【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

小泉さん、「自民党をぶっ壊す」 ⇦ 今やってくれ!

出勤の時に東京エフエムを聞いているのですが、月曜~木曜の帯で放送している『フューチャーズ』という番組が結構気に入っています。

 

各曜日担当のパーソナリティが日替わりで担当しているのですが、火曜日は政治学者の中島岳志さんです。

 

最近、2週にわたって自民党のことを深掘りしていたのですが、これが実に興味深いので、少しまとめてみようと思いました。

 

 

「冷や飯食い」だった清和会

ここしばらく絶対的な力を持ち続けてきた清和会

実は自民党の中では”傍流”だった。

 

元々ノンポリな私は、かなり知識が抜けているところがあるので、こういった話がとても新鮮に思えることがあります。

 

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社会党よりも立場が弱かった

本流である宏池会、経世会からは一種屈辱的な扱いを受けてきた清和会。

 

”本流” たちが議論した問題について、「次は他者の意見も聞いてみよう」となって、そこで話し合いを投げかける相手は同じ自民党の清和会ではない(!?)。

 

なんとその相手は、対抗勢力であるはずの社会党だったりもしたようです。

 

清和会は同じ党であるにもかかわらず、今の自民党が何を考えているのかをニュース報道で初めて知るような憂き目にあっていた。

 

が、森喜朗首相の誕生、そして小泉政権で強力な体制を作り、その後民主党政権誕生による下野ののち、安倍時代に至る。

 

 

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小泉純一郎からの難易度高きバトン

 

小泉純一郎といえば「自民党をぶっ壊す」のフレーズで有名です。

しかしそれが、「自民党(本流)をぶっ壊す」だったことを、私は全く知らなかった。

 

正確な知識がないと小泉氏の態度は、旧態依然とした「歴史ある自民党」を新時代に合わせて最適化するようにも思えてくる。

 

そう思ってしまうと、「小泉総理はまさに『身を切る改革』をしている」と好意的な解釈も可能です。

 

そして、まさにそれが狙い目だったということこそ、上の「トーキングキャッチャー」という番組で語られた中で、私が注目した点でした。

 

保守本流をぶっ壊すドラマだった

経緯を冷静に見ると、小泉元総理は厳密には『身を切る改革』をしたとは言い難い。


この場合、ぶった斬る対象は保守本流の宏池会や経世会です。

 

具体的に何を指しているかというと、これら主流派の岩盤層を崩していくこと。

 

小泉元総理はこれを「既得権」と呼び、新しい日本のあり方として好ましくないとした。

 

代表的なのが「郵政民営化」です。

 

旧郵便局の勢力は、保守本流にとって有力な票田だった。
そして、清和会にとっては利益が感じられない。

 

いわば、自分たち清和会のために不要なものを攻撃しただけとも言える。
たまたまその攻撃対象(本丸)が自民党だったにすぎない。

 

「投票率を上げる」まっとうな民主主義のスタイルを採る力量はあるか?

ただ、私がこの身勝手な小泉的立ち回りの中で唯一、まともなことをやったなと思えるのは、投票率を上げる戦略を採用したことです。

 

清和会にとっては敵性勢力とも言える自民党岩盤層に頼ることのできない状況で、小泉元総理が目指したのは「無党派層の取り込み」です。
 
投票率を上げて、それら新勢力を取り込めれば宏池会や経世会を凌駕できる。


内輪の決まりきったメンバーではなく、外へ目を向け、積極的に働きかけていく必要がある。
 
どんなことをすれば、自民党支持でない人や、普段政治に関心がない人々に「小泉さんには期待できるかも」と思わせることができるか?

 

「アベノミクス」にはドラマ性がない

 

そこで使われたフレーズが「自民党をぶっ壊す」「既得権益打破 」といったセンセーショナルで感情を掻き立てる言葉です。

 

そうやって国民をノセてしまう。


小泉批判が真っ当な正論でなされても、それを「抵抗勢力」と称して改革路線の邪魔扱いにする。


当時「劇場型」という言葉がよく使われましたが、私などはあれがどんな意味合いで使われているのか、全くわかっていなかった。

 

そんなノンポリに対しても、あたかもテレビドラマを見せるように、自分が主役の政争劇を演出し、無党派層で必ずしも自民支持でない国民を味方につける手法をやりきってしまった。

 

清和会系の立身手法には『真の実力』が要る

この小泉式の立ち回り方は、自身に明確な政治ビジョンとその展開、そしてタイムスケジュールを踏まえたシナリオを持たなければ、到底立ち行かないのではないか?

 

つまり、本格的に政治手腕が要求される。


なにせ、はばたき続けないと落下してしまう(保守本流の会派と違い岩盤層を持たないから)。


とにかく、浮動層の支持を得続けなければ政権が維持できない。

 

ある意味「当たり前な形での存続」が、清和会の政権の姿という状態にハードルが上がったところで引き継いだのが第一次安倍内閣でした。

 

高いハードルを越せなかった跡継ぎ

 

小泉元総理から渡された難易度の高いバトンを継いだ新総理には、本格的な政治手腕などなかったのでしょう。


あるいは、小泉的立ち回りを引き継げる器がなかった。

実は早々にガス欠状態だったのではという気もするが、いずれにせよ体調不良で辞任。


急遽あとを継いだ福田新総理には、政治的ビジョンなどはもっと無かったのではなかろうか?


そして、小泉的キャラクター性は安倍前総理とも比較にならないほど欠如している。

 

そうして、麻生総理時代にはカラッケツ状態と化していた「無党派層に支えられる自民」はわかりやすく終焉を迎え、思い切り叩き落されるに至る。

 

すぐに息切れした安倍、ドラマ性を感じない福田、カスカスの麻生(これは宏池会だったかな?)でとどめを刺された『清和会式自民隆盛』

 

「小泉とは真逆」に策を見出した安倍政権


手痛い敗戦を経て再び政権を奪い返した新安倍政権は、「選挙戦術」について重大な決断を下す。

 

政治家として、広く国民を相手に支持を取り付け続ける小泉的手法は、本当に自民党をぶっ壊してしまう。

 

宏池会、経世会がやっていたように、安定した支持層を得て、投票率は極力下げて危険な勝負は避け、確実に勝っていく方法を模索します。

 

安倍晋三 ⇔ 統一教会 の関係が本格的になった時期は?

中島岳志さんは、安倍元総理が統一教会との関係を深めたのは、実は政権を奪還した第二次安倍内閣以降ではないかと解説しているのですが、色々考えるとたしかに辻褄が合う。

 

そして、改名を認めたのも、タイミングを考えると納得がいく。

 

お付き合いを始めて、蜜月関係が最高潮に達したときに結婚(改姓/改名)するなんて、なんとわかりやすいのだと皮肉を言いたくなるほどです。

 

もはや二人は一心同体。

さて、周囲がこぞって ”離婚” を突きつける状況ですが、果たして別れられるものかどうか?

 

図らずも小泉元総理が得意とした ”劇場型” を絶賛展開中ですが、この劇場型はひたすら不人気を醸成するばかり。

 

より一層の「本格的な政治手腕」を発揮すべきときに、「総理になることが目的だった男」と揶揄される現総理が適しているかどうか?

 

現総理は保守本流の宏池会ですので、現在の小泉的展開には系統的に不向きではないかと・・

個人的には、もう一回自民党をぶっ壊してほしいところです。