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美しい文章とは

布マスクは、急激に拡大しているマスク需要に対応する上で、極めて有効

 

昨日、これに呆れたり憤慨した方は多いと思います。

もちろん私もその一人です。

 

もっとも、首相は看板みたいなものなので、発言者として前面に立っていますが、この発表原稿を書いた人が必ずいます。

 

私が官庁出身だから特にそう感じるのかもしれませんが「官僚的修辞に満ちた、いかにも内輪の言い回しだなあ」という印象をぬぐえません。

 

総理の発言は、誰かが書いた「作文」

総理大臣がしゃべる内容を作文するのがどこの役目なのかは知りませんが、まさか秘書ではないでしょう。

各省庁の大臣や長官が国会答弁する内容が、各省庁の役人の手によるものであることを考えれば、内閣総理大臣の場合は内閣府じゃないかという気がします。

 

その事柄に関する担当者が文案を作り、係長や課長補佐がチェックして、課長そして局長に見せてOKを取る。

 

そこから国会周りの事柄をまとめる部課(環境省だと大臣官房総務課)へお伺いがたち、そこでも係長⇒課長補佐⇒課長といったラインで手が入る。

 

・・・もはや誰の手により作られたのかさえ、曖昧になります。

 

独創性を探求する文章ではないので、組織の尺度で精製される規格品みたいなものに近い。

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acworksさんによる写真ACからの写真

 

 食品に例えるなら、素材の味や栄養を加工で台無しにする代わりに「製造や流通の効率化」「宣伝展開のしやすさ」を得る工程により生産される”加工食品”といった感じでしょうか。

 

ただ、惜しむらくは“官僚的修辞”というのは、官僚にしか通じないニュアンスなので、一般大衆に提示したときにはバカの所業にしか見えないことがあることです。

 

官僚には文筆家が多い

“布なら洗えるから効果が高い”のは、局地的な、つまり役人がデスク40センチ四方で計算するミクロ的な世界では成り立つ理論だが、マクロ側に立つ我々のような民間人から見たら“政府はマスクの安定供給を諦めた”という解釈にもなる。

が、官僚的修辞の世界ではそういった切り口は持たない。

 

行動を伴うと文章量が増えてしまうので、端的に、簡潔にまとめるには、できるだけ抽象概念に終始し、理屈のみで美しい言葉を使うのが役人の処世術といった面は否めません。

 

私は徹底的にそちら側に加担していた人間で、かつて随意契約の多さワースト1位の環境省で、局の会計を担当していたため、そっち方面での修行を積んでいました。

 

補正予算成立後、20数本の請負を約1カ月の間に契約締結に持ち込んだときなどは、大喜利でもやっているかのようでした。

 

各担当者が持ち込んでくる一連の書類に目を通していくのですが、事業内容の仕様書と積算の突合は割と左脳的要素が主になります。

 

一方、随意契約に必要な「その事業者以外に、この契約を果たせる者は一切存在しない」という立証を机上でやってのけるには、物語を創作して世界観を構成し、その中で通じる理屈によって押し切るしかない。

 

 ある意味、最初に「世界観の共有」ができなければ、書類を持ち込んだ先の会計課によってダメ出しされてしまうが、逆に、その条件さえクリアできれば「てにをは」の修正くらいで通してくれる。

 

独りよがりの作家は、世の中と上手く付き合えない(売れない)

…で、「マスク2枚が極めて有効」という世界観を、在野の我々と共有できたうえでの官僚的修辞なのかどうか。

 

役人は色々と保証されて安全地帯で暮らしているから、「わかったつもりでいる人」は多いが「本当にわかっている人」はまずいないと思っています。

 

私自身、本当に気付けたのは「辞めてから」です。

 

たぶん、首相の発言を責めても、背後の人たちには通じないと思う。

文脈が違うんだよな。

 

歩み寄る道を作らないと、たぶんこの先もこんなチグハグなことが何度も起きてくる。

 

非常時だからそれが目立つけれど、平時だと見過ごされるチグハグが多くて、国損を招いてる気がしてならない。

 

私が関わっている業務の中でも「文脈の違い」で会社が大損してることが多いのですよ。

でも文脈の底流には「価値観」というヤツがあって、ここを変えていく作業が非常にハイタッチ(ハイテクの正反対)な領域です。

 

 

価値観というのは字面から察するに「価値に関する観測」だと思うのだけれど、その割に理屈が通じない。

 

自分の周囲の文脈を変えられないうちは、会社にも国にも、さしたる貢献は出来なさそうだと、人間関係力のさらなる向上を目指すことに邁進したいです。

 

しかし、ここで「1世帯にマスク2枚」はないだろ。

発想力が貧弱すぎる。

もう少し世間を見ろ、官僚!(イヤ、見てもダメなんだったっけ・・)