【感情会計】善意と悪意のバランスシート

財務諸表から逆算で人心を読むテクニック

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4月の緊急補正予算の事務を担当するノンキャリ公務員が心配

マスク対策の動きが遅すぎて効果を失ったことが、今回の政権の大きな失策のひとつだと言われています。

 

ちなみに、調達過程の杜撰な管理ぶりを考えると、かなり急ピッチで進めたことが想像され、それでなお遅々として進んでいないことを考えると、「口で言うのは簡単だが、実行するときの速度のことは全く考慮されていない」という揶揄が当てはまってしまうところに虚しさを感じます。

 

「マスクを配布する」という発案は、佐伯耕三という元経産省官僚だった秘書官だということは、既にニュースなどでよく知られており、「うちで踊ろう」の件もこの人の案だといいます。

 

bunshun.jp

 

東大卒のキャリア官僚ゆえ、予算が付いた後の官庁の動きについての感覚が鈍い、というか無かったのではないかと私は思っています。

 

補正予算の緊急性は、発案時と実行時で印象が違うのは当然?

466億円の補正予算が、具体的にどこの役所のどこの局に配布され、さらにそれがどの課にいくらずつ分けられたのかは、どうもネットを探しても情報が見当たらず、「調達費」338億円と「配達費」128億円に分かれているというくらいですが、全額が厚労省に付けられたのかどうかは判然としません。

 

ただ、どこにどう予算が付こうが、業者選定して発注するだけならそんなに時間はかからないのではないか?

この佐伯秘書官も、そんな風に考えたかもしれません。

 

今回のマスクの件は、かなり特殊なケースのはずで、予算配賦された先の省庁でも一般的な補正予算の処理とは違った動きをしたかもしれませんが、「一般的な補正予算」の契約締結までの速度感で考えると、「国民が期待する速さでなどできるわけがない」ということを、経験から連想してしまいます。

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紺色らいおんさんによる写真ACからの写真

 

先ほど書いたように、全予算が厚生労働省に配布されたかどうかがわからないのですが、あえて466億円が厚労省に付いたとします。

 

すぐさま会計課に渡され、業者との締結に進めるならば・・・それも、一般競争入札など時間のかかることをせず、随意契約で処理すれば、さっそく業者にバトンが渡され、あとは商取引に従って調達が進むでしょう。

 

ただ、常識的に考えると「大臣官房会計課」に全額が渡されて、調達遂行がストレートに課されることは無いと思います。

 

以前書いた記事で、補正予算執行時のことを書きましたが、これはかつて世間を騒がせたダイオキシン関連の緊急事項で、環境省では20億円程度の規模でした。

blog.dbmschool.net

 

このときの予算成立は年内だったと記憶していますが、これが各局に配布され、使われるためには「事業」の形をとる必要があり、事務処理を経なければならないため、即座に契約は行われません。

 

局内担当課でどんな内容のことを、どこへいくらで発注するかを決め、その後に起案文書を回して局長の決裁を受けた後、会計課へ持ち込んでOKを取り、そこで初めて契約実務に入れるので、巷で考える「緊急事項」よりもかなり遅くなるのが普通です。

 

 緊急経済対策の補正予算をASAPでやったけど、それでも2カ月以上かかった

ちなみに私が居た局も他と同様、予算が示達され動き始めたのは1月半ば頃でしたが、事業の数は20数本ありました。

 

実施する意義に始まり、小難しい仕様書と積算書、そして随意契約理由書を、係員の私がチェックし、そのあと係長、課長補佐がチェックしてから課長、局長が吟味しますが、一発でOKになる完璧な起案文書はほとんど無く、かなりの直しが入ります。

 

さらに会計課で内容にご納得いただくフェーズがあり、そのあとで数字のチェックがさらに入る。

 

全ての部局の中で最速だった我々の局でも、全案件を会計課へ引き渡せたのは2月中旬くらいですから、予算成立から2カ月も経過しています

 

マスクの場合は事業というより「購入」ではないかと思いますが、配送などの役務は地域性の問題や、対人接触によるリスク対策など細かな配慮も要するはずで、全予算が単純な物品購入契約ではないでしょうから、内訳の中には「事業」が混ざっているかもしれません。

 

いずれにしても一旦はどこかの局に予算が付けられ、内部で揉んだ後で会計課で契約される流れになっているとすれば、時間がかかるのは当然なはずです。

 

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oldtakasuさんによる写真ACからの写真

 

それらの事務は別段、全員が東大卒のエリートという陣容で回しているわけではありませんから、会計法や予決令に照らして違反など起こらぬように、一つひとつ慎重に行っています。

 

しかも4月は「出納整理期」で、今年度分の契約を開始させる一方、昨年度事業は1つの漏れもなく処理を完結させなければならないという絶対命令が出されています。

 

こういった『単年度決算に伴う過度な事務負担』は、ノンキャリアの下っ端ほど健康や家庭環境への直撃を喰らっているという実態があります。

つまり、4月はただでさえ、異常なオーバーワークになっている最中なのです。

 

末端で踏ん張ってる下っ端の力を、どれだけ振り絞っても事務遂行には限度ってものがあるのよ、秘書官さん。

 

あなたが「買って配るだけだろ。ならカンタンじゃないか」と簡単に口で言うほど、現場はヒマを持て余してるわけじゃない。

けれど、会計課なんて新人研修の時ぐらいしか足を踏み入れたことが無さそうなキャリアには、実行力の規模が理解できんのだろうなぁ。

 

それと同じように、国民の困窮についても、そんな次元の生活に足を踏み入れたことが無さそうな人たちには、ムチャな政策を受け入れきれる程度が理解できんのだろうなぁ・・・

 

それにしても、466億円のうち明らかになった「発注額」以外は、どこの何に使われるもので、どの役所のどの局課が執行の事務を担っているのでしょう?

その人たちの健康についても、非常に気がかりなところです。