれば、そのギャップを埋められれば良いということが納得しやすかった。
あと、この手のトレーニングが継続せず、結果として身体の改造が上手くいかない原因として「トレーナーと自分に差がありすぎて自己嫌悪に陥る」という点があると思います。
これはトレーナーの質や、相性の良し悪しに拠ってしまうこともありますので、よき指導者に巡り合う運の良さが必要ですが、その点でも私は恵まれていました。
何はともあれ、トレーニングメニューをこなす中で、この「足パカ」はわかり易かった。
トレーナーは私に、30回を2セットで組みましたが、当初は到底そんなにできません。
「なぜこんなにキツいのだろう?」
彼女は話しながら軽々とこなしている。
ということは、筋力の差か?
優秀なモデル業の人は、トレーナーとしても優秀であるはず
彼女はヨガインストラクターですが、モデルや役者もこなしており、体型は細い。
到底「トレーナー」という言葉が当てはまるような力強さは全く感じられない。
にもかかわらず、なぜこんなにも差がある?
ここに納得のいかない私は、その後も彼女の動きを模倣すべく、ちょっとした説明でも目を皿のように凝視し「どうすれば同じようにできるか?」という命題で彼女の体をガン見していました(きわめて真摯にです。念のため)。
ダウンドッグポーズなんかは、最近ようやく彼女の再現ができるようになってきました。(ダウンドッグをご存じない方は、参考にこちら等ご覧ください)
彼女が説く「足パカ」は、床と垂直に上げた両足の膝は伸ばし、両肩はバランスをとる程度で重みを支えることをせず、下腹に力が集中するようにするものでしたが、これがなかなか厳しい。
膝を伸ばすとお尻が浮いてしまう。
お尻を付けると膝が曲がり、それを伸ばす力が無いことが「筋力の弱さ」だと思ってしまっていた私は、根本的な所で勘違いをしていました。
これこそが骨盤後傾の身体のクセであり、これが直るとお尻を付けても膝は伸び、両肩は楽々と動かせるほどになります。
この姿勢を目指すことが「足パカ」成功のカギであり、ツラい筋力トレーニングとは全く別なものであることに気づけると、足パカトレーニングは上手くいくのではないかと思います。
身体の動かし方が上手くなると、それほどすさまじい筋力を必要とせずに、負荷が高そうな動作が行えるようになる。
どう見ても力が無さそうな、身体の線が細い彼女が、男性がハアハア息の上がるほどの動作を楽々とこなしていた理由はここにありました。
むろん、彼女は実際に筋力もかなり強い人でしたが、私が感じたほど激烈な差があったわけではなく、「身体の使い方のセンスの差」であったことが今では実感できます。
それ以外にもこの骨盤後傾の矯正は、色々とトレーニングに好影響をもたらしており、長座した状態からの前屈など、柔軟の本質的な意義にも役に立っています。
お尻歩きなどでも改善が図れるものでもありますので、気になった方は「骨盤後傾改善」を、是非試みてください。