さて、またもや前回記事からそこそこ月日が経ちました。
え〜と、どこまでだっけ?
・・フムフム、赤堤のアパート入居初夜の食事だったか
京子が朝倉君を差し置いて『蘇る金狼』の聖域ともいうべきボロニアソーセージを食した疑惑とか、朝倉が鶏モモ45本をかっ喰らった疑惑とか、一部(?)は私の言いがかりなのですが、色々あった夜ですね。
独りメシはこれからだ!
しかし、鶏モモ45本くらいで大藪春彦作品の食事シーンが片付くはずはありません。
実はこの日の深夜・・というより日付が変わった午前2時半に、ダブルベッドに京子を残して起き上がった朝倉は、またメシを喰らっています。
いよいよ「孤独なグルメ『蘇る金狼』」のヤマ場を迎えることになります(ワクワク)。
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ひとり真夜中に1キロの肉を喰らう、いつもの朝倉が戻ってきた!!
いちおう、さっき食事した前後の時間帯をおさらいします。
21時前にアパートに到着
その10分後、デパートの配送員が来訪
30分で家具一式を据え付けて辞去
ということで、だいたい22時を跨ぐくらいのタイミングで喰らったとみてよいでしょう。
そしてこの2度めの晩餐は、鶏モモ摂取から4時間あまりといったところ。
1時間に11本換算でこなれてしまう23羽の鶏のモモってことか・・
一応言っておきますが、『蘇える金狼』の原文では、鶏股の数量は『四、五本』と書かれています。
大藪作品にしてはあまりにも少なすぎる分量でしょう?
これを訝しんだ私が、四と五の間の『、』は大藪先生の万年筆から飛んだインクが2つの数字の間に落下して、表示上は10分の1になってしまっただけと主張し、この時の鶏モモの本数は「45」だったと表現しています
ボロニアを胃袋に『素早く送り込む』大藪表現の妙
さて、午前2時半。
先程とは場所が変わり、なぜか今度はダイニングキッチンで食事をするのですが、この赤堤のアパートの間取りは原作の記述を元に図示するとこのような感じです。
1回目の食事は中央の洋室いっぱいに、デパ地下で買った食料品を紙袋ごと林立させ、豪快に食事をしたようですが、今度は朝倉一人のためか、地味にキッチンへ向かう。
いや、彼の食事に『地味』という概念が有るのだろうか?
朝倉は太いボロニアソーセージを1キロほど素早く胃に送り込み
さすがは大藪作品
文章は地味だが内容は地味じゃないな・・
11月13日のシーンで、半キロのボロニアを焼いて喰らう描写があるのですが、今回は火を使った形跡がない。
あまり物音を立てると京子が起きてしまうからでしょう。
(・д・)チッ
しかし、「1キロを素早く胃に送り込む」って・・
魚肉ソーセージなら簡単に想像できますが、1キロのボロニアって、どんな形状をしていたのかも含め、実に興味をそそられます。
朝倉の胃袋に素早く送り込まれたボロニアのことを想像する
入居初日のため備蓄はない。
今夜のボロニアは、さっきデパ地下で買ったことになるわけですが、一体どんなん?
ちなみに大藪先生の記述によれば、このとき朝倉が食したボロニアは「1キロほど」だそうですが、さっきの食事シーンでは、このボロニアを京子がフライング的に食べていたことを、私の過去記事を読んだブログ読者は知っています。
巧妙に隠された「実は食っとるやん、京子が」を暴いた記事はこちら
つまり、ボロニアは1キロ以上購入されていたことがわかっている。
ということで、1kg×5パックで販売している業務用のものを発見しました。
やはり朝倉用の食物には「業務用」がお似合いだ。
【送料無料】(※沖縄県・北海道を除く)【ケース売り】ボロニア ソーセージ 1kg×5個入り業務用
これなら1パックを開けて完食すれば、今回の大藪ミッションはコンプリートします。
『太いボロニア』という縛りがあるようなので、太いヤツも探しときました
ただし、大藪先生の記述は【太いボロニアソーセージ】ですので、上の商品のような薄切りでは大藪世界観を全うできないというガチ勢のファン層に向けて、こんなボロニアはいかがでしょう?
丸くはありませんが、扇型なので太さはある。
それに何と言っても1キロ超という点でポイントが高い。
原作の「1キロほど」という記述を正確になぞらえるなら「1キロではない」ということなので、端数があるのでしょう。
肉の単位に「小数点」や「グラム」が存在しない大藪世界観にバッチリとはまるのは、このボロニアではないでしょうか。
ちょっと疑問を感じる『キッチンでの独りメシ』
しかし、別な考えが私の脳裏をよぎる。
なぜか?
朝倉がキッチンへ足を運んでいることが、どうしても気になるのです。
「1キロほどのボロニアソーセージ」という記述には、実は別の意図があったのではないか?
数字に厳しい大藪作品では、ここは深読みが必要なところです。
あなたが落としたのは【扇形のボロニア】? それとも【業務用ボロニア】?
上で2種類のボロニアを紹介しましたが、このあとのこじつけ 展開で、どちらを採用するか考えてみましょう。
今夜はあの朝倉が「両手で持ちきれないほどの食料」を購入し、なんとタクシーで帰宅しています。
よほど持ちづらい荷物だったと想定されるので、それならやっぱり箱入りの【業務用】じゃないかということにします。
なに?「タクシーに乗ったのは、京子を電車に乗せたくなかったから」だって?
・・・
・・そ、そんなの、「タクシーのトランクいっぱいにメシを入れて運搬した」という想像のほうが、朝倉っぽくて面白いじゃないか。
いいですか?
大藪先生の記述をもう一度出しますよ。
朝倉は太いボロニアソーセージを1キロほど素早く胃に送り込み
【このボロニアは生産から消費に至るまで、終始運搬されていた】という統一感を大事にしましょう。
それに私は前の記事で、この時二人が乗り込んで出発するタクシーについてこんな考察をしているのです。
新婚旅行へ出発する昭和の夫婦を象徴するような『大量の空き缶を引きずって走り出す自動車』を、タクシーと鶏モモ45本で再現していたかもしれない・・(今の若い人は絶対知らない光景だな)
⇩⇩⇩この記事より引用しています
ということで、タクシーに乗せたほどだから「5キロ入りの箱」であったとして、私は業務用ボロニアに軍配を上げます。
【送料無料】(※沖縄県・北海道を除く)【ケース売り】ボロニア ソーセージ 1kg×5個入り業務用
「1キロほど」=「1キロ弱」の疑い
1キロ入りのパックであったことと、朝倉が食事場を洋室からキッチンへ移していることから、一つの仮説が浮かんできます。
実はこの1kgパック、朝倉が「素早く胃に送り込む直前」に開けられたものではなかった・・
なんというかその、すでに開けられていたパックの残りを、朝倉は平らげたのではないか?
さっきの食事で京子が食べた分の残りなので、850~900グラム程度だとすれば、数字にシビアな大藪作品でいうところの「1キロほど」という表現にピタリとあてはまってしまう。
いったん封を切ったため、残ったボロニアが傷まないように、京子は冷蔵庫に入れたのでしょう。
朝倉がわざわざキッチンへ行ったのはおそらくそれが理由とみて良い。
なぜなら、彼の本拠地である上目黒のアパートには冷蔵庫なんてラグジュアリーなシロモノは置いていない。
生卵ですら保存場所は『棚』であることは、過去記事で検証済みです。
食べかけのボロニアを平らげるために、冷蔵庫のあるキッチンへ足を運ぶなど、ハードボイルドの名折れと言って差し支えない。
朝倉一人ならば、食べかけのボロニアなどそのまま置きっぱなし・・いや、そもそも手を付けたボロニアは完食するので食べかけなど存在しないことでしょう。
やれやれ、やはり京子をそばに置くことで、朝倉は変わってしまったようだ。
パートナーは要らない。パートナーが居ると・・
ハードボイルドに陰りの見える朝倉哲也。
彼の運命やいかに!?
孤独なグルメ『蘇える金狼』
次回、乞うご期待!